海神の子 の商品レビュー
鄭成功という名は知っていたけれど 実際どういう人物でどういった人生を 送ったのかは知らなかった。 福松の母(松)が海賊という設定は 読んでいて興奮するもの。 最後まで夢を諦めない想いに胸を打たれる。
Posted by
「天地に燦たり」、「熱源」と魂を揺さぶられた川越宗一氏の新作とあって、期待して読み始めた。前2作も被差別民や生まれつきどうしようもないものを背負わされた人々が、諸々翻弄されながらも懸命に生きる姿が印象的な作品だけど、今回も基本設定は似ている。舞台は日本から台湾、中国へと移り、江戸...
「天地に燦たり」、「熱源」と魂を揺さぶられた川越宗一氏の新作とあって、期待して読み始めた。前2作も被差別民や生まれつきどうしようもないものを背負わされた人々が、諸々翻弄されながらも懸命に生きる姿が印象的な作品だけど、今回も基本設定は似ている。舞台は日本から台湾、中国へと移り、江戸時代初期、中国では明の末期頃というところ。読み始める。前半はいい。いろいろ絡み合って話しがコロコロ展開していく。が、後半は必然性が感じられない主人公の空回りがただ続くのみで、そこにドラマが感じられないのが残念。前2作で感じた読後のスッキリ感のない、尻すぼみな作品でした。 しかし、海賊稼業の戦闘シーンなどを盛り込んで作品の幅を広げようと試している感もあり、次作にまた期待したいと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
国性爺合戦のモデルとなった、鄭成功こと福松の一生を描く。海神の異名を持った母の元に生まれた福松は、母が頭領を務める海賊の一員として、幼い頃に、当時の中国である明に渡る。海賊の一家を守るため、そして一家に貢献するために、官僚になる道を選んだ福松だが、国家としての明が危うくなり、一家を活かすための道を模索する。一家のため、自分の目標のために、すべきことを悟り、自ら選び、実行に移していく。 自分で見定め、そして自分で選んだ道だからこそ、最後まで航り切る。結果はどうあれ、物語として面白かった。実の母を裏切り、育ての母や親友を犠牲にしてでも突き進んだその志が美しくもあり、悲しい。
Posted by
天は、人の中より有徳の人を選び、天下を統べよと命ずる。これすなわち天命。 天命は血脈によって継がれるが、もし徳を喪えば、天は別の人に命を下す。 天命の革まるを革命という。 世に名を成す者は決断の連続だ。 正しかろうが、間違っていようが、その決断は史実に残る。 幼名...
天は、人の中より有徳の人を選び、天下を統べよと命ずる。これすなわち天命。 天命は血脈によって継がれるが、もし徳を喪えば、天は別の人に命を下す。 天命の革まるを革命という。 世に名を成す者は決断の連続だ。 正しかろうが、間違っていようが、その決断は史実に残る。 幼名を福松、平戸で生まれ育った幼子は、ゆくゆくは倭寇の頭領、鄭成功として歴史に名を刻む。 明の滅亡に際し、清への抵抗勢力として戦ったのち、台湾を東インド会社から開放した海賊の親玉。 家を守るため、実母を放逐し、重臣に裏切られ、友を失い、元々の目的を果たせず葛藤するも、決断を重ねていく。 天命がなければ、ならば天を海が飲み込むまで。 天命に抗い続けてもなお、鄭成功が目指した国とは。 媽祖と呼ばれた海賊の女頭領がいた。 子を成した夫を殺し、福松と名付けられた子は平戸藩に出仕する田川家に預けられて育つ。 海ならば、どこへでも行ける。 まだ少年の福松を連れに来た母に従い、福松は大陸へと渡る。 海賊、鄭家の頭領、鄭芝龍の息子、自らを鄭森と改めた福松は、鄭家を守るためには政治の中枢に入り込まなければと考える。 しかし、明の世は終焉に近づき、代わりに清の革命が起きようとしていた。 鄭家を守るため、居場所がない人の拠り所となるために戦いの日々に身を投じる。 いくつもの決断の果てに、母と決別し、仲間に裏切られ、友を失うことになっても。
Posted by
国姓翁合戦は昔耳にしたことがある。本書の最終章にある浄瑠璃の世界だ。母親の松から生まれた福松の一生だ。波瀾万丈の一生を描いた感動の作品だ。徳川幕府が出来て間もない時代壮大な一生を送った生きざまは凄まじいがこれもまた自分が選んだ道だ。良い作品に出会えて感謝❗️
Posted by
冒頭の海の描写からワクワクして一気に読み終えた。母はとことんカッコいいし、父はいきなりとんでもないことになっちゃうし、史実を基礎にしながらも随所で著者の想像力が炸裂している。そして、その創造部分が何より活き活きとしていて爽快! これを読んでから史実に触れる方がワクワクするだろう...
冒頭の海の描写からワクワクして一気に読み終えた。母はとことんカッコいいし、父はいきなりとんでもないことになっちゃうし、史実を基礎にしながらも随所で著者の想像力が炸裂している。そして、その創造部分が何より活き活きとしていて爽快! これを読んでから史実に触れる方がワクワクするだろう。ドラマ性に溢れたエンターテイメント活劇。面白い。
Posted by
【東アジアの海を舞台に描く、直木賞受賞第一作】明の海寇を父に、日本人を母に生まれた福松は、台頭する清に抗い、海に居場所を求めて闘い続ける。鄭成功の半生を新たな形で描く。
Posted by
- 1
- 2