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沙林 偽りの王国 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2022/01/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

九州大の沢井教授シリーズ 「悲素」に続いて、警察からの依頼で毒物に関する意見書を提出する沢井教授の視点からのオウム真理教事件の全貌を描いた力作です。 物語としては、教授視点ということもあるのですが、事件に関係した化学的な話と一般的な感想が中心で、法廷証言のシーンが一番物語らしかったです。 事件後25年を目途に総括したかったと著者が述べているように、確かにサリン事件以外も詳細にオウム真理教の犯した罪を網羅していますが、教授視点のため新聞や雑誌の情報が中心で、自分も一緒に読んでいるような気になりました。 むしろ、化学兵器の歴史、生物兵器の歴史、サリン等の毒物による発症や治療方法、毒物の分析化学など薀蓄が盛りだくさんで勉強になりました。 ラストの金正男殺害事件でこの系統の毒物の怖さを風化させてはいけないと思いました。

Posted byブクログ

2021/12/28

学者の視点から事件をみる。化学・生物兵器に対する詳細な解説。その点では勉強になる。が、しかし・・アンソニー・トゥ氏とみられる名誉教授が土屋正実のVX製法の図を勝手に公表したという一方的な断罪。公表控える理由は書いていない。本書は小説。訴えられればそう逃げるのだろう。著者の人格を疑...

学者の視点から事件をみる。化学・生物兵器に対する詳細な解説。その点では勉強になる。が、しかし・・アンソニー・トゥ氏とみられる名誉教授が土屋正実のVX製法の図を勝手に公表したという一方的な断罪。公表控える理由は書いていない。本書は小説。訴えられればそう逃げるのだろう。著者の人格を疑う。執拗過ぎる証人尋問の描写。気づかぬうちに弁護士を悪者と思わせる。オウムの犯行ではないとわかった長官狙撃事件。その程度も調べていない。「いとも簡単に洗脳される」という警告は奇しくも本書・この著者に対してなされるべきものか 帚木氏の著書について下記記事をみつけた。 https://www.data-max.co.jp/article/38987 『悲素』は未読であるが、小林こと林眞須美氏の犯行と決めつける描写となっているのだろう。林氏側の提訴は棄却。小説であるがゆえだろう。原告としても「架空」という言質さえとれればよかったのだろう。これを読んで、林犯行を隠ししてしまう人がいたら哀れである。実際の事件を小説の形態で書くのはありだが、事実と架空を混同させるのは表現の問題がある。知識ひけらかして人間は薄っぺら。この著者の作品は二度と読むことはないだろう。

Posted byブクログ

2021/11/16

146久々に渾身のルポタージュを読んだ。高学歴の人たちがなんでコンプレックスのかたまりのおとこに惹かれていったのか?真相を追求しようとする信念を感じました。しょうむない授業するくらいなら、これを教科書に半年くらいかけて子供に教えないとあかんと思う。とにかく心労を尽くしての執筆ご苦...

146久々に渾身のルポタージュを読んだ。高学歴の人たちがなんでコンプレックスのかたまりのおとこに惹かれていったのか?真相を追求しようとする信念を感じました。しょうむない授業するくらいなら、これを教科書に半年くらいかけて子供に教えないとあかんと思う。とにかく心労を尽くしての執筆ご苦労様でした。ありがとうございました

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2021/10/26

オウムの本を読むと、犯した罪の償いはやはり心の底からの悔やみしかないんだと思い知らされる。 そして人間の心の弱さ 麻原以外はほとんどが私利私欲はなかったはずなのに 犠牲になった人たちの無念さが辛い

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2021/08/29

医師でもある作者が、地下鉄サリン事件から25年目を迎えるまでにとまとめ上げたオウム真理教による犯行の全貌。 表紙のカナリヤを手にした重装備の捜査員に、当時ニュースで見た強制捜査の映像が蘇る。 薬物中毒の監修等で実際に活躍した九州大学の衛生学研究室教授をモデルとし、史実に基づき構...

医師でもある作者が、地下鉄サリン事件から25年目を迎えるまでにとまとめ上げたオウム真理教による犯行の全貌。 表紙のカナリヤを手にした重装備の捜査員に、当時ニュースで見た強制捜査の映像が蘇る。 薬物中毒の監修等で実際に活躍した九州大学の衛生学研究室教授をモデルとし、史実に基づき構成されたフィクションは、医師ならではの知見が十分に発揮された深みのある作品になっている。 詳細な毒物の作用機序や第一次世界大戦の毒ガス攻撃の歴史など詳細にすぎる面もあるが、それでも最後まで読むのをやめられなかったのは、私自身あと数分の差で地下鉄サリン事件に遭っていてもおかしくなかったからかもしれない。 人生の明暗を分けたあの日、現場ではこれほどの惨事が起こっていたのかとニュースでは知り得なかった事実にさまざまな思いが胸を重くする。 作者は言う「人はいとも簡単に洗脳される」。 「オウム真理教の実態は、洗脳に対する教訓をまたとない形で示してくれる。その意味でも、私たちは絶対に、オウム真理教という現象を忘れてはならないのだ」と。 「貧者の核」と言われる化学兵器は、核兵器と違っていつでもどこでも使用が可能であるということ、人の孤独な魂につけ入り、洗脳し、テロを仕掛ける輩がいつ現れてもおかしくないことなどを鑑みると、私たちはこの過去の大事件を決して忘れずに語り継いでいかなければならないと強く心に刻みました。

