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猫町 の商品レビュー

3.9

7件のお客様レビュー

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2024/10/31

なにこれ最高!!!!! 先日『月に吠えらんねえ』を読み終わったのもあって、世界観に入り込めた。萩原朔太郎やっぱり好きだーーー

Posted byブクログ

2023/01/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自らのための備忘録  私が図書館から借りてきたのは、1996年1月30日発行の透土社発行の『猫町』でした。挿画は市川曜子です。  実は、萩原葉子の長男・萩原朔美がその著書『死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日間』の中で次のように書いているので、市川曜子さんには大変申し訳ないけれど、極力イラストは見ないようにしてこの本を読み終えました。  《そう言えば、母親は『猫町』を他の画家やイラストレーターやアニメーターが描く試みを許さなかった。知らないうちに出版されたものに対しては強い嫌悪感をもっていた。様々な人が様々な解釈によって描いてもいいと思うのに、『猫町』だけは受け入れ難いようだった。あの頑なさは、考えてみれば父親が気に入ったネコのイラストが存在するからなのだ》(p.199-200)  詩人・萩原朔太郎の散文詩風小説。つくづく詩人とは言葉の魔術師なのだということがわかります。  《旅への誘いが、次第に私の空想(ろまん)から消えて行った》という作者が、《医師の指定してくれた注意によって、毎日家から四、五十町(三十分から一時間くらい)の附近を散歩》するようになり、《ふと知らない横丁を通り抜け》《そしてすっかり道をまちがえ、方向を解らなくしてしま》うのです。  作家が入り込んでしまった町は、《それは全く、私の知らないどこかの美しい町であった。街路は清潔に掃除されて、鋪石がしっとりと露に濡れていた。どの商店も小綺麗にさっぱりして、磨いた硝子の飾窓には、様々の珍しい商品が並んでいた。珈琲店(カフェ)の軒には花樹が茂り、町に日陰のある情趣を添えていた。四つ辻の赤いポストも美しく、煙草屋の店に居る娘さえも、杏のように明るくて可憐であった》のです。  またある時は、《私は幻燈を見るような思いをしながら、次第に町の方へ近付いて行った。そしてとうとう、自分でその幻燈の中へ這入って行った。私は町のある狭い横丁から、胎内めぐりのような路を通って、繁華な大通の中央へ出た。(中略)それは迷路のように曲折しながら、石畳のある坂を下に降りたり、二階の張り出した出窓の影で、暗く隧道(トンネル)になった路をくぐったりした。南国の町のように、所々に茂った花樹が生え、その附近には井戸があった。至るところに日影が深く、街全体が青樹の蔭のようにしっとりしていた。娼家らしい家が並んで、中庭のある奥の方から、閑雅な音楽の音が聴えて来た》りするのでした。  そもそも、この作者は《私は昔子供の時、壁にかけた額の絵を見て、いつも熱心に考え続けた。いったいこの額の景色の裏側には、どんな世界が秘密に隠されているのだろうと。私は幾度か額をはずし、油絵の裏側を覗いたりした。そしてこの子供の疑問は、大人になった今日でも、長く私の解きがたい謎になってる》ような人物なのです。  そして長じた今尚感性は鋭く、《私が始めて気付いたことは、こうした町全体のアトモスフィアが、非常に繊細な注意によって、人為的に構成されてちることだった。単に建物ばかりでなく、町の気分を形成するところの全神経が、ある重要な美学的意匠にのみ集中されていた。空気のいささかな動揺にも、対比、均斉、調和、平衡等の美的方則を破らないよう、注意が隅々まで行き渡っていた。しかもその美的方則の構成には、非常に複雑に微分数学的計算を要するので、あらゆる町の神経が異常に緊張して戦いていた》のです。  そして、《何かしら、そのにはある異常な、唐突な、その全体の調和が破るような印象が感じられた》その時、《人は私の物語を冷笑して、詩人の病的な錯覚であり、愚にもつかない妄想の幻想だと言う》かもしれないけれど、だが確かに「猫町」を見たのでした。

Posted byブクログ

2022/05/08

文字を読みながら、挿画を眺めながら、用紙とインクの匂いを嗅ぎながら、ゆっくり紙をめくるのが楽しいですね。 普段使わない道を使ったり、普段出歩かない時間に出てみたり、日常の土地でパラレルワールドのような非日常を体験するのは身に覚えがあるけれど、猫の町か……!

Posted byブクログ

2022/01/09

友人に誕生日プレゼントとしていただいた本。 読み進めていくとびっくりすることが起きました。 2019年に面白いな〜!と思ってメモっていた文章が、この本に出てきた。笑 3年もかけて…しかも友達からプレゼントしてもらった本の中で出会うなんて…と感動しました。 パラレルワールドは存在...

友人に誕生日プレゼントとしていただいた本。 読み進めていくとびっくりすることが起きました。 2019年に面白いな〜!と思ってメモっていた文章が、この本に出てきた。笑 3年もかけて…しかも友達からプレゼントしてもらった本の中で出会うなんて…と感動しました。 パラレルワールドは存在すると思う。というか、私が今生きてるのは小説の中のような気がするから。笑 あと絵が本当に素敵なの。猫の細かい毛の感じとか。ちょっと気味悪めなところとか。すき。 2022年、読書納め。(次も読んでるけど。)

Posted byブクログ

2021/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 帯に「待望の新装復刊!」とある。  かつて、パロル舎という出版社から1997年11月に出ているらしい。四半世紀の時を経て改めて、というのが面白い。  昭和10年の萩原朔太郎の文章に、版画家の金井田英津子の挿画を合わせた「文学画本」というシリーズのようだ。実に、その版画と文章が相まっていて味わい深い。  著者と思われる本書の登場人物が、平衡感覚、方向感覚を誤り思わぬ路地に迷い込むように、驚く方法で意識の上でのスリップの果て、見知らぬ街を旅する不思議なものがたり。 「街は人出で賑やかに雑とうしていた。そのくせ少しも物音がなく、閑雅にひっそりと静まり返って、深い眠りのような影を曳いていた。」 「すべての物象と人物とが、影のように往来していた。」 こんな表現が、モノトーン調の挿画と相まって、異世界へと読者を誘(いざな)う。 元より、「磁石の方角を直覚する感官機能に、何らかの著しい欠陥をもった人間」である主人公。 「磁石の針がくるりと廻って、東西南北の空間地位が、すっかり逆に変わってしまった」 「つまり一つの同じ景色を、初めに諸君は裏側から見、後には平常の習慣通り、再度正面から見たのである。」 なんて書かれると、これは像が反転して生み出される版画で表現したら面白いのではないか?!と、誰かが想像したのかもしれない。版画家の起用は正鵠を射たものなんじゃないかなと、各頁を見ながら思う (過去、漫画や写真と組み合わせた版もあったよう)。 そもそも、夢の世界。荒唐無稽なのではあるが、しばし現を離れて、文字と挿画で不思議の街へ旅立つのも一興。

Posted byブクログ

2021/07/03

トリップの仕方にビックリした。 挿絵も素晴らしい。 部屋に何気なく置いてあると、それだけで部屋の雰囲気が変わる。 ような気がする。

Posted byブクログ

2021/05/30

現実が何かなんて誰にも分からない 歩きながら妄想にふけるの楽しいよね 猫ばっかりの町… 自分だったら嬉しくてずっといちゃう とりあえず薬、ダメ ゼッタイ

Posted byブクログ