不法行為法における法と社会 の商品レビュー

瀬川信久(著者)

2021/12/08

　「法」の側から社会との関わりを考える。タイトル、出版社とも専門書のものだが、高校生向けのセミナーが土台になっているだけに「わかりやすさ」も配慮されている。その上、民法学の巨星、瀬川先生だけに、単にわかりやすだけのものでもない。私も、民法学の片隅に生息する者として、正直、瀬川先生の語り口はあこがれる。
　被害者の損害回復を目的とする不法行為訴訟でもって、事故防止という社会的要請は基本的には考慮されないが、この前提に立って、事故防止という目的達成のために考えなければならないことが論じられていることは、私としても大いに評価したい。