Phantom の商品レビュー
お金と幸せをテーマにした小説。著者の前作『ポルシェ太郎』に続いて「老後に向けて資産を増やしても側から見ると幸せに見えない」人々が描かれる。さらに今作では某アレコレが元ネタと思われる描写が出てきて、個人的には現実世界でそれらに苦手意識があるためか何とも読み心地が悪かったwあれは羽田...
お金と幸せをテーマにした小説。著者の前作『ポルシェ太郎』に続いて「老後に向けて資産を増やしても側から見ると幸せに見えない」人々が描かれる。さらに今作では某アレコレが元ネタと思われる描写が出てきて、個人的には現実世界でそれらに苦手意識があるためか何とも読み心地が悪かったwあれは羽田圭介自身の感覚が投影されているのだろうか?ラストの主人公のモノローグもどこか感情移入しづらいアイロニカルな内容。資本主義社会で生きている限り永遠の問題ですね。
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久しぶりに小説を読んだが、日常の描写、書いてある一つ一つの言葉の具合が心地よかった。経済や株の話も入り混じりながら、真逆且つ最近流行りの「コミュニティ」話もあり興味が途切れることなく最後まで読み切れた。単調な日常から少しの日常、最後は今楽しむためにお金を使わないと何のために稼いでいるか意味分からないねというメッセージ性。面白かったです。
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お金に対する考え方や閉じたコミュニティでの繋がりなど、今の時代の空気感がうまく切り取られている。新しいと思った思想も、実は既にどこかで使い古された手法だったりする。思想はいつ、どこからカルト化するんだろうか。
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投資関連よくわからず少々齧っているからか華美の心情、理解できてしまう。 対して、直幸のオンラインコミュニティもどきに傾倒していく現実も存在している。 と、現実世界をデフォルメしているものの、忠実に描いている問題作とみた。 そして本質的には昔も今も同じ過ち、思想が繰り返されるということか。
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『自分という、自分にとってもっとも尊い存在も、株式市場では大衆として翻弄されるうちの一人でしかない。それを認めることではじめて、自分たち大衆より少しだけ先回りし、そこから勝ち抜ける可能性が生まれる』 『時間は止まっていてほしいし、早く進んでほしい』 『不思議なことに、人が欲しがっ...
『自分という、自分にとってもっとも尊い存在も、株式市場では大衆として翻弄されるうちの一人でしかない。それを認めることではじめて、自分たち大衆より少しだけ先回りし、そこから勝ち抜ける可能性が生まれる』 『時間は止まっていてほしいし、早く進んでほしい』 『不思議なことに、人が欲しがっていると知ると、自分が手にしているものを手放したくない』 『今を未来に先送りしても、その未来でなにもやらないのなら、意味がない。今やっていることは、今しかできないことだった』 『無我夢中!』 将来の生活とお金が大事なOL華美。彼氏の直幸は時間と今を生きるのが大事。 株式投資、地下アイドル、新興宗教、オンラインコミュニティ。 現代の発達した資本主義を生きる2人の葛藤を描く。 自分たちが、追いかけてくる。 自分たちに、のみこまれる。 スラスラ読める中に散りばめられた比喩と随所に奥深さを感じる。 『無我夢中』Tシャツを着た著者を見れる日は近い。
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羽田さんの著作を読むのは久しぶりだ。元地下アイドルで外資系食品メーカーに勤める華美(はなみと読む。かびではない)が主人公。彼女は米国株に投資し、お金に働かせて現在の年収と同じ副収入(配当)を得ることを目標に生活している。米市場の開始に合わせて夜の時間をやりくりしたり、「買えば下が...
羽田さんの著作を読むのは久しぶりだ。元地下アイドルで外資系食品メーカーに勤める華美(はなみと読む。かびではない)が主人公。彼女は米国株に投資し、お金に働かせて現在の年収と同じ副収入(配当)を得ることを目標に生活している。米市場の開始に合わせて夜の時間をやりくりしたり、「買えば下がる・売れば上がる」の格言通りの相場など、実にリアルで楽しかった。途中から違う展開になるが、全体の流れから違和感はなく、総じて完成度の高い作品だと思った。
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羽田圭介さんの新刊で、王様のブランチで紹介されていて、面白そうだったので読んでみた。主人公は株で5000万円溜め早期リタイヤを目指し、外資系で事務員として働く元地下アイドルの華美。華美は節約節制でお金を使わないが、恋人の直幸は「宵越しの金は持たない」かんじでオンラインサロンにハマ...
