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終わりよければすべてよし の商品レビュー

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2023/11/05

松岡和子さんによるシェイクスピア個人訳の最後となる『終わりよければすべてよし』。ヘレナはずる賢く立ち回り自らの願いを叶えるわけで、松岡さんや解説の前沢浩子さんによれば男の身分が上で女が下の作品でヘレナのような振る舞い・独白が認められるのは他にないようだ。それだけ本作が異例でハッピ...

松岡和子さんによるシェイクスピア個人訳の最後となる『終わりよければすべてよし』。ヘレナはずる賢く立ち回り自らの願いを叶えるわけで、松岡さんや解説の前沢浩子さんによれば男の身分が上で女が下の作品でヘレナのような振る舞い・独白が認められるのは他にないようだ。それだけ本作が異例でハッピーエンドとは必ずしもいえず、問題含みではあるけれど、おとぎ話に終わらせず現実の白々しさを表現していてモダンな作品となっている。またヘレナの女性像は男女の関係性の問い直しでもあり、21世紀になって上演回数が増えてきたという点でも現代的な作品といえるのだろう。

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2023/07/12

「前伯爵の主治医の遺児ヘレンは現伯爵バートラムに恋をしている。フランス王の難病を治して夫を選ぶ権利を手にし、憧れのバートラムと結婚するが、彼は彼女を嫌って逃亡、他の娘を口説く始末。そこでヘレンがとった行動は―。善と悪とがより合わされた人物たちが、心に刺さる言葉を繰りだす問題劇。松...

「前伯爵の主治医の遺児ヘレンは現伯爵バートラムに恋をしている。フランス王の難病を治して夫を選ぶ権利を手にし、憧れのバートラムと結婚するが、彼は彼女を嫌って逃亡、他の娘を口説く始末。そこでヘレンがとった行動は―。善と悪とがより合わされた人物たちが、心に刺さる言葉を繰りだす問題劇。松岡和子個人訳シェイクスピア全集、完結。]

Posted byブクログ

2022/08/26

文学談議でシェイクスピアを取り上げる。先に読んだ松岡和子著「すべての季節のシェイクスピア」で本書を1冊に入れようと思った。しかしだ、のっけから処女、処女、処女のオンパレード。処女を捨てるか守るかの議論をしている。これは中学生にはどうなんだろうか。と思って悩んでいるところ。ストーリ...

文学談議でシェイクスピアを取り上げる。先に読んだ松岡和子著「すべての季節のシェイクスピア」で本書を1冊に入れようと思った。しかしだ、のっけから処女、処女、処女のオンパレード。処女を捨てるか守るかの議論をしている。これは中学生にはどうなんだろうか。と思って悩んでいるところ。ストーリーとしてはまあまあおもしろい。しかし、2つの指輪がどこでどうなってどうなったのか、もう一つよく分からない。さらにこれはヘレン1人で考えた筋書きだったのかどうだか、その辺もはっきりしない。そもそもどうしてそんなにヘレンを避けるのか。身分の違いか、見た目か。それからダイアナに対しては本当に娼婦としか思っていなかったのか。その女に拒まれたからと、大切な指輪を渡してしまうほどにのぼせ上ってしまうのだろうか。それだけ魅力的だったのか。そして、ベッドトリックというやつ。これはいい。電灯がないから成り立つのだろう。トリックではないけれど、源氏物語にもあった。源氏と思って受け入れたが別の男であった。そして、後にその男を苦しめ死なせることになる。まあ、そんな話は昔からごまんとあるのかもしれない。そして、これは最後にめでたしめでたしとなったのだろうか。バートラムはちゃんと受け入れるのだろうか。そうとは知らずにベッドをともにして満足したのだろうか。ヘレンはこれで幸せになれたのだろうか。だいたい、シェイクスピアを読むと下ネタが多いわけで、まあ、脚注をしっかり読まなければ気付かないことも多いわけだけれど、これを小中学生にお勧めするのはいかがなものなのだろうか。もともとは河合隼雄先生が「読め!」と言っていたからいつか読まないとと思っていたのだけれど・・・

Posted byブクログ

2022/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

やった~!!本作をもって松岡和子訳シェイクスピア全集読破!嬉しい! 軽やかな言葉と細やかな脚注で シェイクスピアの世界に誘ってくださった松岡和子さんには本当に感謝! この全集を手に取るきっかけの1つとなった 表紙を担当された安野光雅さんにも思いを馳せて。 訳者あとがきの追記が泣ける。 さて、全集の最後にこの異例づくしの作品を読んだことで 自分の中でシェイクスピア像が一気に複雑に。 『終わりよければすべてよし』を読めばすべてよし… ではなかった~!なんだよこれ!(笑) 名台詞らしき台詞も謎めきすぎていて不思議な感覚。 シェイクスピア舐めてた…。 こうやってまた読み返したくなるようになってるんだ…(笑) 桁外れの悪党ぶりはかえって希少価値があるという感覚、ちょっと分かる。

Posted byブクログ