NOVA(2021年 夏号) の商品レビュー
『ルナティック・オン・ザ・ヒル』(柞刈湯葉) 月面で行われている地球人と月人の戦争。あと何人死んだらどうなる、みたいな人工知能による数値を戦況判断に使っているが、双方似たようなものを使っているので、その判断が間違うことはほぼない――というのがなんともおかしかった。 「相手の心理を...
『ルナティック・オン・ザ・ヒル』(柞刈湯葉) 月面で行われている地球人と月人の戦争。あと何人死んだらどうなる、みたいな人工知能による数値を戦況判断に使っているが、双方似たようなものを使っているので、その判断が間違うことはほぼない――というのがなんともおかしかった。 「相手の心理を読む必要はなく、自分の判断をそのまま使えばいい。どんな円満夫婦よりもわかりあっている敵同士だ。」 『自由と気儘』(高丘哲次) 主人が愛した猫を、彼亡き後も世話をするよう命じられた"ゴーレム"。昭和の湿っぽさのなかに、ひとり佇む砂のつくりもの。猫の様子を見つめる愛と戸惑いに満ちた日々は、読み終えるのが惜しくなるようなうつくしさだった。 「常に彼女のことを考え続けていなければならなかった。それは、自らの思考が活性化されることと同義である。人間ならば、心が満たされるとでも言うのだろうか。」 『勿忘草』は、前から気になっていた「機巧のイヴ」の番外編。やっぱり面白そうだったので、1作目を購入。
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このNOVAシリーズは、新しいタイプのSF作家を発掘するには持って来いのシリーズ。今回は発刊が予定より遅れたのだが、十分に吟味してくれたらそれは有難い事だ。焦って不完全なものを出版する必要はない。 さて、10人の作家のうち私が知っている作家は5人。それぞれに特徴あるスタイルで展...
このNOVAシリーズは、新しいタイプのSF作家を発掘するには持って来いのシリーズ。今回は発刊が予定より遅れたのだが、十分に吟味してくれたらそれは有難い事だ。焦って不完全なものを出版する必要はない。 さて、10人の作家のうち私が知っている作家は5人。それぞれに特徴あるスタイルで展開するも新規さはあまり感じられなかった。良い様に解釈すれば、既定路線の作品で、当該作家がお好きな人にとっては待ち焦がれていた作品で、そうでない人にとっては単にページが進んで行くだけ。 一方、初対面の作家については、中にはちょっと読むことが苦痛な作品も多かった。私にとって、これらはSFの辺境に位置すると感じてしまう。いや、自分が辺境にいるのか?また、いったいSFって何?と考えさせられた。やはり作品との出会いの印象は、人との第一印象と同じで、作家の思想・人間性・ポリシーを的確に掴めないと「良く分からない作家」で一括りにしてしまいがち。二作目に進むハードルはかなり高くなる。その際は、できるだけ自然に前作をリセットしておけると幸せなのかな。 このシリーズはまだまだ続きそうなので、ああ裏切られたと思わずに、SF業界の発展経過に立ち会うといった軽めのスタンスで見守っていくつもり。
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特に面白いと思ったのは5作品。 池澤春菜『オービタル・クリスマス』 新井素子『その神様は大腿骨を折ります』 高岡哲次『自由と気儘』 坂永雄一『無脊椎動物の想像力と創造性について』 酉島伝法『お勤め』
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おもしろかった。 けど、今回、読み終わって、ああ、こういうことだったのかという理解に至らない話が多かった。 自分の読解力が落ちてるのなら、嫌だなあ。
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久しぶりにアンソロジーを読んでみた。まったくタイプの違う作品、作者に出会えて満足。 お気に入りは以下4作品。 『五輪丼』 すばらしい。これは絶対に今年読むのが正解。 『オービタル・クリスマス』 暖かく穏やかでいいお話です。 『その神様は大腿骨を折ります』 すべてのサラリーマンに...
久しぶりにアンソロジーを読んでみた。まったくタイプの違う作品、作者に出会えて満足。 お気に入りは以下4作品。 『五輪丼』 すばらしい。これは絶対に今年読むのが正解。 『オービタル・クリスマス』 暖かく穏やかでいいお話です。 『その神様は大腿骨を折ります』 すべてのサラリーマンに読ませたい。 『おまえの知らなかった頃』 ハリウッド映画化してほしい。
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正直、最近のNOVAは自分の趣味からはズレてきてるかなぁ、という感じがしてしまっているが、アンソロジーなので「ハズレなし」なんてことはありえなくて、自分的星5が2作あるだけよかったか。 高山羽根子「五輪丼」★★☆☆☆ 池澤春菜「オービタル・クリスマス」★★★☆☆ 柞刈湯葉「ルナ...
正直、最近のNOVAは自分の趣味からはズレてきてるかなぁ、という感じがしてしまっているが、アンソロジーなので「ハズレなし」なんてことはありえなくて、自分的星5が2作あるだけよかったか。 高山羽根子「五輪丼」★★☆☆☆ 池澤春菜「オービタル・クリスマス」★★★☆☆ 柞刈湯葉「ルナティック・オン・ザ・ヒル」★★★★☆ 新井素子「その神様は大腿骨を折ります」★☆☆☆☆ 乾緑郎「勿忘草 機巧のイヴ 番外篇」★★☆☆☆ 高丘哲次「自由と気儘」★★★☆☆ 坂永雄一「無脊椎動物の想像力と創造性について」★☆☆☆☆ 野崎まど「欺瞞」★★★☆☆ 斧田小夜「おまえの知らなかった頃」★★★★★ 酉島伝法「お務め」★★★★★
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傑作集ではなくて新作書き下ろしなので、粒ぞろいとはいかない。坂永雄一、斧田小夜といった、むしろ新し目の作家さんが、むしろ古臭く感じる、如何にもな意匠を纏っているだけならともかく、プロパーでない読者を遠ざけるような、変にスカした短編を書いているのはジャンルにとっていいことじゃない気...
傑作集ではなくて新作書き下ろしなので、粒ぞろいとはいかない。坂永雄一、斧田小夜といった、むしろ新し目の作家さんが、むしろ古臭く感じる、如何にもな意匠を纏っているだけならともかく、プロパーでない読者を遠ざけるような、変にスカした短編を書いているのはジャンルにとっていいことじゃない気がする。 個人的ベストは「お務め」、「五輪丼」、「自由と気儘」あたり。
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