羽田圭介さんの新刊で、王様のブランチで紹介されていて、面白そうだったので読んでみた。主人公は株で5000万円溜め早期リタイヤを目指し、外資系で事務員として働く元地下アイドルの華美。華美は節約節制でお金を使わないが、恋人の直幸は「宵越しの金は持たない」かんじでオンラインサロンにハマっていき、どんどんのめりこんでいく…華美と直幸の対比が面白い。中盤くらいからサロンの主催者と幹部が暴走していくのがすごくリアル、本で書かれてる事が将来的に起きそうな予感を抱きつつ読めた。羽田さんの本の中では一番好きかな。
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前半と後半とでテーマがだいぶ違うような… 本人もインタビューで言ってたとおり、株取引で金融資産を増やそうするあまりに今という時間を浪費してしまうというテーマの着地は難しいのかも ただ、それにしてもオンラインサロンと宗教を結びつけた帰結はちょっと安直な気がする。さらに、華美の心情...
前半と後半とでテーマがだいぶ違うような… 本人もインタビューで言ってたとおり、株取引で金融資産を増やそうするあまりに今という時間を浪費してしまうというテーマの着地は難しいのかも ただ、それにしてもオンラインサロンと宗教を結びつけた帰結はちょっと安直な気がする。さらに、華美の心情の変化となるきっかけの描き方も雑で、なぜお金の使い方をああも大胆に変えることができたのかがちょっと納得しづらい。 テーマがまさに今を切り取った優秀なもののため、もったいないなと思ってしまった。 好きなセリフ 影響力の中毒性はお金で得られる満足よりも大きいものだ。 朽ちてゆく肉体は所詮、経験を得るための道具にしかすぎない。 不思議なことに、人が欲しがっていると知ると、自分が手にしているものを手放したくないなと思うのであった。
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資産運用にはまりかけの人(私のこと)にはドキっとするような作品である。 主人公は、少ない給料をせっせと資産運用に回し、自動的に金を生んでくれるシステム(分身)を構築しようと必死な32歳の女性・華美。 FIREに向けた米国株式投資、オンラインサロンなどタイムリーな話題が巧みに盛り込まれており、金融リテラシーを高めたい人や自己啓発に目覚めてYouTubeその他を漁っている人には考えさせられる内容であると感じる。 それらに多くの人がのめり込んでしまう理由は、思うに正解がないことによる。職業、性別、年齢によりライフスタイルは様々であるはずなのに、「実行している自分はすごい。やっていない奴はバカ」になりがちなのが、投資や自己啓発の罠だと思う。実のところは大して儲かってもいないし、成長だってほとんどしていないのに、である。 羽田さんの作品は初めて読んだが、世間の最新の動向を上手く作品に落とし込める技術が気鋭の作家、といった感じであった。他の金融知識を前提とした作品(私は石田衣良の「波の上の魔術師」くらいしか思いつかない)と読み比べしてみたも面白いかもしれない。
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食品メーカーの工場に勤めている華美は、株での収入があり、目標は5千万円貯めること。 そうすると、その投資による利益が250万円になり、今の年収と同じくらいなる。 働かなくても250万円収入があることに。 それを目標にして株取引のために毎日アメリカの株価をチェックしている。 彼氏の...
食品メーカーの工場に勤めている華美は、株での収入があり、目標は5千万円貯めること。 そうすると、その投資による利益が250万円になり、今の年収と同じくらいなる。 働かなくても250万円収入があることに。 それを目標にして株取引のために毎日アメリカの株価をチェックしている。 彼氏の直幸は、それを無意味だと思っている。 彼が意味のあるものだと思っているのは「シンライ」で、それは宗教じみていた。 ムラというコミュニティ活動にのめり込みすぎている。 宗教まがいのところから彼を取り戻す値段250万円。 傭兵に依頼した。 今やりたいことを優先すれば良いのではないかと思う。 2人の考え方は極端だったが、やりがいが感じられることをしたらいいと思う。 皆でなにかをやろうとして話したりするのは、楽しい。 それでいいと思う。 やりたいことを叶えるために必要なことは時間なのか?お金なのか?を考えさせられた。
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