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短編画廊 の商品レビュー

3.6

9件のお客様レビュー

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2024/08/21

以前読んだ『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』で紹介された本である。 エドワード・ホッパーの絵を題材にして、17人の小説家が短編を編むというアンソロジー、ホッパーは絵を見れば『ああーーーーっあれかーーーっ』と、すぐにわかる画家さんだ。 アンソロの良さと、欠点が程よく混じって...

以前読んだ『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』で紹介された本である。 エドワード・ホッパーの絵を題材にして、17人の小説家が短編を編むというアンソロジー、ホッパーは絵を見れば『ああーーーーっあれかーーーっ』と、すぐにわかる画家さんだ。 アンソロの良さと、欠点が程よく混じっているというか、あらためて実感をさせてくれた1冊。 一枚の絵を元にしている作品たちは、作家のアレンジが強く出ているものもあれば――スティーブンキングの一作は、あの絵でなぜあの話を作ったのか謎である――タイトルも込みでひねりのないものもある。その一方で、良い感じに自分の好みに添う作品に出会えるのも、アンソロの魅力だと思う。告発めいた話もあり、内容はかなりえぐい。これは小説と呼ぶべきなのかどうか、ちょっと悩むところだ。 自分の好みとして合致するものは、残念なことに多くはなかった。けれど合致したものは、文句なしに面白い。 そして、合致しなかったものも、興味深く読めた。この元とになる絵に対しての時代背景、社会背景を描き出す作家がいる一方で、あくまで現在の時代背景、社会背景の問題点を絵という媒介でもってあぶり出しているものも多かったからだ。 ホッパーは古き良きアメリカを見事に描きだした画家であるが、優れた作品というのは、その時代だけでなく未来にも通じるものだし、そうした芸術に触発された作品は現在はもちろん未来にも通じるようになる。アートというものは、繋がり連綿と続いていくものなのだなと思った。

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2024/08/12

エドワード・ホッパーの絵を題材にアメリカの作家たちが短編を書いたもの。 エドワード・ホッパーはしりませんでしたが、絵を見たらなんか見たことあるという絵でした。 絵から小説を創造するなんて面白いなと思い読んでみました。 やっぱりアメリカ人のかく話だなぁと自分にはあまり合わなかったで...

エドワード・ホッパーの絵を題材にアメリカの作家たちが短編を書いたもの。 エドワード・ホッパーはしりませんでしたが、絵を見たらなんか見たことあるという絵でした。 絵から小説を創造するなんて面白いなと思い読んでみました。 やっぱりアメリカ人のかく話だなぁと自分にはあまり合わなかったですが、最初にある短編のついてない絵について、あなたが書いてみてくださいとはじめに書いてあり、挑戦してみようかなぁ〜と思っています。

Posted byブクログ

2023/04/22

寡聞にしてエドワード・ホッパーを知らず・・・ファンも多い画家のようだ。くっきりと塗り分けられた家具や壁や服、存在感のある影、静止した時間――劇かミニチュアを見ているような感覚になる絵だ。物語が生まれてくるのも、うなずける。 17作、長短はバラバラだが、短いながら印象に残ったのはス...

寡聞にしてエドワード・ホッパーを知らず・・・ファンも多い画家のようだ。くっきりと塗り分けられた家具や壁や服、存在感のある影、静止した時間――劇かミニチュアを見ているような感覚になる絵だ。物語が生まれてくるのも、うなずける。 17作、長短はバラバラだが、短いながら印象に残ったのはスティーヴン・キング『音楽室』。さすがは人気作家キング・・・なのか(初めて読んだ)、出てくる夫妻は(回想を除き)絵のごとく立ち上がりすらしないのに、その場面の恐ろしさといったら! ニコラス・クリストファー『海辺の部屋』は奇妙だけれど美しく、終わりの予感に少し震えながら読んだ――カルメンはほんとうに戻らなかったのだろうか。 ウォーレン・ムーア『夜のオフィスで』は、読んだ後にもう一度絵を見てしんみりしてしまう。「彼に少しだけやさしさの恩返しがしたかった。」

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2023/01/30

シンプルで変哲のない絵をどれだけ複雑に物語るのか、裸の女やピエロなどインパクトの強い絵に負けない物語をどう広げるのかという、物語とは少し別の好奇心も満たしてくれるアンソロジー。 絵そのものが小道具として登場したり、絵が舞台になっていたりする中、その両方で創作したディーヴァーの作...

