移動迷宮 中国史SF短篇集 の商品レビュー
歴史SFといえば概ね現代又は未来から過去の出来事と関わる〈タイムトラベル〉物のイメージだが、ここにある短編は、歴史そのものにSF的要素を盛り込ませる、といった趣で、少し難しいものもある。 だから、巻末の「編者解説」が役立つ。 もともと宝樹『時の祝福』が読みたくて、このアンソロジ...
歴史SFといえば概ね現代又は未来から過去の出来事と関わる〈タイムトラベル〉物のイメージだが、ここにある短編は、歴史そのものにSF的要素を盛り込ませる、といった趣で、少し難しいものもある。 だから、巻末の「編者解説」が役立つ。 もともと宝樹『時の祝福』が読みたくて、このアンソロジーを手に取ってみた。引用されたH.G.ウェルズ『タイムマシン』をうまくアレンジして、宝樹らしい物語だった。 韓松「一九三八年上海の記憶」は、どこか枯れた若者の漂うような時間の波が印象的。 夏笳「永夏の夢」は、放課後の理科室、ラベンダーの香りのような時間SFで、とても切ない。 アンソロジーは半分くらい面白ければ、充分楽しめたと言える。
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『中国史SF短篇集 移動迷宮』読了。 馬伯庸のそれらしい偽故事成語続出のコーヒー伝来改変歴史SFのインパクトも然ることながら、個人的には魯迅作品を土台にタイムマシン要素を加えた宝樹「時の祝福」がいちばん刺さった。 中国SFの邦訳アンソロとしてはすでにケン・リュウや立原透耶のものを...
『中国史SF短篇集 移動迷宮』読了。 馬伯庸のそれらしい偽故事成語続出のコーヒー伝来改変歴史SFのインパクトも然ることながら、個人的には魯迅作品を土台にタイムマシン要素を加えた宝樹「時の祝福」がいちばん刺さった。 中国SFの邦訳アンソロとしてはすでにケン・リュウや立原透耶のものを読んでいるけれど、そこで知った素晴らしい作家たちの未読作が読める幸せ。 巻末の解説で書かれていたけれど、中国SFといえば歴史ものが多い印象をもっていたけれど全体の比率としてはそれほど多いわけでもないってのが意外だった。言われてみれば英語や日本語へ訳出されるらしいにそういう作品が選ばれやすいっていうバイアスなんだろうなあ。
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世界を席捲する中国SF。悠久の中国史を舞台に、飛?、宝樹、程?波らいま最も勢いのある作家が想像力の限りを尽くした超豪華短篇集
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