血の葬送曲 の商品レビュー
読みやすい事はいいのだが、今ひとつピンと来ないのは当方の不勉強・浅学のせいもある。 それを差し引いてもミステリとしては弱い。 1951年10月。恐怖政治下にあるレニングラードにて起きる殺人事件を追うストーリーだが、そこまでびっくりもしなかった。読み終えて見事に何も残らないので残念...
読みやすい事はいいのだが、今ひとつピンと来ないのは当方の不勉強・浅学のせいもある。 それを差し引いてもミステリとしては弱い。 1951年10月。恐怖政治下にあるレニングラードにて起きる殺人事件を追うストーリーだが、そこまでびっくりもしなかった。読み終えて見事に何も残らないので残念だった。
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「線路に5人の死体」のインパクトが大きくて手に取った作品。 歴史や音楽の教養があれば、100%楽しめたのかもと思う。知らない言葉や人物がたくさんでそのあたりは流して読んでしまったけれど、そこもこの作品の味なんだろうなぁ。 元バイオリニストの警察官って…わくわくするw 終盤は疾走...
「線路に5人の死体」のインパクトが大きくて手に取った作品。 歴史や音楽の教養があれば、100%楽しめたのかもと思う。知らない言葉や人物がたくさんでそのあたりは流して読んでしまったけれど、そこもこの作品の味なんだろうなぁ。 元バイオリニストの警察官って…わくわくするw 終盤は疾走感があるから映像化したら映えそう!(最初の現場が残酷だから難しそうだけど)
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極寒の地で、線路上に5つの死体が並べられていた。 ロッセル警部補は、捜査を進めていくなかで、これらの死体と自分が無縁でないことに気づいていく——。 正直言って、難解な小説です。 ベリヤやショスタコーヴィチといった実在の人物が登場しますので、彼らがどういう人物なのか多少知っていれ...
極寒の地で、線路上に5つの死体が並べられていた。 ロッセル警部補は、捜査を進めていくなかで、これらの死体と自分が無縁でないことに気づいていく——。 正直言って、難解な小説です。 ベリヤやショスタコーヴィチといった実在の人物が登場しますので、彼らがどういう人物なのか多少知っていれば少しは読みやすくなると思いますし、人民警察とMGBの関係などの知識があれば、なお良いでしょう。 それでも、独特の言い回しをそのまま日本語訳していることもあって、すらすら読み進めるのはなかなか大変です。 翻訳に関して言えば、もっと自然な日本語にしてほしいと思う一方で、こういう内容なのでそれも難しかっただろうと推測します(ところで、翻訳者はこれまで女性向け海外恋愛小説を多く翻訳されてきたようですが、そのようなジャンルではこのような翻訳調の言い回しが良しとされるのでしょうか…?)。 一部誤訳が見られるのは、残念でした。 例えば、123ページに、主人公のロッセルが学生時代の友人について冗談まじりにこう語る場面があります。 「もう何年も会っていない。〔…〕いま頃は〔…〕魅力的な司祭の妻の誘いに抗えず、ペルミ東部のどこかで岩を砕いてでもいるんじゃないのか」 私は最初、司祭の妻と関係をもったために採石場で強制労働に処されている、という冗談がなぜ冗談として成立するのか理解できませんでした。 無神教が猛威をふるっていたソヴィエトでは司祭の地位は特権的ではなくなっていました。また、正教会では司祭で妻帯が認められるのは在俗司祭のみ、しかも輔祭叙聖前に限られます。それを踏まえてもなお、先の台詞は理解できません。 なので、原文を確認してみました。 すると、「司祭の妻」にあたる箇所は「minister's wife」、つまり「大臣の妻」だったのです。 「大臣の妻と関係をもったから強制労働」という、なんてことない台詞だったわけです。 また、372ページ以降「文化人民副委員長」なる役職が出てきます(原文では「Deputy Kommissar for Culture」あるいは「Deputy Cultural Kommissar」)。 ソヴィエトの文脈で「Kommissar」は「委員長」ではなく「委員」です(例えば第二次大戦中のモロトフは外務人民委員、ベリヤは内務人民委員)。 したがって、「Deputy Kommissar」は「副委員長」ではなく「委員代理」と訳すべきです。 