理不尽な進化 増補新版 の商品レビュー
地球生物の99.9%以上は絶滅しており、生き残っているものが少ないということから絶滅種を基準に生物の進化を考えるという本。 この中で、種の絶滅は競争による優劣、弱肉強食といったものではなく、地球おける自然現象などの理不尽なものによって絶滅している、いわゆる運による生存、進化である...
地球生物の99.9%以上は絶滅しており、生き残っているものが少ないということから絶滅種を基準に生物の進化を考えるという本。 この中で、種の絶滅は競争による優劣、弱肉強食といったものではなく、地球おける自然現象などの理不尽なものによって絶滅している、いわゆる運による生存、進化であるということを理解した。 また、ダーウィンが説いたと認識していた進化論について、ここで述べている自然淘汰説、またスペンサーの適者生存説の理解と、一般的に理解されている、段階的前進的に進化していくような発展的進化論とは違うということ、これが社会通念的に誤解されている非ダーウィン的な考えであることも理解できた。 後半部分の細かい議論についてはあまり面白いと感じなかったため、また関心を持てたら読んでみたい。 生物種を見る視点として新しい視点を得られたこと、また、絶滅していった種がどのような運命によってそうなってしまったのかを考えるのに興味深いと感じる。
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半分くらい読んで、挫折…! 科学的でない日常の場面で使われる「進化」と、学術的な文脈で使われる「進化」が乖離していることへの嘆きが大きすぎて、このことに関する話が繰り返し繰り返し続くため、うんざりして読み通せなかった。 これまで地球上に存在した生物のうち現存するものは1/1000...
半分くらい読んで、挫折…! 科学的でない日常の場面で使われる「進化」と、学術的な文脈で使われる「進化」が乖離していることへの嘆きが大きすぎて、このことに関する話が繰り返し繰り返し続くため、うんざりして読み通せなかった。 これまで地球上に存在した生物のうち現存するものは1/1000である、つまり99.9%以上の生物は絶滅しているという話は言われてみればそれはそうだ。しかしその絶滅をくぐり抜けて生存したのはその種が「優れていた」からではなく、偶然適応していたからにすぎない。この辺りの話は面白かった。
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面白かった。アートとサイエンスの識別不能さという切り口は、自分がもやもや考えていたことをスッキリ説明してくれた。 少し長いですが、安易にとばしよみせずに前から順に読むことをオススメします。終章の部分が一番の読みどころです。
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再読って、めったにしないんだけど、この本は図書館で借りて読み、面白かったので、単行本を買ってしまい、その後、電子書籍版まで買って、読み返したというわりと惹きつけられている本だ。 グールドとドーキンスの進化論についての論争が、大きな軸になっているんだろうけどさ。背景にあるのは神...
再読って、めったにしないんだけど、この本は図書館で借りて読み、面白かったので、単行本を買ってしまい、その後、電子書籍版まで買って、読み返したというわりと惹きつけられている本だ。 グールドとドーキンスの進化論についての論争が、大きな軸になっているんだろうけどさ。背景にあるのは神は存在するのかどうか、という問題なのだろう。ハリネズミとキツネとか、欧米の社会学、哲学関係みたいな本を読むと出てくるたとえ話も、この本で最初に知ったような気がする。ほんとうに幅広く、多くの知見を盛り込んでいて面白いんだよね。 また、忘れたころに読み返すかもしれないな。
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吉川浩満著「理不尽な進化——遺伝子と運のあいだ」を読んだ。本書は進化論の本来の意義や面白さを改めて確認し、その上に進化論が含む矛盾とすら思える理不尽さ、そして一筋縄ではいかない生命、あるいは種の原理について冷静に指摘している。進化論の解説としてはもちろん、思想史、さらには哲学書と...
