統計力学から理解する超伝導理論 第2版 の商品レビュー
書名にある「統計力学から」というのは、超伝導を解説するほとんどの教科書が“実験事実の説明から始まり、電子格子相互作用が引力をもたらすことを説明した後、クーパー問題と一様系のBCS理論へと進む(まえがきより)”という、謂わば固体物理学的な記述の仕方を採用しているのに対し、本書では...
書名にある「統計力学から」というのは、超伝導を解説するほとんどの教科書が“実験事実の説明から始まり、電子格子相互作用が引力をもたらすことを説明した後、クーパー問題と一様系のBCS理論へと進む(まえがきより)”という、謂わば固体物理学的な記述の仕方を採用しているのに対し、本書では超伝導を“統計力学の問題として理想気体の延長線上に置き、どのような要素がつけ加わって対凝縮と超流動性が生じるか“を説明するという、珍しいアプローチを採っているということである。 また、準古典理論に関する日本語での解説(13章と15章の一部)はとても貴重。 第2版の出版にあたって10章、11章、15章が加筆されたことにより、第1版からさらに充実した内容となっている。記述には、例えば普通目にする定式化よりも適用範囲を拡張した一般化が為されているなど、各所に著者の工夫・こだわりが見られ、学ぶところがとても多かった。一方で、著者独自の記法で方程式が書かれているところがあって(特に13章)、他の教科書と比較する際には少し注意を要するだろうか。 1 熱・統計力学のまとめ 2 同種多粒子系の量子力学 3 量子理想気体の統計力学 4 密度行列と二粒子相関 5 ハートリー-フォック近似とランダウのフェルミ液体論 6 引力ポテンシャルと束縛状態 7 超伝導平均場理論の基礎方程式 8 BCS理論 9 超流動性・マイスナー効果・磁束量子化 10 時間変化する外場への応答 11 トンネル現象・状態密度・ジョセフソン効果 12 p波超流動 13 準古典方程式とギンツブルグ-ランダウ方程式 14 アブリコソフの磁束格子 15 表面と量子渦芯の電子状態 演習問題解答例 参考文献 索引
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