遅咲きの男 の商品レビュー
ノーベル賞受賞後に発表された短編集で作者の育った高密県東北郷が舞台の私小説。私小説とはいえ小説、嘘か誠か、非現実的と現実が混ざりあい、マジックリアリズムは健在です。土埃舞う雰囲気と土着的な空気感に満ちており、中国の農村に生きる民衆の息吹が伝わってきます。 定価4400円とレジに持...
ノーベル賞受賞後に発表された短編集で作者の育った高密県東北郷が舞台の私小説。私小説とはいえ小説、嘘か誠か、非現実的と現実が混ざりあい、マジックリアリズムは健在です。土埃舞う雰囲気と土着的な空気感に満ちており、中国の農村に生きる民衆の息吹が伝わってきます。 定価4400円とレジに持っていってびっくりの本でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
作者莫言の故郷、高密県をモデルにしたらしい短編12篇が載っている。 わたしたちのような、中国の実情を知らない人間から見ると、本当なのか嘘なのかと疑いたくなるような物語が、淡々とした語り口で、独特のリアリティを持って描かれる。特に、右手のない少年田奎の「左鎌」、違法漁師と交渉して得たスッポンに指を噛まれる少年小奥の「天下太平」、息子を攫った狼に復讐する母三嬸の「松明と口笛」は、インパクトがあり、記憶に残った。当時の中国の農村に暮らす人々の生活感覚は、自分の想像力を圧倒的に超えている。 「偏屈者」は、自分が気に入らないことをした人間への恨みを忘れず、必ず復讐する男武功の物語で、武功の執念深さとその復讐の恐ろしさが語られた末、最後の一文は、「あれが憎んだ者たちは、死んだり、出ていったり、病気になったりしてしまい、武功は、最後に笑う勝利者であるようだが、些細な恨みも晴らさではいられない凶悪な弱者でもあるようだった」と締め括られる。ここに、故郷の友人について語る語り手の、あいつは恐ろしいやつだと話す故郷の人々を、やや離れたところから見るような、そういった距離感を感じる。 どの短編も、最後の一文の印象が強い。ただ、それをまだ、読み切れない。
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お恥ずかしながら現代中国人作家の小説って全然読んでないからなんだけども、こういう書き出しってなんか珍しくないか…??どうなんだろう…虚実入り混じってるのか…それともそれも含めてフィクションなのか…ううむ… まだ全然歯が立たない…
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莫言「遅咲きの男」読んだ https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/06/005444.html 蛙鳴を読んで驚愕したマジックリアリズムはこの本では薄まって、でも日本人のわたしの想像が追いつかない日常が書かれてる。中国。。。ワンダーランド。。すき。。
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ノーベル賞受賞作家 莫言の短編集。 どのような社会や体制であっても人の営みには共通するものがあるということを感じられるのが外国文学を読む楽しみ。 共産党が自己批判した文革のことは書きたい放題というのがあからさまで興味深い。言論に制限がある中で著者の表現はますますの冴えを見せる。
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中国のノーベル賞作家の受賞後の作品。 読みずらかった。国の歴史と人間の有り様を 考えさせられた。そんな環境の中で、どうして 文章を書くようになったのか、それとも、単に 天才で済ませるか。 作家のモーイェンがどのように感じて、生きて、 文筆生活に入ったのか、知りたいと思った。
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二〇一二年のノーベル賞受賞後、最新作。表題作をはじめ、二〇一一年から二〇年までに書かれた短篇十二篇を収録する。
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