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実力も運のうち 能力主義は正義か? の商品レビュー

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122件のお客様レビュー

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2021/10/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

メリトクラシー=能力主義(功績主義)は、勝者に選民思想と自己優越を 敗者に自己責任感と劣等感を与える。 職業に貴賎があるように見せかけるメリトクラシーは、メリトクラシー社会における勝者が運営し、敗者を怠け者とするシステムを拒み、ポピュリスト政権を生んだ。 言っている内容は難しい。アメリカの社会、大学事情を知っていればスッと理解できるのだろうが。 私はコンビニやスーパー、ファミレスの仕事を誰にでも出来る仕事と見なしているだろうか。ほんの一握りの人しか出来ない仕事なんて一体どれだけあるだろうか。

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2021/09/25

哲学、政治、思想etc 色々なものが入り混じり、私の能力の限界を超えていた。最後まで読んだが、理解したとはとても言い難い。 もしかしたら、眺めただけかもしれない。

Posted byブクログ

2021/09/20

貴族制度よりは能力主義のほうがまだマシだが、現代では能力主義の負の側面が拡大し、学歴を得られず敗者として位置づけられた人々の尊厳や機会が奪われている。 エリートのおごりと労働者階級の不満が、トランプ大統領やイギリスのEU離脱を産んだ。 能力主義の場では、生まれつきの環境で多くの...

貴族制度よりは能力主義のほうがまだマシだが、現代では能力主義の負の側面が拡大し、学歴を得られず敗者として位置づけられた人々の尊厳や機会が奪われている。 エリートのおごりと労働者階級の不満が、トランプ大統領やイギリスのEU離脱を産んだ。 能力主義の場では、生まれつきの環境で多くの事が規定され、格差の拡大にも繋がりやすい。 たとえ才能に恵まれていても、生まれた環境によってはその能力を育てる事もできず、進学もできない。 まさに親ガチャ。 また、勝者として位置づけられた人々も、受験戦争・出世レースで消耗させられている。 これらの問題提議にとどまらず、それを解消するための案まで提示。

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2021/09/19

原題は、The tyranny of merit - What’s become of the common good (能力専制 - 共通善はどうなるのか) これの邦題を、『実力も運のうち- 能力主義は正義か?』とするセンスがまず素晴らしい。極端な話、読まなくても主題は通じてし...

原題は、The tyranny of merit - What’s become of the common good (能力専制 - 共通善はどうなるのか) これの邦題を、『実力も運のうち- 能力主義は正義か?』とするセンスがまず素晴らしい。極端な話、読まなくても主題は通じてしまう。 当時ニュースにもなった、2019年度の東大入学式での上野千鶴子教授の祝辞の中の、以下のくだりと似た趣旨が320頁にわたってみっしり書いてある。 引用始 あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。 引用終 印象に残ったフレーズ(サンデル氏ではなく、ナイト氏の言葉) P207 金儲けがうまいことは、功績の尺度でもなければ貢献の価値の尺度でもない。すべての成功者が本当に言えるのは次のことだ。類いまれな天分や狡猾さ、タイミングや才能、幸運、勇気、断固たる決意といったものの不可思議な絡まり合いを通じて、いかなるときも消費者の需要を形づくる欲求や願望の寄せ集めに ーそれがいかに深刻なものであれ馬鹿げたものであれー  どうにかして効率的に応えてきた、と。

Posted byブクログ

2021/09/08

アメリカが、イギリスが、これほどまでに分断されていること、その理由が貧富の差であることを、全く知らなかった。 アメリカで起こることはやがて日本でも起こる。日本でも、非正規と金持ちの対立が起こるのだろうか? 能力主義に変わるシステムが現れない限り、富の偏在は続くのだろう。 どんなシ...