ソヴィエトの事情を多少知っている人がこの小説を読むと、こういう細かいところが気になってしまいます。 ソヴィエト事情の話ついでにもう一点だけ。 123ページに「国防省」なるものが出てきます。しかし、ソ連で国防省が設置されるのは1953年なので、51年を舞台とするこの小説で「国防省」が出てくるのはおかしいです(51年の時点で存在したのは軍事省)。 これは、翻訳の問題ではなく、原著の問題ですが。 気づいた点はまだありますが、長くなりますのでこれくらいにしておきます。 とにかく、ソヴィエトの事情を知らないと読み進めるのが大変で、知っていたら今度はこういう細かいところに引っかかってしまって進まない、という小説でした。
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独ソ戦で包囲封鎖され、極限的な飢餓状態で100万をこえる市民が犠牲となったレニングラ-ドを舞台に、スタ-リン体制下の国家保安省(MGB)に逮捕拷問された過去をもつ、元ヴァイオリン奏者で人民警察の警部補(レヴォル・ロッセル)が、ラドガ湖沿線の線路上で発見された5つの死体の謎に挑む...
独ソ戦で包囲封鎖され、極限的な飢餓状態で100万をこえる市民が犠牲となったレニングラ-ドを舞台に、スタ-リン体制下の国家保安省(MGB)に逮捕拷問された過去をもつ、元ヴァイオリン奏者で人民警察の警部補(レヴォル・ロッセル)が、ラドガ湖沿線の線路上で発見された5つの死体の謎に挑む、恐怖の超絶歴史ミステリ-。 「人民の敵を一人残らず排除する」体制下での恫喝、暴力と捜査妨害が繰り返されるなか、ショスタコーヴィチの〝レニングラ-ド交響曲〟が複雑に絡み合いながら、血と汚辱にまみれた驚きの結末へ。
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スターリン時代のソ連、レニングラード(現サンクトペテルブルグ)が舞台。5名の男女が惨殺され、遺体が線路に並べられる。被害者は顔面をはぎとられ、また奇妙な衣装を着せられるなどの細工がなされていたという猟奇殺人事件。個人的に「冷戦時代もの」と「ナチスもの」は優先順位高いです。全体の雰...
スターリン時代のソ連、レニングラード(現サンクトペテルブルグ)が舞台。5名の男女が惨殺され、遺体が線路に並べられる。被害者は顔面をはぎとられ、また奇妙な衣装を着せられるなどの細工がなされていたという猟奇殺人事件。個人的に「冷戦時代もの」と「ナチスもの」は優先順位高いです。全体の雰囲気はけっこう好きかも。でも謎解きは……そうでもなかった。
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欧米作家が「鉄のカーテンの向こう側」を描いたミステリ(杉江松恋解説)であり、当方としてはM・C・クルーズ以来である。(『チャイルド44』は未読。)欧米のハードボイルド小説がいかに困難な状況を克服したかというストーリーを語ろうとも、共産主義独裁政権の恐怖政治下においては甘い話にしか...
欧米作家が「鉄のカーテンの向こう側」を描いたミステリ(杉江松恋解説)であり、当方としてはM・C・クルーズ以来である。(『チャイルド44』は未読。)欧米のハードボイルド小説がいかに困難な状況を克服したかというストーリーを語ろうとも、共産主義独裁政権の恐怖政治下においては甘い話にしか感じなくなるほど、主人公の刑事と仲間たちの捜査活動は極度に制限され、心体両面でも苛酷な立場に追い込まれていく。かほどに悲惨な世界でも音楽は美しく奏でられているのだが、それすらやがて凄惨な地獄絵図に彩られていくのだった。
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CL 2021.7.20-2021.7.24 舞台は1951年スターリンの恐怖政治下のレニングラード。歴史的な背景を知らないとわかりにくい部分も多い。犯人の残虐性が半端ない。
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「1951年、レニングラード」「線路に並べられた5つの死体」という帯の言葉が眼を引く。大戦後、スターリン支配下の共産国家の恐怖政治下の警察小説ということで、かなりの変わり玉だと思いつつ読んだのだが、期待通りの突然変異的な作品。どこにもないこの個性的作品に出会えたことはまさに収穫...
