〈戦後知〉を歴史化する の商品レビュー
本書のタイトルとなっている〈戦後知〉とは、安丸良夫の用いた概念で、1980年代を分水嶺とする「戦後思想」と「現代思想」、「戦後」と「戦後後」、「モダン」と「ポストモダン」といった、敗戦後から現在に至るまでの思考(「知」)の総体を把握しようとの意図のもとに提唱された。 本書の...
本書のタイトルとなっている〈戦後知〉とは、安丸良夫の用いた概念で、1980年代を分水嶺とする「戦後思想」と「現代思想」、「戦後」と「戦後後」、「モダン」と「ポストモダン」といった、敗戦後から現在に至るまでの思考(「知」)の総体を把握しようとの意図のもとに提唱された。 本書の一つの軸は、文学との関係である。戦後思想と戦後文学で論じられた「歴史と文学」という問題系が、言語論的展開以後、異なる視点から論じられるようになってきたことが指摘される。 大江健三郎、井上ひさし等の作品が具体的に考察される。 もう一つの軸は、現代思想(家)論で、現代思想をリードした山口昌男、見田宗介、山之内靖の三人について論じられる。 歴史学との関係についても言及されているのだが、それぞれの著作を改めて読みながら、この論点についても考えていきたい。 全3冊の歴史論集の中では、やや毛色の違っていて、個々の論考自体には面白く読めたものがあるのだが、位置付けが良く理解できなかったのが、正直な感想。
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