アメリカが、イギリスが、これほどまでに分断されていること、その理由が貧富の差であることを、全く知らなかった。 アメリカで起こることはやがて日本でも起こる。日本でも、非正規と金持ちの対立が起こるのだろうか? 能力主義に変わるシステムが現れない限り、富の偏在は続くのだろう。 どんなシステムであれ、皆が平等にはならない。それでも、時代とともに良くなってはいるのだと思う。 直近の未来が暗くても、大きな流れでは少しずつ良くなっていると思いたい。

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2021/09/03

自らが能力主義、功利主義に囚われていた事に気づくきっかけになった 自惚れていた 謙虚さ、寛容さを身に付けたい

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2021/09/01

「運も実力のうち」ではなく、「実力も運のうち」である。似ているようで全く非なるもの、そして本書の核心でもある。 副題にもある能力主義について、著者の専門である政治哲学から宗教、学歴主義、大学入試、経済、労働と様々な分野における現状と弊害が分かりやすく説明されている。 日本でも...

「運も実力のうち」ではなく、「実力も運のうち」である。似ているようで全く非なるもの、そして本書の核心でもある。 副題にもある能力主義について、著者の専門である政治哲学から宗教、学歴主義、大学入試、経済、労働と様々な分野における現状と弊害が分かりやすく説明されている。 日本でも不寛容社会と言われて久しいが、原因はこの能力主義にあるようだ。"自分が努力して得た成功は自分の手柄であり、失敗は自分の責任'' 最近では某メンタリストがとんでもない発言をしたが、この能力主義的思考が根底にあることは想像に難くない。 また"能力主義の理想にとって重要なのは流動性であり、平等ではない。不平等を正当化している。"との説明には盲点を突かれたというか、確かになるほどなと納得。生まれてから能力主義の中で育った私は、能力主義が平等で当たり前だと思っていたが、能力主義は機会の平等は謳うが結果については平等など求めていない。しかもその機会の平等もうまく機能していない状況だ。 著者がハーバード大学教授である事を鑑みても、本著が主にエリートへ向けてのメッセージなのだろうとは思うが、エリートがこの能力主義的思考を改めるのは相当難しいだろう(エリートはエリートで相当の努力をしてその地位についたのだから)。ましてや社会の能力主義に根差した政策や風潮、市民の(自虐的)思想まで変えるのは容易ではない。 それでもなお著者はいくつかの対処策を提案していて、そのうちのどれかはいつか実現されないか…と期待をもってしまう。 (大学入試において適格者をくじ引きによる合否決定するなんて、実現は難しいだろうが著者が説明する理由(適格者の中でどの若者が将来真に傑出した業績を挙げるか正確に評価するのは不可能)には納得) 本編にも結論にも幾度となくでてきた「共通善」をより理解したいので、著者の別の本も読んでいきたい。

Posted byブクログ

2021/08/31

初めてのサンデル教授の本。とても面白く、モヤとしてたことがよく理解できました。じっくり読んでいます。 とくに、トランプ氏が大統領選挙に勝った2016年。忘れられていた白人レッドネック、ラストベルトエリア。。に支持された。という分析がたくさんありました。なんとなくわかった気になって...

