1,800円以上の注文で送料無料

命は誰のものか 増補改訂版 の商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/05/19

ACP; Advance Care Planningは生命倫理の考え方からすると良いもののように聞こえる。しかし、現実には強いられた自己決定が出てくる。ACPを良いものとする考えは正しい。現実の日本の医療はACP以前の実態がある。林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠...

ACP; Advance Care Planningは生命倫理の考え方からすると良いもののように聞こえる。しかし、現実には強いられた自己決定が出てくる。ACPを良いものとする考えは正しい。現実の日本の医療はACP以前の実態がある。林田医療裁判(平成26年(ワ)第25447号損害賠償請求事件、平成28年(ネ)第5668号損害賠償請求控訴事件)では患者の長男が延命につながる治療を全て拒否し、それで治療方針が決まってしまった。ACPの要求するプロセスも経ていない。 ACPが強いられた自己決定になる背景は、社会保険費用の削減の狙いがあるからである。公務員の責任逃れ、負担逃れと自己決定は相性がいい。誘導や強制された自己決定でも形式的には本人が自己決定したものと扱われる。公務員のアリバイ作りの自己決定になる。 日本では最終的な医療・ケアに何を選択するかの議論に終始し、人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境作りの議論が等閑にされる傾向がある。厚生労働省がACPの愛称を人生会議としたことも問題である。ACPは計画(Planning)であり、計画を立てることが目的である。ところが、人生会議としたために会議をすることが目的化してしまう。 人生会議には安楽死に誘導する側面がある。現実に経済学者の成田悠輔氏は高齢者の集団自殺が日本の高齢化社会の解決策であると語った。ディストピア映画『PLAN75』が現実味を帯びている。

Posted byブクログ

2022/12/06

臓器移植や遺伝子操作等、ゾッとしたというのが正直なところ。 生物は長い年月の中で生きているのに、天文学的な技術の進歩(?)についていけるものなのだろうか? 自分のモヤモヤ感を大事にしながらも、色んな立場の多様なモノの見方があることを忘れずに、他人事にせずに考えたい。

Posted byブクログ

2022/03/31

生命倫理の入門書と言われているだけに分かりやすく書かれている。改訂版という事で、COVID19のトリアージ、優生保護法問題、「人生会議」の問題について、最後は遺伝子改変技術についてまとめられている。生命倫理の問題では自己決定権が取り沙汰されるが、何のための自己決定なのか言葉に騙さ...

生命倫理の入門書と言われているだけに分かりやすく書かれている。改訂版という事で、COVID19のトリアージ、優生保護法問題、「人生会議」の問題について、最後は遺伝子改変技術についてまとめられている。生命倫理の問題では自己決定権が取り沙汰されるが、何のための自己決定なのか言葉に騙されずに、しっかり学び議論をすることが大切であることがわかる。いずれにせよ、新しい技術が、この先どのようなことを社会に起こすかをしっかり想像しながら考え、専門家だけに任せずに民主的議論で進めていく事が大切である。

Posted byブクログ

2021/11/29

医療技術の発展によって、希望は増えたが叶えられない眼前の希望を前にした長きも増大させ、「仕方ない」がない社会になっている この言葉は重い 循環器内科医として医療の最前線にいるけれども、命を諦めざるを得ない時は科学技術よりもその人や家族の考え方のほうが遥かに大事だ。しかし一方で...

医療技術の発展によって、希望は増えたが叶えられない眼前の希望を前にした長きも増大させ、「仕方ない」がない社会になっている この言葉は重い 循環器内科医として医療の最前線にいるけれども、命を諦めざるを得ない時は科学技術よりもその人や家族の考え方のほうが遥かに大事だ。しかし一方で人の生まれる時や死ぬ時には、科学技術の進化によって今まで人間が生物として培ってきた生き方を超越してしまう方に流れることは抗えなくなっている。 自分はどう考えればいいのだろうか。悩みは尽きない。

Posted byブクログ

2021/08/02

S490.15-デイ-227 300857166 生命倫理の定評ある入門テキストの改訂版です。コロナ禍におけるトリアージの是非など新たなものも含めて、さまざまな課題が取り上げられ、自らの考えを整理するのに役立ちます。オートノミー尊重の時代に、「本人の意思が魔法の杖になっている...

S490.15-デイ-227 300857166 生命倫理の定評ある入門テキストの改訂版です。コロナ禍におけるトリアージの是非など新たなものも含めて、さまざまな課題が取り上げられ、自らの考えを整理するのに役立ちます。オートノミー尊重の時代に、「本人の意思が魔法の杖になっている」という指摘には考えさせられました。

Posted byブクログ

2021/07/14

人が生まれたり、死んだりすることは、かつてコントロールできるものではなかった。 しかしながら、現代では、生まれることも、死ぬことも、技術の進歩によってできるようになる時代となった。だが、新たなる問題として、誰を生かすべきかという優先順位の問題がでてきた。 誰もが平等であり、生...

人が生まれたり、死んだりすることは、かつてコントロールできるものではなかった。 しかしながら、現代では、生まれることも、死ぬことも、技術の進歩によってできるようになる時代となった。だが、新たなる問題として、誰を生かすべきかという優先順位の問題がでてきた。 誰もが平等であり、生きることの優先順位があってはならない。これは正しいことだ。だが、命を救うためのICUや透析機などの機械は限られている。そうした環境下では、優先順位の問題は避けられないのだ。 確かに、この問題を考えるべきは、専門職である医者であり、私たちが考えるには、知らないことだらけだ。 そうして考えたところで、当たり障りのない意見や、筋違いな結論が出てしまうかもしれない。 そういった意味で、ではどのような考え方があるかの手がかりがこの本には収められている。 この本の良いところは、各章の表題が、非常に身近な問題である点にあると思う。例えば、第二章「あなたは、パンデミックの状況では患者に優先順位をつけてもやむをえないと思いますか?」などだ。 この章では、トリアージの問題が取り上げられている。 コロナ禍で、トリアージと言う言葉はかなり浸透してきてはいるがそれでもまだ知らない事は多い。 そこでトリアージとは何かと言う説明からはじまり、トリアージをすることで、患者の優先順位が決まるのはある程度仕方がない、とするのではなく、『一定の基準で命を選別しようとする事は…否定されるべき差別である』(P59)と述べる著者の言葉は、重い。 考えるためのヒントが散りばめられているため、ではどうするべきかの答えが書いていないのは、不十分と捉えられるかもしれないが、私のように、結論に飛びつくような人間にとっては、何が問題点かを洗い出し、そこから自分で考えましょう、とするこの本は、素晴らしいと感じた。 「よりよい解決案」は、状況で大きく変わることがある。問題点と選択肢を増やすという意味でこの本は、自分にとって良いものとなった。

Posted byブクログ

2021/06/16

どこからが生で、どこからが死か。なんとなく、オギャーと生まれた時が生、心臓が止まった時が死と考えていたが、国民性や宗教やさまざまな理由でさまざまな見解があることを学べたことは大きかった。ただ、データや事実など丁寧に著しているぶん、とっつきにくい文で、後半になるにつれて読むことが辛...

どこからが生で、どこからが死か。なんとなく、オギャーと生まれた時が生、心臓が止まった時が死と考えていたが、国民性や宗教やさまざまな理由でさまざまな見解があることを学べたことは大きかった。ただ、データや事実など丁寧に著しているぶん、とっつきにくい文で、後半になるにつれて読むことが辛くなっていった。

Posted byブクログ