コーヒーに砂糖は入れない の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者による『詩の教室』を読んでみたので( https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4783738262 )、では、実際、先生たる著者の作品、詩集を読んでみようと手に取った。 年代が近いころに書いた詩ということもあってか、なかなか良かった。勤め人をしていたことにも関係あるのかもしれない。 著者18年ぶりの詩集だそうだ。 『詩の教室』で語られていることを実践しているようで、それも良かったのかもしれない。例えば、 「詩が書けないときはいったん日記に戻る。日記よりましかどうかを判定してみる。日記を基準に置く。これが対処法のひとつ目。」 と『詩の教室』にあるように、本書のほうに「日記のように 2019」という詩もあったりする。 ひと回り以上離れた著者であるが、本書に収められている詩は、空白の18年の間に書かれたものも含まれるのだろう。「ほかのものがみたい」という詩の中に、 「五十六歳 こんなところでこんなことをしている自分を あのころに想像することはありませんでした」 あるいは、表題作に、 「もう 五十七歳の夏になっていた」 とある。 今の自分と同じ年齢の時に書かれたのだろう。 56の今、これらの詩に触れることが出来たのは幸いだったかもしれない。「五十七歳の夏になっていた」と、気づかぬうちにそうならないよう、いろんな感性を働かせていこうと、刺激を受けた。 「床屋で」という、年老いた母親のことを語った詩も、もう少し先に味わう感慨なのだろうなと、しみじみさせてもらった。
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