シンプルで変哲のない絵をどれだけ複雑に物語るのか、裸の女やピエロなどインパクトの強い絵に負けない物語をどう広げるのかという、物語とは少し別の好奇心も満たしてくれるアンソロジー。 絵そのものが小道具として登場したり、絵が舞台になっていたりする中、その両方で創作したディーヴァーの作品が特別面白かったです。 「ケープコッドの朝」で、 私はファンタジーを思い浮かべましたが、ほかにはどんな物語が生まれているのかな。 読者ひとりひとりがそれぞれ好みの物語を想像し、無限に自由な物語を描くことができるという、絵画鑑賞の新しい楽しみ方を教わった一冊でした。 メモ 11月10日に発生した事件につきまして / ジェフリー・ディーヴァー/著  映写技師ヒーロー / ジョー・R.ランズデール/著 キャロラインの話 / ジル・D.ブロック/著

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2022/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

THE GIRLIE SHOUW,1941 「ガーリー・ショウ」ミーガン・アボット 夫婦の話。嫉妬と独占欲と諦めと憎しみ。 SUMMER EVENING,1947 「キャロラインの話」ジル・D・ブロック 好き。面白かった。秘密を抱えたままそれがいつ開花するのかドキドキしながら読むのは面白いな。 SOIR BLEU,1914 「宵の蒼」ロバート・オレン・バトラー この挿絵から何が始まるのか。ピエロが鏡のような存在。 結局は父親と同じことを繰り返す。 HOTEL LOBBY,1943 「その出来事の真実」リー・チャンドラー この絵から真実を読み解く話。その真実にフフって笑った。わかってしまえば、なあんだということ。 ROOMS BY THE SEA,1951 「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー 部屋が増える不思議な家とその血族。食事が美味しそうだった。 NIGHTHAWKS,1942 「夜鷹」マイケル・コナリー 人探しをする男と目当ての女性とその依頼主。絵画の男に感情移入する話。 HOTEL BY A RAILROAD,1952 「11月10日に発生した事件につきまして」ジェフリー・ディーヴァー 面白かった。書簡形式で、前振りと物語と結末がうまく整っている。絵画の重要性もあって良かった。 SOUTH TRURO CHURCH,1930 「アダムズ牧師とクジラ」クレイグ・ファーガソン なんか好き。友情の話。最後死なせたのがすごく良いな。そしてエルヴィス。泣き笑いになってしまう。 ROOM IN NEW YORK,1932 「音楽室」スティーヴン・キング 穏やかな夜、クローゼットからうめき声。その声に恐怖を覚えるのは少しの間だけ、この夫婦のほうが恐ろしいというのが面白い。 NEW YORK MOVIE,1939 「映写技師ヒーロー」ジョー・R・ランズデール 面白かった。人知れず街を救ったヒーロー。老人と海みたいな関係?なんだろうな、この年の差バディ。良かった。 CITY ROOFS,1932 「牧師のコレクション」ゲイル・レヴィン エドワード・ホッパーがわかる話。牧師が使命だと思いながら美術品を収集するのが面白い。 OFFICE AT NIGHT,1940 「夜のオフィスで」ウォーレン・ムーア 田舎娘が都会に来て死ぬ話。幽霊視点なのが面白い。心霊絵画。 ELEVEN A.M.,1926 「午前11時に会いましょう」ジョイス・キャロル・オーツ 不倫関係にある男女。女性が殺意を持ちながら待つ姿というのが良いな。男も男でうんざりしてる感じなのが良いし、最後は結局どうなるのかわからず終わる。なんとなく何かが起きそうではあるけど、なあなあで今日はやめておこうで起きなさそう。 HOTEL ROOM,1931 「1931年、静かなる光景」クリス・ネルスコット 人種分離の話。過去の後悔により活動し続け、これからも続けようと決意するのが良いな。表立ってはできないけれど、という小市民さが普通の人で面白い。 NIGHT WINDOWS,1928 「窓ごしの劇場」ジョナサン・サントロファー 監視してると思ったら監視されてたし、これからもされる話。被害者には逃げて~と思ってたけど、最後はそういうことかとすっきりはするが、そんなに全部爽快にはなれない。面白かった。 A WOMAN IN THE SUN,1961 「朝日に立つ女」ジャスティン・スコット そんなに好きになれない。写真のような話で動きがあまり。一緒に死のうとしたけど、まあいいいかでやめる話。 AUTOMAT,1927 「オートマットの秋」ローレンス・ブロック 面白かった。女性の背景と企みが少しずつ明かされ最後の結末。わざと注意をひくために咳をしてから立ち去るのが良いな。 読んでみると面白いけど、なかなか読み進められなかった。でもやっぱり面白いのに出会うと、次も面白いかもしれないと思って読んでしまう。厄介。

