海神の子 の商品レビュー
熱源に続き二冊目。 重厚で、波瀾万丈な人生を体験出来た。 予備知識が少ない分、先入観なく読めました。
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川越宗一は『熱源』で初めて読んで、そのスケール感に驚かされた。今度は海賊の話。平戸で生まれた福松は、夫を殺し、夫の名を語り海賊の頭となっていた母と再会し、明国へ渡る。皇帝自死ののち、新たな皇帝を建てるという壮大な話。国姓爺合戦という言葉は知っていたが、中身は知らなかった。国姓爺となる鄭成功こと田川福松の話。
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主人公「陸では生きられない者の居場所を作る」 ???「おまえの作る天下からも、弾かれる者はいるぞ?」 「国性爺合戦」のモデルとなった英雄・鄭成功を描く……という触れ込みで拝読しましたけど。 歴史小説というのはアレか? キャラの気持ちを3文以上掘り下げたら作者は血を吐いて死ぬ呪いでもかかってんのか? ってくらい、主人公以外の出てきたキャラはその場その場の気持ちを描写されるだけで『おしまい!』の尻切れトンボが連続でした。 えっ妻たちのホームドラマ無いの?! 主人公とのなれそめ的エピソード描写は!? レオ・コープについて要所要所で掘り下げることがあるんじゃねえんすか!? えええ!? これがラノベとかだったら、 『陸じゃ生きてけない女傑の息子に生まれましたが、中国皇帝を目指すことになりました』 ってタイトルで、まず松さんの描き方から変わると思います。ていうかそっちの方が読みたい。 下手な演者の布袋劇(プータイシー)かって感じで。 板切れに目鼻描いたよりはましでも、『血肉の通ったキャラクター』というより『演者のあやつる木偶』感半端ない。 序盤のヒロイン、松さんの描き方とか不満垂れ始めるときりがない。 「台詞が少ない寡黙なキャラクター」であることは分かるけど、描写が上っ面すぎて、何を好み何を憎むかすら曖昧なのは困る。 歴史小説とは、歴史小説を読みなれた読者以外には、娯楽として消化不良の元という感想をもつのは、次の 『かけおちる』 を読んでからにしようと思う。 本作に限って言えば、娯楽として消化不良の元。 戦乱の時代に七転八倒、母からは千尋の谷に突き落とされ、妻7人とのあれやこれやを活写した『陸じゃ生きてけない女傑の息子に生まれましたが、中国皇帝を目指すことになりました』だったらよかったなぁ!
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先日読んだ『熱源』がなかなかだったので、もう一冊。 日本では近松門左衛門作の人形浄瑠璃『国性爺合戦』で有名な鄭成功。中国人の父・鄭芝龍と日本人の母・まつの間に生まれた鄭成功は、清に滅ぼされようとしている明を擁護し抵抗運動を続け、台湾に渡り鄭氏政権の祖になります。そんな鄭家二代の物...
先日読んだ『熱源』がなかなかだったので、もう一冊。 日本では近松門左衛門作の人形浄瑠璃『国性爺合戦』で有名な鄭成功。中国人の父・鄭芝龍と日本人の母・まつの間に生まれた鄭成功は、清に滅ぼされようとしている明を擁護し抵抗運動を続け、台湾に渡り鄭氏政権の祖になります。そんな鄭家二代の物語。 歴史的事件の流れは史実に沿ったものですが、主人公級の人物設定を大きく変えていて、例えば、母・まつは二人いて、実の母の松は自らが殺した夫・鄭芝龍の影武者に蛟という男を立て、それを裏で操つる南海の海賊の真の頭目。育ての母・まつは長崎で子供の鄭成功(日本名福松)を育てている。なので物語はいきなり松が長刀を背負って海賊船に立つシーンから始まります。 書評も高くエンタメとしては面白いのでしょうが、私はどうもその不自然さに引っかかってしまいます。下女だった15歳の松が、刀で男たちを追い回すのも、松が敵の小物だった蛟を初見で影武者に引き上げるのも無理がある。更に主役級の三人、松、蛟、鄭成功の行動の理由がふら付いているように感じます。その点、脇役のほうがシンプルなだけにしっかりした人物設定になっているようです。 そんな訳で「何で?」が先に立って、乗り切れない物語でした。
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明から清にかけての中国と海賊の話。 中華と夷。親と子。 実話がベースと知り、エンターテイメントとして成立させた腕に感服。
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11月-12。3.0点。 鄭成功の物語。産まれてから、明を復興させる戦い、晩年までを描く。 スピード感あって読めるが、いかんせん馴染みのない人物だったので、頭への入りが弱めだった。
