泥濘 の商品レビュー
発売日の前に発注し、発売となった頃に手元に届いた。そして紐解き始めて夢中になった。 あの「二宮」と「桑原」のコンビが還って来た! 二宮は大阪の通称“アメリカ村”の辺りに小さな事務所を構えて「建設コンサルタント」と称して“仕事”をしている。“仕事”というのは「前捌き」が転じて“サバ...
発売日の前に発注し、発売となった頃に手元に届いた。そして紐解き始めて夢中になった。 あの「二宮」と「桑原」のコンビが還って来た! 二宮は大阪の通称“アメリカ村”の辺りに小さな事務所を構えて「建設コンサルタント」と称して“仕事”をしている。“仕事”というのは「前捌き」が転じて“サバキ”と呼ばれるモノで、建設現場に絡まるヤクザ等に纏わる調整を図るべく、何処かの組に話を通すようなことだ。近年は、その種の仕事も先細りであるが。 その二宮が「疫病神」と呼ぶ「イケイケ極道」が桑原である。桑原はシノギの手伝いをさせようと二宮の所に現れ、二宮は様々な事件に巻き込まれる。2人が動き回る事件を通じて、何時も幾分の金は得ている。そして桑原から幾分の分け前は貰っているが、割に合うものでもないかもしれない。 そういうことで、この二宮と桑原のコンビが絡まる様々な事件が描かれているのが<疫病神シリーズ>と通称される一連の作品である。本作は7作目になるという。 本作は二宮の事務所に桑原が現れる場面から起こる。(このシリーズは殆どがそういう感じだが…) 桑原は、歯科医師達が保険診療の治療費を不正に請求して受け取った一件の背後に、警察OBや他所の組のやくざが関係していると観ていて、彼らが不正に貯め込んだ金を奪うというシノギを思い立った。 新聞報道を次々と出して事案を説く桑原の話しを聞いていた二宮だったが、桑原はその他所の組の幹部と二宮とが面識を有している筈であると言い出し、二宮が知る幹部の上に居る若頭に会う段取りを付けたいとした。そして「手間賃を5万円」につい惹かれて、二宮は面識が在る男に電話連絡をした。 二宮は電話をするだけという意図だったが、桑原に同行を求められ、他所の組の事務所に一緒に行くこととなる。実は、その組と桑原との間では、数年前に“債権整理”という話しになった時に利害の衝突が発生して、双方の組長同士の話し合いで事を収めたという因縁が在った。 そういう因縁が在る場所に桑原が乗り込み、二宮は同行を余儀なくされたのだったが、その場で喧嘩沙汰となってしまい、二宮は見事に巻き込まれてしまった… 乗込んだ組というのは、何やら「妙に?」という程度に金回りが良かった。そういう状況の背後に何が在るのか?桑原の企みに巻き込まれた二宮だったが、二人は金を掴むことが叶うのであろうか? 次々に危難に襲われながらも、敵陣営のカラクリが次々に明かされる様子が痛快だ…未だ新しい文庫本なので、余り仔細は綴らない方が好いであろう。 何度か訪ねている大阪の、聞き覚えが在る地名の方々で物語が展開していて、様子が思い浮かぶようでなかなか愉しく読んだ。
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