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海を抱いて月に眠る の商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

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2024/07/28

ずしんと心が揺さぶられる物語だった。密航して日本にたどり着いた在日1世の物語。祖国の統一や民主化を願って運動に関わっていくが、家族にはなぜかコミュニュケーション障害のように、うまく気持ちや愛情、行動の意味を伝えることができず、つい怒鳴ってしまう。亡くなってから日記を読むことで息子...

ずしんと心が揺さぶられる物語だった。密航して日本にたどり着いた在日1世の物語。祖国の統一や民主化を願って運動に関わっていくが、家族にはなぜかコミュニュケーション障害のように、うまく気持ちや愛情、行動の意味を伝えることができず、つい怒鳴ってしまう。亡くなってから日記を読むことで息子や娘たちは初めて理解できる過程が悲しいけれど感動的だった。

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2024/04/11

不勉強なため、韓国の近現代史をほとんど知らずに読んだので前半は聞きなれない韓国名や言葉に悪戦苦闘したり、父の横暴な態度にイライラしながら読み進めていくがだんだん夢中になって読んでいた。自分の本当の名前も歳も偽り異国の地で家族を思い、国を思い生涯をおくった在日の人の気持ちなど今まで...

不勉強なため、韓国の近現代史をほとんど知らずに読んだので前半は聞きなれない韓国名や言葉に悪戦苦闘したり、父の横暴な態度にイライラしながら読み進めていくがだんだん夢中になって読んでいた。自分の本当の名前も歳も偽り異国の地で家族を思い、国を思い生涯をおくった在日の人の気持ちなど今まで考えたこともなかった。 読書は娯楽と思っていて、歴史や政治ものはあまり読んでこなかったけれど時々はこういう本も読んでみるものだと感じた。

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2024/02/07

読書記録68. #海を抱いて月に眠る 本好き友が紹介してくれた作品 海を越え日本に来た父と 日本で生まれた息子、娘 更にはその子らにも繋がる 家族の物語 父親の不器用な姿の奥にある真実が一つ一つ見えていく毎に涙が溢れた 彼らの背負ってきた時代の苦労を、何も知らないでいる自...

読書記録68. #海を抱いて月に眠る 本好き友が紹介してくれた作品 海を越え日本に来た父と 日本で生まれた息子、娘 更にはその子らにも繋がる 家族の物語 父親の不器用な姿の奥にある真実が一つ一つ見えていく毎に涙が溢れた 彼らの背負ってきた時代の苦労を、何も知らないでいる自分が 恥ずかしい 知ろうとする事、伝え残す事の大切さ 友よ、ありがとう

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2023/08/06

韓国の近代史を知らなかった。祖国を離れて、身を偽って暮らす葛藤も想像を超えていた。とはいえ梨愛の父が家族に向ける言動には共感も理解もできないなぁ。

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2023/01/14

父の文山徳允は表立っては在日という事実を隠し、日本名で人生を送っていた。 小さい頃から父は長男の鐘明には優しく、何故か娘の梨愛(りえ)には理不尽ともいえる厳しい躾を果たしてきた。 長女の梨愛は、そんな父親に反感を抱き、お互いに理解し合える親子関係ではなかったと考えている。 兄は、...

父の文山徳允は表立っては在日という事実を隠し、日本名で人生を送っていた。 小さい頃から父は長男の鐘明には優しく、何故か娘の梨愛(りえ)には理不尽ともいえる厳しい躾を果たしてきた。 長女の梨愛は、そんな父親に反感を抱き、お互いに理解し合える親子関係ではなかったと考えている。 兄は、母国に対する愛国精神に長けた父親の頑固なまでの考え方とは相反し、結婚と同時に日本国籍を取得する。 そんな兄とも梨愛は距離を置いた関係が続いていた。 その在日韓国人一世だった父が亡くなった。 傲慢とも云えた父の葬儀に、老いた白髪の老人が人の目も憚らず、棺に縋り泣き悲しんでいる。 その傍に美人の若き婦人が涙を流し、父の死を悼み悲しんでいる。 身内の誰もがその二人が何者なのか、全く知らなかった。 後日、兄と二人で父の一人住まいであったマンションで遺品整理を行なう。 数少ない遺品の中に、数冊の古いノートが遺されていた。 日帝支配の戦前、戦中、そして戦後と、混乱の真っ只中で苦境を強いられた朝鮮半島の人たちの生き様の物語だ。 在日の人々の戦後の歴史が、李相周(文山徳允)が残したノートに、文山の人生が綴られていた。 慟哭ともいえるノートから聞こえる声を通して、梨愛と鐘明は父親の真の姿を知ることになる。

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2022/10/17

朝鮮半島の近現代史や、「在日」への知識が無いと少し理解しづらいかも知れないが、歴史に翻弄された一世の壮絶な生涯を垣間見れる。 私も見たことがある、ふと遠くを見るような、一世の姿が思い浮かぶ。 しかし思うに、「翻弄された」で終わらせてはいけない。その中でも誰よりも力強く生き抜き、...