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直木賞受賞作『熱源』の著者の作品。 前作が良かっただけに、そのギャップで残念さがハンパない。かなり、まとまりのない駄作じゃなかろうか。 近松浄瑠璃「国性爺合戦」や歌舞伎演目で有名な国姓爺(鄭成功)を主人公に、膨張、暴走極まりない中国に物申すという点では、時宜を得た作品になるのではと期待もしただけに残念。 人間関係も、大きく変更し、フィクションの部分を大いに含まらせているのは面白いが(そもそも、どこまでが史実で、どこがフィクションなのかも良く知らないけど)、その設定も活かせてない。 予備知識も乏しいまま読み始めたので、序盤は「松」の話なのかと思った。著者のインタビューなどをググっていると 「最初は鄭成功ではなく、母親の田川マツ(作中では松)に興味を持ちました。中国人海賊と国際結婚し、後の英雄の母である彼女の数奇な人生に惹かれたんです」 とある。女海賊の体で登場した松、『村上海賊の娘』(和田竜著)の二番煎じにもなりかねなかったが、孤高の女頭領のキャラは、ジブリ映画のクシャナ殿下、エボシ御膳を彷彿させ悪くなかった(言葉少なく策謀も働かせない愚直なところは、SW ep.7のキャプテン・ファズマ的でもあった)。その興味のままに「松」目線の物語としても良かったのではなかろうか? 時代の求めに応じて、女性の自我、地位向上なども盛り込もうとしたのだろうか。福松の妻董友のキャラもそこそこ際立っていたが、「全て、あたしが選んだ道だ」と言わしめる終盤の見せ場も、それまでのグダグダの右肩下がりの展開の中では、むりやり取ってつけたかのようで、イマイチ高揚感を得られなかった。 中国人と日本人のハーフが、台湾や香港まわりの海域で活躍する。非常に時宜を得た物語になる可能性があると思うだけに、力作『熱源』をものした著者なだけに、なんとも盛り上がりに欠けた、まとまりのない物語となっていて、残念でしかたがなかった。
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国性爺合戦をモチーフとしていて、福松(のちの鄭成功)が幼少期に中国にわたり将軍になり台湾統治に至る、という史実には沿っているが、この物語の主題はそれではないような印象を受ける。 この物語は中国が明〜清へ変遷しゆく時代に、中国、日本(平戸)、台湾の地で生きた人の犠牲にした物、手に...
国性爺合戦をモチーフとしていて、福松(のちの鄭成功)が幼少期に中国にわたり将軍になり台湾統治に至る、という史実には沿っているが、この物語の主題はそれではないような印象を受ける。 この物語は中国が明〜清へ変遷しゆく時代に、中国、日本(平戸)、台湾の地で生きた人の犠牲にした物、手に入れた物、失ったもの、手に入れたかった物を通して浮かびあがるそれぞれの信念の物語だ。 自分の信念故に突き進み周囲を巻き込む人々は英雄なのかエゴなのか、例え理想的と思える考えがあったとしても、人間には感情があり思い通りにはいかない。 自由を求めて海に出た人々の、文字通り波瀾万丈な人生、あらゆる選択をしてきたけれど、それぞれやはり無念さが残る。果たしてどうすれば良かったのか? と感じながら読んでいたがそのモヤモヤを終盤6章〜終章が全てさらってくれる。 個人的には施大宣(シータイソワン)の語りの部分がとりわけ良かった。 私も「人は誇りがないと生きられないものだ」と言った蛟(カウ)という人物に魅かれていたからだ。 架空のキャラクターである蛟(カウ)の登場と女海賊で鄭家の頭となる松を母に持つ福松という架空の設定が、多くの実在の人物の内面を際立たせており、物語に引き込まれる。 三国志の人形劇を観て、ごっこ遊びをしていた幼馴染3人が将軍になり国姓爺と呼ばれるまでになる。そしてのちに国性爺合戦という演劇のモチーフになる人生まるごと夢か現か。 姓から性へと字が変化していることに天命は移ろいゆく定めだとの儚さも感じる。 唯一ひっかかったところは、登場する女性全員がさっぱりしすぎていて強い人である(それは生きる為に常に選び続けなければいけない人生だったからなのだろうが)という事だ。狡さや可愛らしがもう少し感じられたらこの女性達に感情移入できた思う。 しかし壮大なストーリーを楽しんだので、次回作も楽しみにしたい。
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中国で明から清へと王朝が変わる中、海賊の松(まつ)の子供である福松(ふくまつ)が、中国や台湾を舞台にして成り上がろうとする物語。海神とは福松の母親のこと。その子である福松が、人々と出会い、清と戦をしながら福松の志(民に居場所をつくること)を一貫して実現しようとする。福松が少年時代に出会った甘輝(カンフイ)と施郎(シーロン)の活躍なども含めて、この時代の三国志のようである。中国の人名が読みにくかったり、福松の立場が変わると名前が変わることなど、読むときに混乱しないように注意する必要もあるが、全体的にスピード感もあり、するすると読める。
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鄭成功が平戸で知り合った中国系の海賊と日本人の娘の子供という出自で 台湾にたどり着くのは彼の人生の中では最後の一時であり それまではほぼ鄭一族として海賊の首領としての活躍というが大きい 彼の時代に語られていた台湾はフォルモサといわれ ポルトガル語系で 美しい島 美麗島とも通じ...
鄭成功が平戸で知り合った中国系の海賊と日本人の娘の子供という出自で 台湾にたどり着くのは彼の人生の中では最後の一時であり それまではほぼ鄭一族として海賊の首領としての活躍というが大きい 彼の時代に語られていた台湾はフォルモサといわれ ポルトガル語系で 美しい島 美麗島とも通じる それはヨーロッパの人々や鄭成功達中国や東南アジアから追われた人々が 辿り着いた島は美しいはずだという希望が込めれれていた気がしてならない
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