Phantom の商品レビュー

羽田圭介(著者)

2022/03/03

報告書？ってくらい、簡素化された文章。
叙情的な表現はほとんどない。
しかも株の専門知識が多く、そこに興味がない私はすんなり読み込めない。
それでもなかなか面白かった。
出てくる人物がみな各方面で度が過ぎた発想で、噛み合わないだろうな、と思いつつも、確実に現実社会にいるんだよな、と。
私は中立的な位置で生きていきたいかな。

2022/02/22

「将来お金によりもたらされるであろうと予想された効用は、どこまでいっても実体のない頭の中の可能性でしかなかった。それが思いきって使うことで、今そのものになった。」

投資に回すために節約をしている同じ身分であり、お金の価値についてよく考えるので興味深く読めた。
人それぞれ考え方があるから使わないお金を死んでいるとも思わないが、自分の大切な人や経験のために自分の意思で使うお金も決して無駄ではないと思えた。

2022/02/12

結論から言うと、宗教話怖い…。

最初はトレーダーの数字みっちりで嫌になり、やっと話見えてきたと思ったら宗教的な話…。

結局俗物的なんだよね誰も彼も、紙幣硬貨でも仮想通貨でも。
なんかそのズブズブ感が苦手、著者リサーチせずに読んだので自業自得のもやっと感…。
文体とかスタイルは凄いいいと思う、好きな人は好きだと思う。
私には少し怖さと暗さがあって苦手でした…。

2022/02/09

FIREとオンラインサロンというテーマが秀逸だった。
テーマだけでも結構楽しめた。

しかし、論理性が欠けててもいいから筆者の答えが知りたかった。結局、有耶無耶なエンドなのは自分好みではなかった

2022/02/06

病的なほど投資にハマっている彼女と、新興宗教にのめり込む彼氏の話。

お金について、解決策はないが疑問や不安感が増す内容。
読んだ後、妙に胸がざわついた。

本に出てきた信仰宗教について
掲げている理想は良いものもあると思うが、独裁国家のようになってしまうので1番上が無能だった場合、野蛮な風習や厳罰主義ができあがってしまう。

ひとつ、怖いなと思ったのは彼女の華美が洗脳は怖いと言っていたが彼女も資本主義の思想に洗脳されていることに気づいていない事。

信仰宗教にハマって、小さい村で自分が信じたいものだけに囲まれるという選択はある意味正しいのかもと思う。私は嫌だが、、、

2022/01/27

FIRE目指して米国株に投資する主人公のお金に対する考え方は、私も米国株の長期投資をしているので、少し共感できるところがあって面白かった。ここまで極端ではないけど。
でも、お金は使って初めて意味がある、お金の使い所が大事だなと思った。

それと、オンラインサロンの話の方で、「テレビを見ない自分たちは新しいと勘違いしている」みたいなことが書いてあって、そこがハッとするポイントだった。私もテレビ見ないし、最近の若者はテレビ見ないとか、テレビは古いメディアだとか耳にするけど、自分の興味のある情報しか入ってこないので、自分が先進的だと勘違いしないようにしようと思った。

オンラインサロンの話も、お金より信頼が大事とか、似たようなことは聞いたことがあって、極端になるとカルト集団みたいなことも起こりうるなと思った。

お金も信頼もどっちも大事で、
将来のためのお金も、今を楽しむためのお金もどっちも大事なんじゃないかなと思った。

2022/01/26

堅実な長期株式投資でアーリーリタイアを目指す彼女と、怪しげなオンラインサロンにハマる彼氏の、年収200万円台カップルの話。

今時かつ、自分に馴染み深い話題だったので、冒頭から引き込まれた。
若いうちから節約を重ねて、何十年もかけた上で、年数百万円程度稼いでくれるマネーマシンを作ることに意味はあるのか。
自分でも考えたことのある疑問であり、正反対の彼氏との関係を通じて、彼女がどういう思いに至るのか、展開にワクワクした。

ところが、中盤以降は怪しげなオンラインサロンの方に焦点が当てられ、急に現実味のない話が始まってしまったので、少し見当外れだった。
結末もパッとしないものだったので最終的には星3つ。

2022/01/04

　前半、主人公の華美と直幸の対象的なお金に関する考え方が面白く読めた。
しかし後半の展開が、飛び過ぎの感じがしてびっくりしてしまった。
「情報源がテレビだけ」の層に近いので、ついていけないだけなのか。

　華美はどこにいるかわからない感覚で終わっていたが、お金って結局どう使ったらいいか、正解なんてわからないままなんだろうな。

2021/12/23

＊
Phantom／羽田圭介

初めての羽田圭介さんの小説を読みました。

先ず題名に惹かれたのですが、想像とは違う角度からタイトルの理由かわ分かり驚きました。
主人公が、命の価値やお金で買えるものの
意味を考えた印象的な場面でした。

主人公の華美と恋人の直幸は、共に
年収200万円台の恋人同士。

価値観には大きな違いがあり、それが顕著化して
きていたが、どこか惰性で関係を続けていた。

華美は昼は真っ当な食品会社の事務員で、
夜は米株取引にのめり込みむトレーダー。
お金の稼ぐ事に執着し、人間関係も金銭に換算する。

直幸は年齢と共に容姿という武器も薄れ、
お金ではなく信頼を通貨の代わりと考える
情報発信者の末(スエ)に傾倒してのめり込む。

二人の考え方の溝はどんどんと深まり、
心地良かった関係には次第に歪んでいく。

人にとって必要なものは何か。
今すべきお金の使い方はどんなか。
今を充実するために必要なものは何か。

合理的でドライなだけの思考から、
人との関係の必要性にも秤のバランスが
触れていく過程を見た気がします。

2021/12/19

この「ファントム」というタイトル、何なのかと思っていたが主人公が事故現場を通り過ぎたロールスロイス・ファントムが無理(無視)に交差点を右折して軽自動車が衝突、片方は小破、もう一方は事故死したニュースから。
この作家の本を読んだのは3作目だけど、賞をとった作品は微温的に感じたが、その後に読んだ二作は最新のノイズキャンセリングイヤホンをつけて「ゾーン」に入ったような登場人物の世界の描写が深化しているように感じる。