猫が歩いた近現代 の商品レビュー
すごい。ともかく圧倒される。出典があるといいなと思ったけど、専門書みたいに後半四分の一が注になってしまうんだろうなあ。怖い猫の絵がかわいくなる話とか、猫の写真が撮れるようになったのが明治後期から、は言われてみれば当然なんだが。なめ猫が出てきて一気に自分の時代と重なるようになって、...
すごい。ともかく圧倒される。出典があるといいなと思ったけど、専門書みたいに後半四分の一が注になってしまうんだろうなあ。怖い猫の絵がかわいくなる話とか、猫の写真が撮れるようになったのが明治後期から、は言われてみれば当然なんだが。なめ猫が出てきて一気に自分の時代と重なるようになって、そのあとはなんとも懐かしく読んだ。
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https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/iwjs0027opc/BB03708443
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猫イメージの「近代」は明治末に始まる。 「猫が美人の「添え物」や擬人化・化け猫といった「付加価値」を持たずとも、猫としてのままで主役に描かれうる時代」 の到来を象徴するのが夏目漱石『吾輩は猫である』だという。 「前近代」として江戸時代における猫ブーム(浮世絵の美人画、歌川国芳な...
猫イメージの「近代」は明治末に始まる。 「猫が美人の「添え物」や擬人化・化け猫といった「付加価値」を持たずとも、猫としてのままで主役に描かれうる時代」 の到来を象徴するのが夏目漱石『吾輩は猫である』だという。 「前近代」として江戸時代における猫ブーム(浮世絵の美人画、歌川国芳など)を概観したうえで、近代、現代における日本社会での猫の受容のされ方を述べていく一冊。 現代的な感覚での「猫の可愛さ」が社会に広まったのはごく最近のことであると検証される。 たとえば「猫捕り」は第二次大戦後にも存在しており、1971年につかまった者の証言では「猫は殺したあと大阪の皮なめし業者で1匹400円で加工してもらい、それを皮屋では雄1匹3000円、雌1匹1500円で買い取ってもらう」と証言していたという。 1970年代末以降は「慢性的」猫ブーム、というのが著者の表現で、現代人が当たり前に考えているイメージは歴史的には普通のものではないことが示される。 ちなみに「猫はこたつで丸くなる」という「雪やこんこ」の歌詞は、「底板のある櫓の中に炭火を入れる陶器を置いた小さな置ごたつか、あるいは囲炉裏の上に櫓を置き布団をかけたもの」の上に猫が載っていることを歌ったものである。 現代では、猫は暖かい炬燵の中に入って「伸びる」ようになったという指摘は、言われてみればそうだった。 さらに、暖かくなるブラウン管テレビの上も猫の定位置だったが、液晶テレビの普及によってそれは失われたというのも「そういえば」である。 そのブラウン管の上で丸くなっている猫の写真もあるのだが、「あとがき」でその写真に写っている猫は著者自身が飼っていた猫だと打ち明けるのが面白い。
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猫の近現代史です。 意外と、古くから愛されているもの、ではないです。そもそも現在の私たちのペットに対する家族に近い愛情と、昔の人々の動物に対する感覚とは違うという。動物保護の概念も比較的に現代なものだなあと。 また、忠義という観点からみれば犬のほうが良いとか、鼠を捕るための猫...
