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殺人者の手記(下) の商品レビュー

3.8

5件のお客様レビュー

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2023/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【上下通しの感想です】 ああダーリン、止まらずに読んだんだよ、最高だったさ、…最後の40ページ弱までは! と、よくわからない謎の倒置法で、大きな落胆は伝わりましたでしょうか。ええ。架空のダーリンに話しかけたくなる、近年稀に見る尻つぼみに文字通り天を仰ぎました。そりゃ〜ないよ。 最初はかなり良かった。 (だからよけい落下ギャップがひどかった、とも言う) 殺人者の「手記」部分が気難しい作家さんの知的な表現、といったいい感じで、ぐいぐい引き込まれて。企んでいるのか天然なのか分かりづらい謎の少女、想定外の異分子に戸惑うグループ、不穏な雰囲気、事件と理不尽に押しつけられる後始末。事件から後始末に至るまでは特に、引きずり込まれるみたいに読んだよね。 主人公の人となりがめちゃくちゃ丁寧に書かれてたり、心配(期待?)しながら読み進むわけですよ。ルメートルとか読んでるとどうしても深読み癖、つきませんか? …この幸せ描写、丁寧すぎん?なんか裏があるんじゃないの? とか。しかもガールフレンドだの古い友人、離婚した妻や子供たちとの交流など、意味深に思える動きが伏線めいてる。 …手記のグンナルは明らかに主人公のグンナルではないはず。いやだけど、なぜラストネームが明かされないの?手紙を受け取るグンナルとなにか関係が…?ラストネームが明かされてないと言ったらマリアンネも…これ、なんかとんでもないオチ待ってるのかも…⁉︎ …連続殺人(しかも手口がバラバラ)が起こってる横で主人公が人生を振り返ってリストアップする50名、それってどうなるの…! などなど。 ちなみに個人的には、少女の描いていた絵が気になってた。おばあちゃん云々の話の真偽がわからず、これが決め手でジワジワ追い詰められるのかな?とか期待してたからね。それが「あの子が話してたよ!」で、おしまいかあ(読んだ人にはわかるけどそのあっさりもまあそうじゃなかったんですがモゴモゴ)。 一方で現実に起こる殺人事件。予告の手紙に翻弄される主人公。主人公は残念ながら一人として救えないけれど、読者としてはその被害者たちの過去を「手記」で追っているのでもう、過去の事件も今の事件も気になってバンバン読み進むわけです。 そう、最後の40ページ弱までは。そして最後の種明かしにマジで唖然。え。 そうです。伏線かと思われたけどそうでない諸々の期待はずれを10,000歩譲ってもわたしが耐え難かった第、1位はですね…(ドラムロール) なんと!丁寧な掘り下げで読者としてがっつり寄り添った主人公じゃないんですよ、解決するのが。「思ったんだけどさー」くらいのノリで今までほぼノーマークの、気持ちがこれっぽっちも入ってない、なんならモブキャラにかっさらわれるのって…酷すぎませんか。せめてルームメイトじゃない?100歩譲って。てかだったらルームメイトとのあの下り、いる⁉︎ 殺人の証拠とかそう言ったモノにさえ言及されず、主人公が手紙を受け取ったことに意味もないって、ウソでしょ。 もしかしたら読み飛ばしちゃってたのかも。と、真剣に最後の方なんども読み返す。最後のページをめくって、え、嘘でしょ。って、ページ重なってないか、紙をすりすりしちゃった。それには意味がない、でいいならもはやなんでもありだよね。めちゃくちゃ置いてけぼり感。この本読んでみんな、そう思わないの?

Posted byブクログ

2022/04/09

殺人予告状は、三通目、四通目と続いた。バルバロッティに心当たりはなかったが、マスコミに嗅ぎつけられ、押しかけてきた記者に乱暴をはたらいたと捜査から外されてしまう。そんな彼を嘲笑うかのように、五通目の予告状にはバルバロッティのファーストネームが。さらに彼宛に手記らしきものが送りつけ...

