小説 人間失格 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
人から疎まれる自分の特質も、自分自身で愛する事ができればどれだけ楽だっただろうか… 読了後、一番にそう感じた。 突然転がり込んできた葉蔵を温かく迎え入れてくれたスタンド・バアのマダム。 これは、マダムの元に葉蔵が送った手記。 幼い頃から、新刊の少年雑誌を十冊以上もとってもらえるような裕福な家庭に生まれた葉蔵だったが…。 日々人間恐怖にかられる彼は、本性をひた隠し、人前ではおどけて皆を笑わせていた。 そんなミステリアスで孤独な匂いが女性を次々と引き寄せた。 父の望む道には進まず、女性の家を渡り歩いていた。 初恋の女性との心中やオーバードーズはどちらも未遂に終わり、居心地の悪さはどこへ行っても増すばかり。 モルヒネ中毒に陥り、喀血を起こして女性のいない病練で廃人のようになった彼は「人間、失格。」。 しかし、マダムは後に、 「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした。」と語る。 マダムの「あのひとのお父さんが悪いのですよ。」という言葉に救われた。 マダムは彼の核心に気づいていないのではなく、気づいた上で認めたのだと感じた。そして、全てを背負って生きてきた彼の心の叫びを受け止めていた。 恵まれているのに…何故幸せを感じられないのだろう。何故自分はこうも皆と違うのだろう。 彼は生涯にわたって苦しみ続けた。 マダムのように彼を許し、認めた人々の存在に目を向けられないほど彼は疲弊していた。人を信じることができなくなっていた。 苦痛に満ちた人生ではあったが、多く人に支えられた人生でもあったのではないだろうか。 人から受け入れられたい。 認められたい。 彼の偽りはそんな気持ちから始まった。 自分を自分で認める事は容易ではない。 だか、彼にはそれが必要だった。
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読んだら鬱になりそう、、とずっと敬遠していた本書。 読んでみたけど、そういう内容ではなかった。 グロテスクな描写なく、たんたんと話を進めていく様は、自分の心に深く刺さっているからこその書きぶりなのかな。 傷を隠すために自分を偽るのは仕方ないことだけど、いつかそれをやめないと辛いま...
読んだら鬱になりそう、、とずっと敬遠していた本書。 読んでみたけど、そういう内容ではなかった。 グロテスクな描写なく、たんたんと話を進めていく様は、自分の心に深く刺さっているからこその書きぶりなのかな。 傷を隠すために自分を偽るのは仕方ないことだけど、いつかそれをやめないと辛いままだな。
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やはり太宰さんの作品は面白いな思った。 今の時代にもこのような人間はいるだろうしとても感慨深い内容だと思う。読んで絶対に損はない作品 またこちらの本はイラストや言葉の意味なども添えられているのでとても読みやすく初めて読む人にとても優しい仕様になってるのでオススメです
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