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星落ちて、なお の商品レビュー

3.7

136件のお客様レビュー

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  2. 4つ

    61

  3. 3つ

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2024/05/09

最初のほう、ちょっと読みにくく読み終わるまで時間かかるかな、と思ったけど、進むにつれてだんだんと読みこんでいき、気づけば気持ちよく読了。 絵描きの中でも奇抜な親に遺された河鍋の名、さらに時代が激変していく中で、自分の絵描きとしての矜持に迷うおとよさんが本当に大変そうでザワザワしち...

最初のほう、ちょっと読みにくく読み終わるまで時間かかるかな、と思ったけど、進むにつれてだんだんと読みこんでいき、気づけば気持ちよく読了。 絵描きの中でも奇抜な親に遺された河鍋の名、さらに時代が激変していく中で、自分の絵描きとしての矜持に迷うおとよさんが本当に大変そうでザワザワしちゃうが、その中で強く生きていく様にこちらが励まされるところがあった。 終盤、人は楽しむために生まれてくる、という思いにより、これまでの生を、周りの大切な人たちを、暁斎や兄を、そして自分を受け入れたおとよさんの姿がとても素敵で、ポジティブだった。 楽しむために、そして人を楽しませるために生きている!よりそれができた人がいっとう満足できるんだな。ほんとポジティブ!

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2024/04/20

すごく才能がある人が側にいることのしんどさ。 でも、憎みきれない。 しかも、才能がある人ではなく、 才能がない自分が生かされるつらさも相まって、 悩み多き人生だなあ。

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2024/04/17

わたしはつくづく、思うんですよ。人ってのは結局、喜ぶためにこの世に生まれてくるんじゃないですかね。 清兵衛さんの言葉が 深い。

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2024/03/13
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河鍋暁斎の娘からの視点で。 画鬼と自ら呼んだ暁斎の死後、明治大正の幾時代を経て、家族そして「絵」という芸術を巡って新しい時代を迎えながらもその意志を途絶えさせないということ。 ただ大事なのは、後を継ぐというよりも今のままの自分であり続けるということ。大きすぎる星は落ちても尚、子どもたちを巻き込む枷にはなるけれどプラス思考で考えれば。 明治大正時代のことなのに、家族視線でみれば充分、現代のことにも通ずる。 親、先祖とかは有名なのに越したことはないけれど過ぎるのもタイヘンだなぁ

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2024/03/10

歴史にも興味があるし、美術にも興味があるのに、没入できなかった。読みづらいと感じてしまった。他人にはオススメできない。直木賞。

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2024/01/21

偉大な父と兄に挟まれた妹の心情をしっかり書いている。変わりゆく明治大正の価値観の中で、どう父の財産を遺していくかというジレンマ。歴史変えるわけにいかないが兄とより長く語り合って欲しかったところ。

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2023/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

絵を描くことに取り憑かれた者たちへ。 河鍋暁斎の娘・河鍋暁翠の語り。偉大な父に絵を手ほどきされたのは、北斎になぞらえたからか。父を超えられない絵を描き続ける兄の姿。関わる人、出会う人、去っていく人。愛しても憎んでも離れられない絵への思いの果てに。 芸術の道を歩く人は何を考えているのだろう。特に親も芸術家で、親と同じジャンルを行く人は。その中でも、親が偉大な人は。とよは父の才を知っていた。時代は流れ、暁斎の絵が古いものとあしらわれても、狩野派が貶められても、浮世絵が過去の低いものとされても、自分の目を信じていた。それゆえに、自分の絵を父と比べ、自分の態度を兄と比べ、迷い続けていた。暁斎や狩野派や浮世絵に対する評価は、再評価されている現代に生きる自分にとって一時期のものだったのだと言える。だからこそ、とよの頑なな態度もわかる。そして父への愛憎。別に芸術の道を歩んでいなくても、親子の葛藤は普遍的なものだ。 ジェンダー的な視点もある題材ではあるが、親子の葛藤に関しては、八五郎と松司の姿やとよと娘よしの関係も描くことでジェンダーに寄らない普遍的な問題として描かれていると思った。夫婦も何組か登場するので、同じ主題の変奏を聴きながら、最後に主題に戻るような感覚。 とよが苦悩した絵の道は、女だからと与えられた苦悩ではなかった。男でも女でも、どの時代でも、大きな親の背中を超えるのは難しいだろう。一番近くで見ていた者にとっては特に。最後にとよが選んだ語る道。自分にできること、という視点では、最良のものであろう。結局のところ人は望む望まぬに関わらず、できることしかできない。それが苦しみにあふれていることもある。でもそこに喜びを見出すかどうかなのである。 明治から大正にかけての芸術に関する動き、変わりゆく江戸/東京の町や風俗も興味深い。