初めてのサンデル教授の本。とても面白く、モヤとしてたことがよく理解できました。じっくり読んでいます。 とくに、トランプ氏が大統領選挙に勝った2016年。忘れられていた白人レッドネック、ラストベルトエリア。。に支持された。という分析がたくさんありました。なんとなくわかった気になってました。 ただ、ヒラリーがハイブロウすぎてソッポをむかれた、その理由がちょっとよくわかりませんでした。 この本では、それが能力主義(機会の平等)が、すでに上手く出世できた人たちの、できなかった人たちへの侮蔑につながり、さらに逆転不可能(固定)されてるからだと説明されており、とてもよく理解できました。 大学卒でない白人の2/3がトランプに投票した、大学卒以上の70%はヒラリーに投票した。p153近辺「所得よりも学位が投票を分断している」 分断・トランプの登場の理由を「学位偏重主義」においているのが、この本のテーマです。 米国民主党・中道左派が、「機会の平等」の解決策として「教育」を掲げてきたことも、データをもとに語られています。日本でもよく識者・経営者が「教育」を語りますが、その源流をみた気がします。 結局、学位と出世が既得権益になる。出世できた人は、機会平等下の「自助」=努力の証と、自らを誇る。そこまでなら、いいのですが。。やってはいけないことに、そこに到達しない人たちを侮蔑する。日本でもたまに噴出する生活保護受ける資格ない、潰れる店は努力不足といった自己責任問題がありますが、それと同根でしょうか。 サンデルは、そうした学位・出世した機会平等下のエリートたちに、「あんたがいい大学入れて出世できたのは、親が金持ちとか最初からゲタはいてたからでしょ」ということを主張します。 だから、「大学入れず、出世できなかった人を馬鹿にしていいはずはないだろ!」ってことを述べたかったんだと思います。 p152近辺に、労働者の味方だった米国民主党、英国労働党が、どんどん知識階級の党になり、労働者の票を失った結果、ポピュリズムとして愛国・右派に票が流れている。「民主党・知的エリートよ!そんなんで世の中いいの?」という分析です。 日本に置き換えたらどうなのか?考えてみたくなる時に、とても助けになるフレームワークだと思いました。 上述した日本の「生活保護」の問題も、数年前某芸人さんが未払い問題で叩かれました。しかし、数週間前ユーチューバー(メンタリスト)さんが叩かれた時は、まさにサンデルさんが言わんとしてた、成功者が上から目線で下を叩いてはアカンだろ、という風潮で、下を叩いてたユーチューバーが世間からバッシングされました。これってサンデルさんの主張の先を行ってるのか、それともトランプ現象が遅れて入って来てるのか。。その辺も考えてみたくなりました。 それと、昨今メディアを賑わす「東大」ブランド話。。日本ならではの展開、進行、分析しがいがありそうです。 どのページだったかあのオバマ大統領も、任命したスタッフの大部分はアイビーりーグ出身。ということも書いてありました。あのオバマさんも、この能力主義に囚われているのか、、、というのは驚きです。そしてバイデンさん。数十年ぶりのアイビーリーグ以外の大統領らしいですが、これは、サンデル視点では米国社会がバランスを取ってると言えるのか。。今後どうなるのか?諸々考えが広がる本でした。ということは、とてもいい本であると思います。 ちなみに、原題にもある"Merit" 。語源を引くと、こんな風に出てきます。本の中では「功績」と訳しています。日本語の「メリット」とは違いますし、的確な訳が難しいですね。自分の努力を世間で認めてくれた、その証みたいな感じでしょうか。勲章・認定証・資格。。。 "The noun is derived from Middle English merit, merite (“quality of person’s character or conduct deserving of reward or punishment; such reward or punishment; excellence, worthiness; benefit; right to be rewarded for spiritual service; retribution at doomsday; virtue through which Jesus Christ brings about salvation; virtue possessed by a holy person; power of a pagan deity”)"

Posted byブクログ

2021/08/28

努力をすれば必ず報われる、という考え方は本当に正しいのか?という事を論じた本。 今のアメリカの実例を交え、社会の不平等さなどがひしひしと伝わってきた気がする、、、

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2021/09/04

何て面白い! 今まで不可解だったトランプ支持者の考えが多少理解できた。平等と正義の象徴のようなオバマが実は能力主義、「出世のレトリック」(努力すれば報われる)、「責任のレトリック」(努力しない者は報われる資格がない これはアメリカ人自身が「世界の中で特別な国であり、努力する者は誰...

何て面白い! 今まで不可解だったトランプ支持者の考えが多少理解できた。平等と正義の象徴のようなオバマが実は能力主義、「出世のレトリック」(努力すれば報われる)、「責任のレトリック」(努力しない者は報われる資格がない これはアメリカ人自身が「世界の中で特別な国であり、努力する者は誰でも成功する」というアメリカンドリーム信じていることに付け込んているという意味で罪深いレトリックなのだ。 1991年のブッシュ政権以降の政策で真の機会の平等のためにターゲットになったのが教育だった。教育がグローバル社会で競争できる人材を育てると信じて疑わなかった。ビル・クリントンは大学の学位を持たない労働者は仕事を見つけるのに苦労するだろうと主張した。これらの経緯が容認されている最後の偏見である学歴偏重主義を生んでいたのだ。

Posted byブクログ