吉川浩満著「理不尽な進化——遺伝子と運のあいだ」を読んだ。本書は進化論の本来の意義や面白さを改めて確認し、その上に進化論が含む矛盾とすら思える理不尽さ、そして一筋縄ではいかない生命、あるいは種の原理について冷静に指摘している。進化論の解説としてはもちろん、思想史、さらには哲学書としての役割すら果たす出来である。俺は進化論というある種中空的で、いかなる問題も巧みに包含してしまう学説について、とても不思議に、あるいは奇妙にすら思っていた。進化論の汎用性を理解したのは新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の際、即製のワクチンを危険だと忌み嫌い、その間にも感染症を発症し倒れていく過激派たちを目撃した時だった。彼らの言い分は必ずしも否定できず、恐ろしいことに多くの真実も含んでいたことだろうと思うが、しかしその結果としてコロナウイルスに罹患し倒れたのでは本末転倒もいいところだろうと、深く思った。これを世間は適者生存だと嘲笑したが、今にして思えば、俺や世間は進化論を軽視し、適者生存という思考を過信していたと思われる。中国の武漢で初めて新型コロナウイルスが蔓延した際、その危険性をいち早く発見し、中国政府に報告した若い医師はコロナに罹患し死亡した。これは必ずしも自然な死ではなかったかもしれないが、適者生存というなら彼ほどの適者は存在しえない。世界各国や有識者やWHOですら見抜けなかった危険性を理解していた人物が、なぜ真っ先に死ななければならなかったのか。本書はその現象を「理不尽」と呼び、進化論を理解する上での要としている。著者は恐竜の絶滅は理不尽によるものだと解説している。巨大隕石の衝突までは地球の覇者として存在していた恐竜は、隕石の衝突による急激な環境変化に応じられず、そのまま絶滅した。この一連の現象は、恐竜の責任ではなく、また恐竜の遺伝子の責任でもない。だれ一人として想定しえない事態が起こり、誰もがそれに対処できず、生き残った種は偶然生存し、絶滅した種は偶然絶滅することになった。これは理不尽と呼ぶほかない。本書が哲学書と呼べる要素は、この論理にある。人生は理不尽の連続であり、科学的な答えや責任の所在を問うだけでは対処できない問題ばかりだ。これをウィトゲンシュタインは「たとえ可能な科学の問いがすべて答えられたとしても、生の問題は依然としてまったく手つかずのまま残されるだろう。」と言及している。人生のほとんどの疑問や問題は、いわば詮無き問いといえる。生まれる国も家庭も人種も言語も選択できず、時には社会の大勢に押し潰されることもある。ほとんどの問題は時間、つまり忘却が解決するが、それは詮無き解というほかない。著者は本書を「自分で掘った穴を自分でまた埋めているようなものだ」と謙遜する。しかし本書は進化論のみならず、すべての学問、さらには人生まで言及した良書だ。だれもが理不尽に身を委ね、活用できるものならどれほどに楽だろうか。人生とは実に栓のないものである。
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説明と理解、方法と真理、サイエンスとアートの両面および狭間から進化論を論じた本。進化論についての概要や議論はもちろん、社会での進化論の扱いやダーウィニズムの哲学思想への影響まで、多くの視点をもらえる本だった。 適応主義は、副次的な効果に過ぎない機能を目的に最適化された結果だとこじつけてなぜなぜ物語を作り出してしまいがちである。この線形的で短絡的な判断は、現在存在しているものが最適化されていて最善の状態だと結論づけてしまう。これは社会に現存する不条理から目を背ける思想たりうる。 グールドは以上の考えから、自然淘汰による適応のみではなくその最適化を妨げる制約にも目を向ける多元主義的なアプローチを取るべきだと提案した。ドーキンスは、適応主義を前提に最適化問題に対する制約条件を考えることでむしろ進化の実際を検証することができる、と適応主義の正当性を主張した。デネットは、この観点からすると適応主義は、世界が最善だと盲信するパングロス主義ではなく、進化の謎の解を見つけるための科学的な発見的手法(ヒューリスティクス)であると、その有効性を論じた。 適応主義の有効性は確固たるものだが、グールドの、現在的有用性と歴史的起源を区別してそのズレにこそ目を向けるべきだという反駁はもっともだ。目的に最適化された完全なデザインよりも、不完全で無用な痕跡こそが進化の歴史を手繰る有効な手掛かりとなる。進化論は歴史を語るという性質上、普遍的かつ抽象的な一般法則を扱う科学(説明)と個別的かつ具体的な案件を直接の対象とする科学(理解)を両端にもつ連続体の、中間に位置する学問である。