長い一日 の商品レビュー
初めて読むタイプの小説。 私も酔うと理由なく泣いてしまうことがあるのでなんとなく共感。理由なくとか言ってるけど理由がないわけではないんだよね。 語り手、目線がころころ変わるのが面白かった。 仕事から帰ってきていろいろとして寝るまでのちょっとした時間、ちょこっと別世界で誰かの...
初めて読むタイプの小説。 私も酔うと理由なく泣いてしまうことがあるのでなんとなく共感。理由なくとか言ってるけど理由がないわけではないんだよね。 語り手、目線がころころ変わるのが面白かった。 仕事から帰ってきていろいろとして寝るまでのちょっとした時間、ちょこっと別世界で誰かの生活や感情を味わいたいときにちょうど良かった。 この方の他の本も読んでみたい。
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どうして突然泣いてしまったのか、説明しようと思えばできるけど、それが全てではない。 言い尽くせない事柄の方が多いし、説明したらそれで済んでしまうことに納得出来ないから説明しない。八朔さんに大変共感しました。
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引越しをするとなると、これまで当たり前に乗ってたバスに乗らなくなることになるというような文(p.97)を読んで、引越したときのことを思い出す。 私の前の家は会社の近くにあるから、いつも乗ってたバスに乗るチャンスもすぐ近くにあるのに、家がそこでなくなったというだけであのバスはとても遠い存在になって、乗ることはもうないんだろうなとよく思う。
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なかなか筆力がある作家でないか。 読んでいていい気持ちになる。 最初は自伝のようなエッセーと思いながら読んでいたが、小説と知ってびっくり。 不思議な小説だ。ほのぼのしてくる。
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- 細かな心情の移ろいや日常の動作、思いついたことを、細やかに、省略せずに書いているように進む文章。滝口さんの語るその文章世界にスーッと入っていくような感覚を得る文体。起承転結がはっきりしているわけではないのに、読書の「区切り」がなく、そのままダラダラと読み続けてしまう。 - 小...
- 細かな心情の移ろいや日常の動作、思いついたことを、細やかに、省略せずに書いているように進む文章。滝口さんの語るその文章世界にスーッと入っていくような感覚を得る文体。起承転結がはっきりしているわけではないのに、読書の「区切り」がなく、そのままダラダラと読み続けてしまう。 - 小説という体裁なので、小説だと思って読む。日記なのかどうかはさておいて、「小説家の滝口さん」とその妻、そしてその友人知人たちを描く群像劇。登場人物の中で面白いキャラクターは窓目くん。滝口さんの友人、らしい。窓目くんの飄々としている感じは文章で読むと妙な爽やかさを感じた。 - 長い一日って、それぞれの、伸びやかな、伸縮自在な、約一日を描いているのね。これは一日かけてスローに読んでいくのも良いのかもしれない。
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同じ著者の「水平線」が良かったので読んでみたが、そもそものコンセプトからそうなるのか、語り口が冗長過ぎて私には駄目。ただ筆者の友人の窓目くんが飲み会の帰りに泣いてしまったことが気になって、かなりとばしつつ最後まで見た。 窓目くん、人物としては気難しいタイプではないし生活はきちんと...
同じ著者の「水平線」が良かったので読んでみたが、そもそものコンセプトからそうなるのか、語り口が冗長過ぎて私には駄目。ただ筆者の友人の窓目くんが飲み会の帰りに泣いてしまったことが気になって、かなりとばしつつ最後まで見た。 窓目くん、人物としては気難しいタイプではないし生活はきちんと回ってる。ただ、わかりやすく書かれてたのは窓目くんが食べ物の質に拘りなくたくさん食べる、着るものや持ち物、髪型のデザイン的なものも中年の今は気にしてないらしい。それでいて何か譲れない「やること」も持ってなさそう。何も引っかかりがなく毎日が過ぎていくことへの涙かしら。酔って泣くって日頃の自制が外れて、素の感情が出るっていうことなのかしら。 日頃思うのは、生きていたら体も考え方も質的変化をするのが自然だということ。平凡な日々でも自分なりの質を気にして過ごしてたら空虚ではないと思う。どうでも良い部分かもしれないが筆者のオオゼキ愛とかその一つではないかな。ちゃんと生活してて友人もいる大の男が泣いてしまうのが小説になるのは、時代が新しい感じもした。
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日常の中の小さな幸せの瞬間が丁寧に大切に書かれていたけれど、どこかずっと寂しい。 過去を思い出すことは(どんな思い出であっても)寂しさが伴う。幸せの中に寂しさがあるのか、寂しさの中に幸せがあるのか。 過去は戻らないという事実が寂しい。戻らないから日々を大切に生きる。そのときどきの...
日常の中の小さな幸せの瞬間が丁寧に大切に書かれていたけれど、どこかずっと寂しい。 過去を思い出すことは(どんな思い出であっても)寂しさが伴う。幸せの中に寂しさがあるのか、寂しさの中に幸せがあるのか。 過去は戻らないという事実が寂しい。戻らないから日々を大切に生きる。そのときどきの気持ち 大切にする。寂しさも幸せの一部である。 ちょっと何を書いているのか分からなくなってきました。 滝口悠生さん、日常の中の風景を丁寧に描写してくれていてとても好き。
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何気ない一日のあれこれも、こうして淡々とめぐっていくときちんとドラマみたくなるのだなぁ。 しずかに、わすれないように…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エッセイと聞いたような気がしたが、出だしは私小説のようだった。しかし、読んでいくと私小説というより身辺の人物や出来事をモチーフにした、ちゃんとした小説の気配が濃厚になっていく。 語り手は滝口のはずだったがいつしか妻となり、すると滝口は夫という人物になる。二人の想いや記憶が行ったり来たりして世界を作るうちに、大家さん夫婦や友人たちの想いや記憶も取り込まれ幻想に迷い込んだかのような気持ちになる。 そこには作者の確かな企みがあり、引っ越しというメインイベントを中核に現実とは違った記憶の世界を現出し日常から自由に飛躍するおおらかさがある。 幸せなる悲しみという感じ方に詩的なものがある。日常系の文学は苦手な方だが、この作品はなんとか作者の意図に乗って鑑賞できたと思う。なんとなくユーモラスでもあり、面白かった。 妻は外で働いて夫はいつも家にいる。だからか夫には専業主婦のような細かいこだわりや内面へ記憶へと向かう傾向があり未来すら記憶の世界に戻してしまう。一言では言い表せない気持ちがあって、それを語ろうとするとかなり長い前置きの話をしなくてはならなくて、などというくだりが出てきたときにまず笑ってしまったのだが、だからこそこんな小説を長々と書いているのだということが了解され、なんだか可愛らしいではないかと好感したのだった。それでずいぶんこの本を読む気持ちが楽しくなった。
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とてもよかった。 この小説を読んでいる時、小説の中で流れている時間が自分の中にも流れこんでくるような不思議な感じがした。読んでいた時間のことを後から愛着を持って眺めることができる、そんなお話だった。
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