猫の近現代史です。 意外と、古くから愛されているもの、ではないです。そもそも現在の私たちのペットに対する家族に近い愛情と、昔の人々の動物に対する感覚とは違うという。動物保護の概念も比較的に現代なものだなあと。 また、忠義という観点からみれば犬のほうが良いとか、鼠を捕るための猫だとかいう人類本位の考え方も変わったと考えられています。 猫がかわいいけど、命のあるものを養うのはかわいいという理由だけでは足りないのではないかと思います。その意味では、ペットを飼うということは実はとても重い行為で、まさに一つの生命を背負っている責任が伴うことです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> 第1章 猫の「夜明け前」~前近代の猫のイメージ 第2章 近代猫イメージの誕生~猫が「主役」になるまで 第3章 国家が起こした「猫ブーム」~猫の三日天下 第4章 猫の地位向上と苦難~動物愛護と震災・戦争 第5章 猫の戦後復興と高度成長~猫の「ベビーブーム」 第6章 現代猫生活の成立~高度成長終焉以降 <内容> 真面目な猫の本。ブームに単に乗っかるだけでなく、新聞や雑誌などを隈なく見通した感じ。確かに昔は、「猫が鼠を捕る」という話が聞かれたが、今はない。今のように「座敷猫」も21世紀に入ってからの話なのだ。そういう意味で、今の猫は「地域猫」を含めて、幸せなのだね。
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日本の近代・現代における猫の歴史(=人間の猫に対するまなざし)の歴史を描く。 化け猫イメージなどによりどちらかというと嫌われ者だった明治以前から慢性的「猫ブーム」の現代に至るまでの近現代日本社会における猫と人間の関わりの変遷がよくわかった。 明治時代に生類憐みの令ばりのペスト対策...
日本の近代・現代における猫の歴史(=人間の猫に対するまなざし)の歴史を描く。 化け猫イメージなどによりどちらかというと嫌われ者だった明治以前から慢性的「猫ブーム」の現代に至るまでの近現代日本社会における猫と人間の関わりの変遷がよくわかった。 明治時代に生類憐みの令ばりのペスト対策のための猫の飼育奨励政策が行われていたということや、戦時・戦後の食糧難の頃は猫を食べる事例も散見されたこと、当初は動物愛護団体が猫の安楽死を推進していたこと、「猫はこたつで丸くなる」の真相、暖房器具の少なかった頃は猫が暖をとるために乳児を殺してしまう事件が散発していたことなど、これまで知らなかった興味深い事実もいろいろ知ることができ、猫好きの家族とのよい話のネタにもなった。
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猫は今でこそ、愛玩動物の代表として日本人の暮らしに寄り添う存在である。しかし、ほんの少し前までは化け猫や妖怪としての描き方が多く、決して可愛がられてきたわけではない。空前の猫ブームと言われるようになった現在まで、いかにその存在価値が変わってきたのか。 江戸時代は、猫は主に穀物や...
猫は今でこそ、愛玩動物の代表として日本人の暮らしに寄り添う存在である。しかし、ほんの少し前までは化け猫や妖怪としての描き方が多く、決して可愛がられてきたわけではない。空前の猫ブームと言われるようになった現在まで、いかにその存在価値が変わってきたのか。 江戸時代は、猫は主に穀物や蚕を狙う鼠退治の存在として、人々の生活のそばで暮らしていた。家族というよりは最も身近な野生動物として、その狩猟能力を評価されていたのだ。当然、避妊去勢などはされずに役に立たなければ捨てる・殺すといった習慣もあった。 戦後の食糧難の時代には、猫食いと呼ばれるような受難もたくさんあったようだ。人間の残飯やねこまんまのような塩分の多い食事は、猫にとっての栄養状態が悪いものであるため、猫は長らく短命の生き物であった。 風向きが変わったのは高度成長期、人々にとって家を購入することが人生の目標となった時代に、猫の存在は家庭の中に入り込んでいく。キャットフードが登場して栄養状態が著しく改善し、獣医師など医療環境も整備された。猫は10歳以上生きるようになった。 現代においては、猫の殺処分はやめろ、動物実験なんてとんでもない、避妊去勢して終生室内飼育するべきといった、大切な家族としての扱い方がスタンダードとなっている。この過保護ともいえる価値観は、さほど猫好きでもない人々との分断を引き起こすほど、社会においての猫の存在感は大きくなっている。
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日本において、猫と人間との複雑な関係は、 近現代に入ってからどのように変容していったのか。 第一章 猫の「夜明け前」ー前近代の猫イメージー 第二章 近代猫イメージの誕生ー猫が「主役」になるまでー 第三章 国家が起こした「猫ブーム」ー猫の三日天下ー 第四章 猫の地位向上と苦難ー動物...