ガダマーは、学問は方法にもとづき説明を行う知識の総体だとし、理解は非学問的だが真理の経験をもたらすとした。理解は本質的に追跡不可能なものであり、説明は方法に則り追跡できる公共的で確実な知識である。理解と説明の対立が、真理のなかに方法を適切に位置づけ運用するという課題に変換された。 ダーウィニズムは、目的論的・機能主義的にしか理解できない事象を自然淘汰により結果論的に説明する方法だという点で、革命的な発明である。だがこれは、目的論的思考を認知バイアスとして抱える人間には直感的には理解しづらい理論である。この理論は運(偶発性)を内包するが、人間は思考から外れた偶然の範疇は理不尽として、形而上的に感受する。この理不尽の感覚は、学問という方法的な説明を求めない、真理の経験に属する事柄である。実在は偶然のものだが、人は必然性を見出さずにはいられない。偶然性を受け入れられずあらゆる実在に理不尽さ(不条理)を感じ耐えられなくなったロカンタン(サルトル 嘔吐)は、ついに激しい吐き気に襲われる。グールドはこの偶発性に付随する無目的の不条理に耐えられず、偶発性を科学の方法のなかに織り込もうとした。しかし偶発性は学問の範疇に収まるものではなく、真理の経験や理解の範疇に所属する。そのため、正統のダーウィニズムは、偶発性を伴う理論だがその不条理それ自体を説明しようとはしない。 あらゆる学問が解き明かされたとして、理解の範疇の問題は依然として残り、我々の直感は理不尽(学問では蓋然性、経験的には不条理)、ウィトゲンシュタインの壁を感じ抱える。人から離れた客観的な視点と経験から得られる主観的な視点を往復することで、問題に誠実に向き合い説明と理解、方法と真理の両方を得る努力が必要である。
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認知バイアスが進化論という広範な影響力をもつ議論にどう影響してきたかをよく示している。少々書きぶりが冗長と感じるが、重要な点が分かりやすい。
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これを読んだあとは、日常に蔓延する進化論的コピーが気になってしまう。 社会でも、会社でも、個人でも、強いから/能力があるから生き残っていると思い込むのは間違った認識。実力勝負は確かに存在するが、実力勝負にいたる舞台の設定は運でしかない。たしかに。 適者生存というスローガンが指...
これを読んだあとは、日常に蔓延する進化論的コピーが気になってしまう。 社会でも、会社でも、個人でも、強いから/能力があるから生き残っていると思い込むのは間違った認識。実力勝負は確かに存在するが、実力勝負にいたる舞台の設定は運でしかない。たしかに。 適者生存というスローガンが指すのは、生存したものが結果的に環境に適応したに過ぎないということだけ。いま生き残っているのが優れていることを証明するわけではない。誤解して使い過ぎている。 言葉のお守り的用法、周りにたくさんありそう。 好きな言葉、 現実はもっと理不尽寄り。
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科学史としての進化論も本書の視点で扱いつつ、でも進化論自体の本ではなく、進化論と非科学者である私たちの「進化論の理解」との関係を、進化論自体の本質的な面白さと絡めて語り尽くす。圧倒的に面白い。もともと進化論自体にそこまでの興味があった訳ではなかったはずなのに読む程にぐいぐいと引き...
科学史としての進化論も本書の視点で扱いつつ、でも進化論自体の本ではなく、進化論と非科学者である私たちの「進化論の理解」との関係を、進化論自体の本質的な面白さと絡めて語り尽くす。圧倒的に面白い。もともと進化論自体にそこまでの興味があった訳ではなかったはずなのに読む程にぐいぐいと引き込まれて進化論がいかに現代人の価値観に染みついて便利に使っているのか、しかもそれでいて実はそれは進化論自体ではないのでは、と。アート&サイエンスってビジネス書の流行りワードの一つみたいに使われること多いけど本来こうあるべきなのではと強く感じる楽しい読書でした
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進化というか進化論についての本。初めは面白い考察だなあと読み進めていたけど、長くて周りくどくて途中から苦痛になって断念。断念した本って久しぶり。色々考察して描く必要がありそこが妙なんだろうけど、頭の良い人って面倒臭いなって思った。
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