朝鮮半島の近現代史や、「在日」への知識が無いと少し理解しづらいかも知れないが、歴史に翻弄された一世の壮絶な生涯を垣間見れる。 私も見たことがある、ふと遠くを見るような、一世の姿が思い浮かぶ。 しかし思うに、「翻弄された」で終わらせてはいけない。その中でも誰よりも力強く生き抜き、我々後代に大切な財産を遺してくれた一世の生き様を記憶したい。

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2022/09/14

以前、姜尚中さんのオモニの一生を綴った”母”という作品を読んだ時、実に壮絶な人生だ。という感想を抱いたのだが、この作品のアボジも実に壮絶な人生だ。 時代と運命に翻弄され時にはあがらい、流され、それでも必死に生きたアボジ。仲間、家族、故郷。。。 奇しくもコロナで久しく韓国には行けて...

以前、姜尚中さんのオモニの一生を綴った”母”という作品を読んだ時、実に壮絶な人生だ。という感想を抱いたのだが、この作品のアボジも実に壮絶な人生だ。 時代と運命に翻弄され時にはあがらい、流され、それでも必死に生きたアボジ。仲間、家族、故郷。。。 奇しくもコロナで久しく韓国には行けていないが、それでも自由にどこでも行ける今の時代は、本当に恵まれている。 日本はよく単一民族と言われているが、よく考えてみてほしい。果たして、そう言い切れるだろうか。

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2022/02/19

在日の父。見知らぬ女性。涙。 自分の知らない父。 知らない人生。 親の人生って?知っていますか? 考えてしまいました。

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2021/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

海を抱いて月に眠る 著者:深沢潮 発行:2018年3月25日 文藝春秋 深沢潮という作家の小説を読むのは初めて。1966年、東京生まれ、女性。今年11月に、どこかでこの本のことを知り(書評のようなものを読んだ記憶もある)、気になっていたのでグーグルアプリの一つのKeepにメモしていたようだ。そのメモはスマホでいつでも見ることができる。中央図書館に行った時にメモを見て、借りた。なんでも、佐藤優氏が絶賛している小説だとのこと。 終戦直後(日帝からの解放直後)の韓国、慶尚南道にある三千浦という漁港から、密航で脱出をした3人の同級生。16歳。主人公は船に乗るかどうか迷っていたが、父親が先妻の子である長男ばかりを可愛がり、後妻の子である次男の自分を冷遇、またその長男がずるいやつで、自分が悪さをしたのに次男のせいにすると、父親はそれを信じて次男を折檻するという差別を受けていたため、誘われるままに船に乗った。韓国では反体制運動が盛り上がり、ゼネストもあって赤狩りが行われていた。彼らも赤狩りの山から逃げて来ていた。 密航船は対馬で大破し、死にかけたが同級生のうちの一人、東仁が助けてくれ、なんとか生き延びた。彼らは捕まって送り返されないように、まったく別人の在日朝鮮人(のち韓国人)として生きることにした。別人の身分を買ったのだった。名前も違う、年齢も違う。主人公も5歳、年上となった。 彼らは、いつかは祖国に帰りたいと強く思い、日本で生き延びていく。主人公は不器用で、家庭を持った後も妻にいいたいことがうまくいえない。傲慢、強引と思われてしまう。妻は在日2世のため、日本や韓国に対する思いが少し違うのだ。そんなギャップも埋められないまま、心臓に大きな病のある長男が生まれ、そして長女が生まれる。 小説を読んでいると、懐かしい響きの言葉が甦ってくる。「韓民統」もその一つ。僕が大学時代には日常的に聞いた言葉だし、知人の在日韓国人にもメンバーがたくさんいた。主人公も、韓青(在日韓国青年同盟、民団の傘下団体だったが後に民団反主流団体となる)から韓民統(韓国民主回復統一促進国民会議)で、反朴正熙、金大中支持の活動を行う。一方、在日2世の妻は、家庭よりそんな活動が大切なのかと彼を批難する。しかし、彼はちゃんと説明ができない。実は自分にはまったく別の本名があり、年齢も5歳若いという、明かしていない秘密がある。 金大中が東京で拉致された時のことも出てくる。彼らが、直接、金大中と会って話をし、支援し続けている最中に起こった事件だった。 主人公は、長女が生まれた時に、ついに韓民統の活動をやめる。そして、武蔵小山に土地を見つけ、借金をしてパチンコ店を開店する。そうしないと生きていけなかったのだ。 その長女というのが、この小説の本当の主人公であり、著者自身でもある。彼女は長いこと父親とは疎遠だったし、90歳で死んだ時にも特段悲しくもなかった。ところが、遺品の中から手書きのノート2冊を見つけて読むと、父親の本名はじめ、彼女が生まれるまでの歴史が書かれていた。真実を初めて知る彼女。 実話だったようだ。ただし、著者の父親は死んでおらず、直接話で聞いたとのこと。金大中も本当に支援していた。 お金がなくてどうにもならない、家族を守れない、活動をやめざるを得ない、その無念さ。そうした気持ち、なんだか僕にはすごく理解できた。無念さがよく理解できる、という意味だ。 この小説、父親の歴史が解明された段階で、残りが20ページほど。その20ページには、娘が骨を持って故郷・三千浦に分骨に行く下りがあり、物語の締めくくりにしている。この部分はいらなかった。あまりにも最後、平和裏に締めくくりすぎていて、それまでの緊張感やテーマの高尚さが吹っ飛んでしまった。

Posted byブクログ

2021/09/29

離婚して働きながら一人娘を育てる梨愛。横暴で厳格だった在日一世の父は、親戚にも家族にも疎まれながら死んだ。遺品の中から出てきた古びたノートには想像を絶する半生が記されていた。(e-honより)

Posted byブクログ