殺人予告状は、三通目、四通目と続いた。バルバロッティに心当たりはなかったが、マスコミに嗅ぎつけられ、押しかけてきた記者に乱暴をはたらいたと捜査から外されてしまう。そんな彼を嘲笑うかのように、五通目の予告状にはバルバロッティのファーストネームが。さらに彼宛に手記らしきものが送りつけられるが、そこに書かれていたのは驚愕の記録だった。 事件は収束するが、もう一つの件はどうなったの? 気になる。

Posted byブクログ

2021/10/16

警察ものは好きだけど、家族ドラマは読みたいジャンルじゃないのよね ラストもモヤっと残念… 実は生きてましたってのを期待しちゃうかも

Posted byブクログ

2021/07/05

 的確かつ良い邦題、と思う。まさに本書は殺人者の手記によってスタートするからだ。(ちなみに原題は「まったく違った物語」)  まず、この手記が実に手ごわい。謎めいた文章の向こう、やがて明らかになる過去の犯罪。この手記だけで終わるノワールであっても構わないように思う。ここまで文章に...

 的確かつ良い邦題、と思う。まさに本書は殺人者の手記によってスタートするからだ。(ちなみに原題は「まったく違った物語」)  まず、この手記が実に手ごわい。謎めいた文章の向こう、やがて明らかになる過去の犯罪。この手記だけで終わるノワールであっても構わないように思う。ここまで文章に拘った、ある種芸術的とまで呼べる手記であるのなら。  しかしこの不気味な手記に、登場する人物たちが5年後、殺人の標的にされ、その殺害予告が次々とある刑事の自宅に届くことで、物語は立体的な複合構造を呈し始める。現在と過去。現実と手記。刑事個人と犯罪者との関係。  現実の側を司る捜査官グンナル・バルバロッティ警部補が本書の主人公。実に詳細に、綿密に、作家は彼の人物像を書き込んでいる。レトリックに満ちた幻想にすら思える薄気味の悪い手記を挿入しつつ、現実世界の証人の如く、物語を活かし、よりリアルにするために。  このバルバロッティ像がよい。彼は再婚を視野に入れた恋愛と子離れの丁度渦中にありながら、殺人予告が飛び込み、マスコミの精神的暴力に晒され、警察組織からは自宅待機を迫られるなど、次々とネガティブな環境下に置かれるが、何よりも殺害予告がバルバロッティに届けられる理由が、そもそもの謎なのである。  ブルターニュのある季節を描いた手記で始まる本書は、バルバロッティの視線で眺望した絵画のように美しいゴッドランド島での恋人とのシーンへ舞台を移す。さらに殺害予告を知った彼は捜査の中心となるシムリンゲ(架空の町らしい)へ。舞台装置の移動だけでもめくるめく動揺を誘いそうだ。  手記はさらに読者をミスリードする。バルバロッティの家族の離合集散と、新しい恋人との家族再構成に関わる現在の日々と、私生活だけでも一つのホームドラマとしての読みごたえがあるくらいなのに、そこに薄気味の悪い連続予告殺人事件やマスコミからのバッシングなど、波乱万丈なバルバロッティの周辺事情。  地方署ゆえに都市部警察署からの応援人員まで呼ばれ、なおかつ事件はスウェーデンの現在と、南仏の過去にまたがる大仕掛けなものである。そんな舞台装置に立つのが現実に存在していそうな等身大警部補バルバロッティ。周囲の個性的面々を含め、ストーリーテリングの冴えが目立つ力作と言ってよいだろう。無論リーダビリティも抜群である。  作者ホーカン・ネッセルは本国でも国際的にも名実ともに相当な実力派作家らしいのに、日本では数作しか翻訳されていない。バルバロッティ・シリーズはもちろん、ファン・フェーテレン警部補シリーズ(『終止符(ピリオド)』一作のみ)もほとんど日本語では読めない。本作を機に、この筆力とアイディアに優れた才気溢れるベテラン作家に接する機会が、一気に広がってくれると有難い。

Posted byブクログ

2021/06/07

「悪意」も、読んでいたけど、更に断然面白い!警察小説が好きだからかな? ストーリーは、謎に満ちていて、思っていた展開は、裏切られる面白さがいっぱい! シリーズなのかな、楽しみ。

Posted byブクログ