マツダの魂 の商品レビュー
マツダの3代目社長で、マツダを日本を代表する自動車メーカーへ飛躍させた松田恒次氏の生涯を描いたノンフィクション。松田恒次氏の父親重次郎氏が広島で東洋コルク工業の社長を引き受けたことが、現在のマツダに至るルーツです。当時コルクは、軍艦の砲弾の保管に不可欠な素材として利用されていまし...
マツダの3代目社長で、マツダを日本を代表する自動車メーカーへ飛躍させた松田恒次氏の生涯を描いたノンフィクション。松田恒次氏の父親重次郎氏が広島で東洋コルク工業の社長を引き受けたことが、現在のマツダに至るルーツです。当時コルクは、軍艦の砲弾の保管に不可欠な素材として利用されていましたが、軍需の将来性に見切りをつけた重次郎氏がオートバイ、オート三輪(オートバイにもう一つタイヤを増やして荷物を積めるようにしたもの)、3輪トラック、4輪トラック、そして4輪の自動車へと事業を拡大していくプロセスが、戦災や原爆被害を絡めて描かれています。 現在は自動車メーカーとしては中堅といった位置づけですが、かつてはOHVエンジン(オーバーヘッドバルブエンジン。吸排気バルブがシリンダー上部にある現在主流となっているエンジン)、自動車専用船による完成車の輸送、生産管理業務へのコンピュータの導入、など業界初を連発する技術に長けたメーカーで、1960年代にはトヨタ、日産をしのいで生産台数日本一に輝いた時もあったというのは、本書を読んで初めて知りました。そしてマツダと言えば、ロータリーエンジン。これら技術開発を先導したのが技術にも長けた経営者であった恒次氏です。ロータリーエンジンの開発は、NHKの「プロジェクトX」でもとり上げられましたが、本書ではその技術の部分の解説はそれほど深くなく、あくまでもマツダという会社がどう歩みを進めたかに軸足を置いた内容でした。 筆者は恒次氏に対して好意的に描いていますが、後継者選びについては恒次氏の息子耕平氏を後継者とした点については、唯一ネガティブな見解を述べておられます。結果として耕平氏の時代にマツダは大きく経営が傾いた事実を考えると、やはりカリスマ経営者の後継者選びというのはいつの時代も難しい問題だと感じました。 本書は松田恒次氏の生涯を脚色なく詳細に描いています。マツダという企業の歴史を知るには最適のノンフィクションです。
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面白くて一気に読めた。カリスマが初代で二代目が落ち着いているパターンはよくあるが、マツダの場合は初代も二代目もカリスマのワンマン社長。そして、やはり後継者選びは難しい。 ロータリーエンジンの開発話は、とても爽快。ワンマンはよく否定されるけどやはりスピードを持ってことにあたるにはワ...
面白くて一気に読めた。カリスマが初代で二代目が落ち着いているパターンはよくあるが、マツダの場合は初代も二代目もカリスマのワンマン社長。そして、やはり後継者選びは難しい。 ロータリーエンジンの開発話は、とても爽快。ワンマンはよく否定されるけどやはりスピードを持ってことにあたるにはワンマンは向いている。 あと技術は必要だが、それ以上に人望とかポリシーが大事だ。
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マツダの3代目社長である松田恒次氏の評伝。ロータリーエンジンの開発を進めた経営者がどういうことを悩み考え、成し遂げてきたのか。戦後の自動車行政に時に抗しながら民として毅然と課題に対処した姿勢が描かれている。快い著作。
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日本の車メーカーマツダの創業者の息子松田恒次について書かれた本である。 不屈の魂というタイトル通りきつい状況であっても重次郎も恒次も自分たちのやることを信じて貫く強さがあると感じた。ワンマン経営の良さを発揮できている事例であり、中国などのようにそれによって成長できるケースは多々あると思う。しかし結局、後継者問題から終わりを迎えるというのは典型的な例で、これを解決する方法がない限り、ワンマン経営は短期で終わってしまうと感じた。 それはさておき、重次郎も恒次も次を見通す力があり、必要な技術に対して投資を惜しまなかったし、周りとの関係も非常に大事にし、公私を混同しないようにした。しかし変遷機も徐々に変えていくピボット方式で行なっていると感じた。また、日本車のこだわりを体現したようなものづくりのこだわりを書いており、ロータリーエンジンのところは痺れた。また、窮地に追い込まれた時に新しいアイデアを出し、地元広島のためという思いで頑張るかっこいい姿に憧れた。 経営者としては先を見通す力同様、従業員や相手企業と関係を築く力はとても必要だと感じたし、それの積み重ねがいざ動く時に力になると思う。
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面白かった。 一気に読んでしまいました。 トヨタや日産より売れて、マツダが生産台数1位の時代があったことを、恥ずかしながら初めて知りました。 自分もバブル期に、フォードフェスティバキャンバストップ(昔のマツダデミオ)が大好きで、30万kmを超えるほど長く乗ったことがあり、マツダ大...
面白かった。 一気に読んでしまいました。 トヨタや日産より売れて、マツダが生産台数1位の時代があったことを、恥ずかしながら初めて知りました。 自分もバブル期に、フォードフェスティバキャンバストップ(昔のマツダデミオ)が大好きで、30万kmを超えるほど長く乗ったことがあり、マツダ大好きです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
マツダの歴史を書いた本が無く、それが在京自動車メーカとの知名度の差だと思っていたので、待ちに待った1冊。 ・空襲及び原爆を受けた広島市民を、マツダ病院が受け入れ。社員を総動員して救護に当たる。 ・一代:重次郎 ①ポンプ、②信管、③コルク製造④バイク ⑤バタンコ 関西の重鎮 信じていた人間から多数裏切り及び、横領を受ける。 一度倒産 翌年マツダ設立 2代:恒次 21歳の時に、結核性炎症で左足を切断。義足で過ごした。 王シフトを考えて実践 カープ社長の時代も有り。 表には出なかったが、危機の時、経済界を纏めて窮地を救った。一度解散、次年度カープとして再生 3代:耕平 普通車もロータリーにして大失敗。失脚する。 ・オイルショックで60円のガソリンが120円に 経営危機 ・60-62年生産台数日本一。安い車が多く、売り上げでは差を付けられる。
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