シン・エヴァンゲリオン論 の商品レビュー
なんだかんだ評論系でエヴァを扱ったモノをちゃんと読んだことはなかったように思う。 シンエヴァンゲリオンが延期云々で騒がれたくらいからようやく本編に触れ、そこから遡行に遡行を重ねて、動画メディアなどでこの作品のムーブメントがどうであったかを掻い摘む状態であったため いくらか独人的な...
なんだかんだ評論系でエヴァを扱ったモノをちゃんと読んだことはなかったように思う。 シンエヴァンゲリオンが延期云々で騒がれたくらいからようやく本編に触れ、そこから遡行に遡行を重ねて、動画メディアなどでこの作品のムーブメントがどうであったかを掻い摘む状態であったため いくらか独人的な結論の如何も、それはそれとしてさまざまな疑義を享受するこの作品自体へのアプローチと道筋を同じくしており 大きく見れば今までの資料で得られた知見に適うものでもあった。
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シン・エヴァ論というよりざっくりした庵野秀明論。 この10年ほどガンガン活躍中の藤田氏。 に乗っかる感じで自分語りを始めてしまいたくなる自分がいる……著者の境遇に共感したりして。 危ない危ない。 シン・エヴァで「成仏」した人向けの本だなとは思う。 いわゆる謎本や衒学ではまったくな...
シン・エヴァ論というよりざっくりした庵野秀明論。 この10年ほどガンガン活躍中の藤田氏。 に乗っかる感じで自分語りを始めてしまいたくなる自分がいる……著者の境遇に共感したりして。 危ない危ない。 シン・エヴァで「成仏」した人向けの本だなとは思う。 いわゆる謎本や衒学ではまったくない、ちゃんと誠実にロジックに落とし込んだ上で、平易。 (というか往時の謎本論調が異様だっただけだろうけれど。 そして本書の修験道云々はやや怪しいかなと思わないでもないけれど。) 戦後日本のオタク成熟論であるとか、庵野にとっての富野由悠季が、自分たちにとっての庵野にあたるとか、観点が整理された。 @ 目次 まえがきー『エヴァンゲリオン』という巨大な「インパクト」 Ⅰ 往相 1『新世紀エヴァンゲリオン』 2『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』 Ⅱ 儀式 1『ラブ&ポップ』 2『GAMERA1999』 3『式日』 4『キューティハニー』 Ⅲ 還相 1『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』 2『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 3『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 4『シン・ゴジラ』 5『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 主要参考文献 あとがき
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「観念的で現実否定的な理想を実現することではなく、不完全で猥雑なこの世界そのものを肯定することを選ぶこと。様々な生命が生まれ続けている不確定で流動的で未知なこの世界を丸々肯定しようとする覚悟。そこに至った点が、旧『エヴァ』との大きな違いであり、その「ありのまま」の態度こそが、登場...
「観念的で現実否定的な理想を実現することではなく、不完全で猥雑なこの世界そのものを肯定することを選ぶこと。様々な生命が生まれ続けている不確定で流動的で未知なこの世界を丸々肯定しようとする覚悟。そこに至った点が、旧『エヴァ』との大きな違いであり、その「ありのまま」の態度こそが、登場人物たちをも救済していく。 ・・・・・・ 「ありのまま」を認めるとは、仏教の思想でもある。世界や自己や生命を、「ありのまま」に、つまり言葉や概念に惑わされずに認識することが、仏教においては目指され、悟りの境地であると言われることがある。 ・・・・・・ 『シン・』の中では、ありのままに認めることを目指す仏教的な境地と、アダルトチルドレンの自己承認と、古神道的な自然のありのままの姿や性や身体の肯定による生産力の賞揚の感覚が重なって表現されているように思われる。キリスト教的な意匠を使っているが、一神教的な物語ではなく、複数の基層的な価値観・世界観の衝突そのもののドラマであると言った方がいいだろう。「神殺し」という言葉も繰り返されるが、それは世界を外部の超越的な視点から裁き、設計図や理想像に合わせようとする一神教的な残酷さへの批判だとも理解できる。 それを、アニメという、感覚的・身体的な高揚感を生み出す側面と、身体を忌避する傾向の両方を併せ持つ表現によって表したのが『シン・』なのだ。繰り返している通り、実写とアニメとCGという表現技巧を組み合わせ「虚構と現実」の新しい混とん状態を生み出し、それと指導を相即させることでそれが実現した。 ネットで「成仏」という言葉が使われたのは、無意識かもしれないが、本書が論述してきたような宗教的な側面、仏教的な即念を的確に理解し、洒脱に表現していたのだと解釈できるだろう。大衆とは、そのような知恵を持っているものである。」(225頁~226頁)
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全くの同い年の著者の、エヴァに対する思いが伝わってきた。考察もなるほどなと思うけど、共にエヴァに触れながら数十年を生き、そしてシンエヴァで完結を迎え、世界を、現実をありのまま受け入れて生きるという境地にたどりついた末に感じる思いに本当に共感させられた。 EOEの驚愕のラストから...
全くの同い年の著者の、エヴァに対する思いが伝わってきた。考察もなるほどなと思うけど、共にエヴァに触れながら数十年を生き、そしてシンエヴァで完結を迎え、世界を、現実をありのまま受け入れて生きるという境地にたどりついた末に感じる思いに本当に共感させられた。 EOEの驚愕のラストから、こんなに豊かで温かい作品に成長させてくれた監督はじめスタッフに本当に感謝したい。テレビ版、EOE、シン劇場版と、全てが愛おしい、本当に人生において欠かすことのできない作品である。 そしてその作品をここまで丁寧に解説し論じてくれた著者の作品に対する愛情に敬意を表したい。
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エヴァ好きのエヴァ好きによるエヴァ好きのための本 式日、キューティーハニーやシンゴジラまでもがTV版から新劇場版に至るまでの伏線になっているとは 現実に戻れ…庵野監督のこのメッセージが深い
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