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2023/09/10

私は浮世絵が好きで河鍋暁斎の展覧会や作品を鑑賞していたので、そこから派生したストーリーもその個々人の存在も共感する所やより面白味を感じる部分が沢山あった。 親は親だし、自分の道は道。それを望む者望まぬ者。 その場に至ったからこそ感じ、考える事がある。 勿論親類だけではなく他人との...

私は浮世絵が好きで河鍋暁斎の展覧会や作品を鑑賞していたので、そこから派生したストーリーもその個々人の存在も共感する所やより面白味を感じる部分が沢山あった。 親は親だし、自分の道は道。それを望む者望まぬ者。 その場に至ったからこそ感じ、考える事がある。 勿論親類だけではなく他人との関わりがあってこそだ。

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2023/08/20

一時代(orを築いた者)が去るというのはどういうことかが、河鍋暁斎の娘・とよの目線で語られる。父は死んでいるけれど、これは父娘の物語です。そしてある意味、暁斎という亡霊の物語でもある。 とよも絵描きなのだけれど、絵を描く場面はあまりない。彼女自身や暁斎に連なる人間関係を通して、...

一時代(orを築いた者)が去るというのはどういうことかが、河鍋暁斎の娘・とよの目線で語られる。父は死んでいるけれど、これは父娘の物語です。そしてある意味、暁斎という亡霊の物語でもある。 とよも絵描きなのだけれど、絵を描く場面はあまりない。彼女自身や暁斎に連なる人間関係を通して、二世の苦悩だったり、巨星の引力の強さ、 そして、時代の中心にいたものほど、次世代には「旧時代」の代表のように扱われる苦さ、などを描いています。 とよが気持ちの良い口調の人物なので、煩悶する場面は多くても暗さはないです。 時代に揉まれたり、「画鬼の娘」だけでなく「人の母」としての自分の立場を自覚しながら、とよは時代の変遷を受け止めていく。 とよは、夫婦間の絆について、自分は理解できない側の人間だと度々分析していますが、 本作中、父性に飢えているような描写はあまりない(た、多分…)のが面白いなあと思いました。 本文の表現でいう「血より墨」で結ばれた一家というのがよく分かる。 また、脇役・清兵衛の顛末が、本作の人生観を補強しています。

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2023/07/14

鬼才の絵師・河鍋暁斎が死に、娘である暁翠は色んな葛藤を抱えながらも絵から離れられない。女絵師の一生を描く。 第165回直木賞受賞作。 全て絵を中心に回っているような天才肌の父親と、真面目で常識的な娘。また小さい時に養子に出され、こちらも色んなものを腹に抱えていそうな腹違いの兄・...

鬼才の絵師・河鍋暁斎が死に、娘である暁翠は色んな葛藤を抱えながらも絵から離れられない。女絵師の一生を描く。 第165回直木賞受賞作。 全て絵を中心に回っているような天才肌の父親と、真面目で常識的な娘。また小さい時に養子に出され、こちらも色んなものを腹に抱えていそうな腹違いの兄・周三郎。 家族というより絵を通して繋がっていたような、愛憎が交差するような関係性が静かに描かれていた。

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