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2022/08/07

物語の一場面を切り取ったようなエドワードホッパーの絵そのものに惹きつけられる ナイトホークスは絵の中の登場人物を描いて欲しかったなー 私的に一番絵と物語の場面が一致したのはキャロラインの話。この絵の一コマがそんな展開で出てくるの作家さんすごいな、と思った 窓越しの劇場も面白かった...

物語の一場面を切り取ったようなエドワードホッパーの絵そのものに惹きつけられる ナイトホークスは絵の中の登場人物を描いて欲しかったなー 私的に一番絵と物語の場面が一致したのはキャロラインの話。この絵の一コマがそんな展開で出てくるの作家さんすごいな、と思った 窓越しの劇場も面白かった、海外ドラマっぽい

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2022/01/05

「エドワード・ホッパーの絵から連想した短編」を編んだアンソロジー。小説講座で、「見えているものを書く」というトレーニングに絡めてお勧めされた本。題材の絵は作者によって違うけれど、絵のどこをどのように見て描写したのか考えるのが面白かった。作品を読んで、もう一度絵を見て、自分ならどう...

「エドワード・ホッパーの絵から連想した短編」を編んだアンソロジー。小説講座で、「見えているものを書く」というトレーニングに絡めてお勧めされた本。題材の絵は作者によって違うけれど、絵のどこをどのように見て描写したのか考えるのが面白かった。作品を読んで、もう一度絵を見て、自分ならどう書くか、とか、この辺印象的やのに違うところをピックアップしてはるなあとか、何をどうやってこれができたんです?とか、作品ごとに驚きポイントが違う。初読の作者も多く、「普段の作風」がわからないのも新鮮でした。

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2021/10/09

エドワード・ホッパーという画家にはさして興味は無いけど こういう企画アンソロジーは好きだ。 他の画家でもやって欲しいな

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2021/07/15

―― 「だと思います。というか、はい」  語られるべきものが、そこには、ある。  すべき、とかせねば、という言葉遣いに拒否反応を示すのは、自分の意思で自分を縛れていないからなんだろう。  自由であるべきという不自由もあれば、縛られているから飛べる翼もある。  右と左で、同...

―― 「だと思います。というか、はい」  語られるべきものが、そこには、ある。  すべき、とかせねば、という言葉遣いに拒否反応を示すのは、自分の意思で自分を縛れていないからなんだろう。  自由であるべきという不自由もあれば、縛られているから飛べる翼もある。  右と左で、同じ風に乗れるか乗れないか。それだけだったのかもね。  アメリカの画家、エドワード・ホッパーの作品をテーマに書き下ろされたアンソロジー。その書き方と編集も面白いのだけれど、なによりそうそうたる顔ぶれ。  絵画として切り取られたアメリカン・シーンに潜む孤独や不安、不協和音のような歪みが、この面子に掛かればミステリにも、ハードボイルドにもスリラーにも仕上がる。編者の序文にもあるとおり、テーマ的に似通ってもおかしくない短編集であるのに、むしろ通読することで群像劇に巻き込まれるように、20世紀初頭のアメリカにスリップしていく。  或いはそれは、いま、この状況に似通ったものを感じているからなのかもしれない。社会情勢的にも、個人的にもだけれど。  隔絶や断絶。誰のせいでもない孤独と、自分由来の孤独と。果たしてそれが時代に切り取られるだけのものなのかは別として、それがそこにあることは確かなわけで。だったらどうにかするしかないじゃない。  ベストを選ぼうかと思ったのだけど難しいわね…17編という贅沢なボリュームもそうだし、それぞれまったく趣の違う尖り方をしているので、なんだか5、6本映画を観たあとのような気分になれます。なんというコスパ。  いつも不安なあなたへ、どうぞ。  ☆4。

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