「1951年、レニングラード」「線路に並べられた5つの死体」という帯の言葉が眼を引く。大戦後、スターリン支配下の共産国家の恐怖政治下の警察小説ということで、かなりの変わり玉だと思いつつ読んだのだが、期待通りの突然変異的な作品。どこにもないこの個性的作品に出会えたことはまさに収穫だった。 物語に未だ尾を引くナチスドイツとのレニングラード攻防戦について、作品では少なからず触れているが、兵糧攻めに合ったレニングラードは、長期に渡る攻防の下、圧倒的な飢餓に襲われ、その後遺症は物理的にも精神的にも戦後復興に向かおうとするこの都市には、まだまだ存分に吹き荒れていた。 スターリン指揮下の秘密警察による拉致と拷問と処刑の嵐が国中を席捲する中、人間同士の不信が高まり、少しでも油断すると密告され、疑獄の果ての処刑や行方不明へと繋がる。いわゆる足元からの危うさでいっぱいの恐怖時代と狂喜の如き国家制度の下で、本書登場の人間たちは一人残らず息苦しいほどの緊張を強いられる状況なのである。 警察官たちすら連れ去られると二度と帰らない。「線路に並べられた5つの死体」の警察官もほぼ全員が聖女の暗闇の中に消えてしまったため、捜査する者がいなくなり、レニングラード人民警察署のメンバーが雪を蹴立てて犯罪現場となった鉄路に赴く。五つの死体はすべて、指紋を採取すべき腕が切断され、全員の顔が剥がされ、完全な身元不明状態。ある者はレールに頭を乗せられ、ある者はレールの間に転がされている。 主人公の捜査官レヴォル・ロッセルは、かつて交響楽団のバイオリニストだったが、拷問を受けた際に左手の指を二本切断されたことで、楽器演奏ができなくなって久しい。この物語のタイトルが示すように、この奇妙な殺人死体は、音楽の世界にどこかで繋がっているかに思われる。 ロッセルの指を切断した拷問者ニキーチン少佐も本件に乗り出し、二人の奇妙な因縁のコンビはあろうことかこの運命の事件に、協力して捜査に絡んでゆく。凄まじい宿命の絡むこの事件を、遠い時代遠い向こう側の国に追いかけてゆくこのストーリー・テリングが凄まじい。格調高い芸術域に及ぶ音楽世界の語り口と、見えない影の国家による暴力の時代に真っ向踏み込んだ、逆境ミステリーの世界とが、ロッセルの眼を通して深刻に絡み合う。 対立と、処刑と、拷問と、裏切りと。凄まじい時代。歪んだ残酷な事件。それらを扱って、なお高い格調を保つ本小説は、フィリップ・カーによるナチス三部作の恐怖と緊張に満ちた捜査を思い起こさせる。二人の新人作家による極めて特異なシチュエイション設定が格別である。作家の一人は音楽家だそうだ。主人公ロッセルのモデルに投影された音楽への愛着には魂を込めているように感じられる。 各章の小題が音符で記されていることや、徐々に判明してゆく音楽との繋がり。眼を離せない伏線と、複雑な仕掛けに騙されつつ、ストーリーテリングの重厚な巧緻さに、最後には魂ごと持って行かれそうになった。当代における大変貴重な怪作として是非とも注目しておきたい作品である。
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小説から歴史に興味を持つことはよくあるし、それが無いとこういう作品をよむのはしんどいかもしれない ストーリーやサスペンスの内容は面白いが、和訳の情景描写が入って来づらかった事だけが星を一つ減らした要因です
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あとがきから読んで社会情勢的なの入れてから読んだ方が楽しんで読めると思う。どうしても和訳の言い回しになるから読み進めにくいところあるけど、話としては面白い。
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