日本において、猫と人間との複雑な関係は、 近現代に入ってからどのように変容していったのか。 第一章 猫の「夜明け前」ー前近代の猫イメージー 第二章 近代猫イメージの誕生ー猫が「主役」になるまでー 第三章 国家が起こした「猫ブーム」ー猫の三日天下ー 第四章 猫の地位向上と苦難ー動物愛護と震災・戦争ー 第五章 猫の戦後復興と高度成長ー猫の「ベビーブーム」ー 第六章 現代猫生活の成立ー高度成長終焉以降ー 参考文献や情報資料は、文中に適宜有り。 前近代、大多数の人々の猫へのイメージは、化け猫・怪猫。 それも遥か昔から。それが近現代の時代の潮流の中で変容し、 如何に愛される存在に成っていったのかを探り、考察する。 前近代からの猫は辛苦な環境にありました。 文学でも絵でも、化け猫・怪猫、ときたま添え物。 芸者になぞられ、道徳心では犬と比較される。 飼われても、虐待や殺害、捨てられるのは、日常茶飯事の時代。 明治時代に入っても、社会の一員や家族の一員には、ほど遠い。 ペスト対策でネズミ駆除に、国の施策で飼うのが奨励された、 一時的な猫ブームは、猫イラズの登場で衰退に。 猫捕り・猫泥棒で三味線の皮に。(それほど三味線の需要、大?) 軍への供出で毛皮になり、大震災や大空襲等での焼死や飢え死。 食料不足で食用にされ、水俣病の悲劇や動物実験の材料に。 しかし、普通の猫を猫のままに描いた絵や文学が登場し始め、 徐々に増える猫愛好家たちの動きが。 動物病院や動物霊園。雑誌、書籍、イベント、そして愛好団体。 高度成長期の住宅と生活の変化による、猫への処遇は、 オイルショック直前の動物保護管理法、動物愛護法の制定へ。 キャットフードやトイレ砂等の猫用品とペットショップの登場。 都市化と住環境の変化で、飼い猫がペットに、そして家族に。 本やCM、メディア、グッズ等・・・猫ブームに。 そしてインターネット等の情報の拡がりで、空前の猫ブームへ。 猫が愛される存在になった歴史は浅い。 それまでの嫌われる存在だった頃の状況の、悲惨なこと。 それらを明らかにするのは大事だと思いました。 しかし、やっと平穏な暮らしが出来るようになった現代でも、 問題は出てきます。猫害、老猫、安楽死、避妊・去勢、虐待・・・。 地域猫、保護活動、譲渡会など、人間は様々に知恵を絞ります。 それを眺める、猫たちの眼差し。未来を想うのか? いえ、これもひと時の出来事と、微睡んでいるのかもしれません。
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我々にとって身近な存在である猫が、江戸時代から現代にかけてどのように認識され、どのように扱われてきたのかの道筋をたどる本。今でこそペットとして大人気の猫であるが、その人間社会における高い地位は決して伝統的なものではなかった。江戸時代には不気味なものとして考えられていたし、芸者を指...
我々にとって身近な存在である猫が、江戸時代から現代にかけてどのように認識され、どのように扱われてきたのかの道筋をたどる本。今でこそペットとして大人気の猫であるが、その人間社会における高い地位は決して伝統的なものではなかった。江戸時代には不気味なものとして考えられていたし、芸者を指す隠語として猫という言葉が用いられていた。明治以降も、ペストを媒介するネズミの駆除のため、あるいは戦時下での毛皮の原料として、人間社会にとっての有用性の観点から猫が評価されていた。後半の戦後の経済成長の中での猫像の変遷では、動物愛護の風潮のなかで次第に猫の地位が向上していく動向と、しかしそれでも野良猫に対する厳しい眼差し、それが日本人の住環境の変化によって「迷惑」を感じる範囲が変わったことが要因となるというような指摘がなされる。猫を猫として可愛がるという文化が確立されても、その中には猫の間にカテゴリーを設けて特定のグループを優遇したり、殺処分を自明視するなど、決して猫好きにとって快く思えない事実が満ち満ちている。そのような「夢物語」ならざる猫と人間の関係の歴史を直視させてくれる本書は、猫好きにとって必携の一冊であると同時に、歴史一般に対する向き合い方を考えさせてくれる内実を備えている。
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