カード師 の商品レビュー
全体的に漂う不穏感は中村文則ならでは。いわゆるカード勝負ものとして読んだ方はきっと拍子抜けしますが、話中盤のアクセントだったり、また占いの側面としても、良い塩梅に作用していて、良かった。 終わり方もとってつけた感が全然なく、文章の巧さに唸らされた。
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タロット、ポーカー、量子力学、宗教。この世界は全て確率で決まる。このような当たり前の認識と自由意志の前提があらゆる悲劇に直面する人間に圧倒的虚無感を与える。時に人はカードを捲る瞬間までそのカードは無限に変化しているとも、そのカードが存在した瞬間からそこで捲られるのを待ち続けていた...
タロット、ポーカー、量子力学、宗教。この世界は全て確率で決まる。このような当たり前の認識と自由意志の前提があらゆる悲劇に直面する人間に圧倒的虚無感を与える。時に人はカードを捲る瞬間までそのカードは無限に変化しているとも、そのカードが存在した瞬間からそこで捲られるのを待ち続けていたとも感じることがある。なぜ自分だけがハズレのカードを引き続けるのだろうかと思うこともある。しかし、真の意味で世界に絶望することはできない。なぜなら世界は圧倒的に未知で、この先の未来は観測されるまでどのようなカードであるかは決定されないからである。
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壮大で緻密な作品。最後に希望があるが、途中はなかなか読んでいて苦しくなる(絶望感とか嫌悪感とか)シーンが多かった。
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カードの緊迫したギャンブルのヒリヒリとする一場面と、タロットを用いた二転三転する心理戦。そもそもクセだらけの登場人物は、なぜこんなことになっているのかとか、考えてもダメですね、感じましょう。目的が不明なまま挿入されるワザワザ日本語訳にされたと言う挿話や、幻視や幻聴のような自身との...
カードの緊迫したギャンブルのヒリヒリとする一場面と、タロットを用いた二転三転する心理戦。そもそもクセだらけの登場人物は、なぜこんなことになっているのかとか、考えてもダメですね、感じましょう。目的が不明なまま挿入されるワザワザ日本語訳にされたと言う挿話や、幻視や幻聴のような自身との対話、すっかり転調にハマったまま堪能し読了。満足の厚みであります。
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タイトルと表紙絵から想像したのはカジノのディーラーが活躍するギャンブル小説だった。半分は当たっていたが、もう1種のカードも扱う“カード師”とは思わず、ここまで掴みどころのない話だとも思わなかった。観念的でだらだら進む話を、苦行のように半分ほど読んだところで断念。しばらくの冷却期間...
タイトルと表紙絵から想像したのはカジノのディーラーが活躍するギャンブル小説だった。半分は当たっていたが、もう1種のカードも扱う“カード師”とは思わず、ここまで掴みどころのない話だとも思わなかった。観念的でだらだら進む話を、苦行のように半分ほど読んだところで断念。しばらくの冷却期間を置いて再挑戦し、なんとか読了した。結局なんだったのかよくわからなかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ガツンとした小説が読みたいなと思い、文則さんの本を手に取ったのだが…ここまで強烈なパンチをくらうとは…。 どうすればこんなに壮大で難解な本が書けるんでしょう。頭の中を覗かせていただきたい…! 特に中盤のポーカーは緊張で胸が苦しくなって、呼吸が浅くなってしまった。本当にヒリヒリした。 カードゲームや麻雀をプロとしてプレイしている方々は本当にすごいなぁとしみじみ。場の数字や周囲の手札を瞬時に捉えて瞬間的に判断しなければ勝てないんだもの。どれだけ頭を使い続けなくてはいけないのか…。 魔女狩りを含む手記の翻訳のくだりはただただ痛かったです。読むのが辛くなるほどに。 そして第4・5章で急に現代ならではの固有名詞も出てきて、急にいろんなことが現実味を帯びて私の目の前に迫ってくるという。 様々な要素や過去と現実が行き交う壮大なお話でした。 こんな世の中だけど、私たちは絶望すらできないのだ。明日も。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
魔女狩りやヒトラー政権、神話などいろんな話が出て来て全部は理解出来なかった。 次の瞬間どうなっているのかは誰も分からない、だから本当の絶望もあり得ない。この言葉には救われる。 R帝国でも書かれていたと思うが、自分で考える、選択する事は苦痛で、思考を止めて流されたほうが断然楽。 それでも生きているんだから思考は止めてはいけないと思う。 全財産をかけたポーカーシーンはハラハラしながら読めた。
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途中まで、難解だし暗いし、止めてしまおうかと思いましたが、中頃から面白くなり一気に読めました。 最後は希望を持てる終わりかたでした。 それにしても、このコロナ禍を予測出来ていたような、時代に即した題材です。
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違法カジノのディラーと占い師という二足の草鞋をはく主人公によるギャンブル純文学小説?(著者は中村文則さん)。魔女狩りとかナチスとかオカルトチックな話を挟みつつ展開するストーリーは、複雑ながら面白い(ギャンブルシーンの場面が緊迫感あって面白かった)。中村さんの作品らしく、文章の節々...
違法カジノのディラーと占い師という二足の草鞋をはく主人公によるギャンブル純文学小説?(著者は中村文則さん)。魔女狩りとかナチスとかオカルトチックな話を挟みつつ展開するストーリーは、複雑ながら面白い(ギャンブルシーンの場面が緊迫感あって面白かった)。中村さんの作品らしく、文章の節々に「死」を感じる。謎の組織とか、明らかに偽名を使っているような怪しいキャラが続々でてくるのもいつもの感じで面白かった(コロナウイルス騒動も出てくる)。
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神とかカジノやタロット、いろんなワードやルールが出てきて触れてきてない自分にはなかなか難しかった。けど、占いで自分の選択を他者に委ねたら楽になるって言葉に妙に納得した。何か失敗してもそのせいにできるし成功してもそれがあったから頑張れたみたいな精神的に安定する気持ちはわかる。結構わ...
神とかカジノやタロット、いろんなワードやルールが出てきて触れてきてない自分にはなかなか難しかった。けど、占いで自分の選択を他者に委ねたら楽になるって言葉に妙に納得した。何か失敗してもそのせいにできるし成功してもそれがあったから頑張れたみたいな精神的に安定する気持ちはわかる。結構わかりやすく開けた未来が予想できる最後で読後感は良い。
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