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2021/08/15

2021/04/18予約 20 ちょうど予約から4ヶ月後に読了。 とにかく医療系、法律系に疎い自分には、読み進めるのがとても難解だった。 自分が20歳ごろの事件で、関連事件がこんなにもあったのは、全く知らなかった。 松本智津夫の、学歴に対するコンプレックス、だから教団幹部には...

2021/04/18予約 20 ちょうど予約から4ヶ月後に読了。 とにかく医療系、法律系に疎い自分には、読み進めるのがとても難解だった。 自分が20歳ごろの事件で、関連事件がこんなにもあったのは、全く知らなかった。 松本智津夫の、学歴に対するコンプレックス、だから教団幹部には、驚くほどの高学歴の人ばかりが集っていた。 そして、これは今も昔も、よく言われると思うが、警察内部での風通しの悪さにより、犯罪は捜査が後手後手にまわり、もっと早く対処していたら、ということばかりであった。そしてそれが今も改善されていないことも問題だろう。 そして人はこんなにも簡単に騙され洗脳され、何千万もお布施をするものだということ。 更に驚くことに、オウムはアレフと改称され、これを上祐が分派して、アレフ内の対立により第3の集団まで生まれているということ。 これらの集団は正体を明らかにしない。ヨガや占いなどのイベントを通して接点を作り、入会を促す。 オウム真理教は、無くなることはないのだと、思った。 それにしても、帚木蓬生氏はよくここまでまとめたものだと思う。 たくさんあるパーツを分類してまとめ、順を追い小説に仕上げる。 これはドクターである、彼にしか書けない小説というかドキュメンタリーだろう。 過去に見たことのないくらいの参考文献だった。 ずっと、帚木蓬生氏のファンです。 これからも応援しています。

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2021/08/02

オウム事件を思い出しながら読んだ。 事件の経過経緯やオウムの内側というよりも、サリン被害の症状や治療についての記述が多い。毒ガスの歴史の一端がわかり、興味深かった。 小説ではないのでしょうか。知り得た事実から逸脱しない様に書かれているということでしょうか。昭和生まれの身には同時代...

オウム事件を思い出しながら読んだ。 事件の経過経緯やオウムの内側というよりも、サリン被害の症状や治療についての記述が多い。毒ガスの歴史の一端がわかり、興味深かった。 小説ではないのでしょうか。知り得た事実から逸脱しない様に書かれているということでしょうか。昭和生まれの身には同時代の出来事が題材なので、なんか消化不良な感じも残った。

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2021/07/29

TBSの犯した不祥事を無視するのはいただけない。 オウム真理教の始まりから終わりまで、順序立てて非常に詳細に描かれている。この点だけでもかなりの高評価、素晴らしい著作なのだが著者がTBS出身ということでTBSビデオ問題についてほとんど触れられていない。これこそがマスメディアの犯...

TBSの犯した不祥事を無視するのはいただけない。 オウム真理教の始まりから終わりまで、順序立てて非常に詳細に描かれている。この点だけでもかなりの高評価、素晴らしい著作なのだが著者がTBS出身ということでTBSビデオ問題についてほとんど触れられていない。これこそがマスメディアの犯した世紀の愚行であったのにさらりと数文字書かれているだけ。この点が本当に残念でなりません。 そしてTBSということで毎日新聞の登場シーンがやたらと多い。朝日新聞はそれに次ぐ。 それと生物兵器の歴史も書き連ねた点は良かったが、旧日本軍の731部隊に関する記述が多すぎる。酷いことをしていたのは間違いないがオウムから離れて何十ページも割いて批判を繰り広げるのはこの本の趣旨からするとかなり脱線している印象を受けた。 全体を俯瞰すると☆5にしたいところだが上記事項がやはり難点。☆4です。

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2021/07/24

膨大な資料から、わかりやすくまとめられています。大変な作業だったと思います。 地下鉄サリン事件、当時、東京駅から、地下鉄を使い半蔵門まで、通っていました。たまたま、出張で大分県日田市に来ており、テレビで事件を知りました。その後、新聞や週刊誌でオウムの記事を読んでいましたが、真摯に...

膨大な資料から、わかりやすくまとめられています。大変な作業だったと思います。 地下鉄サリン事件、当時、東京駅から、地下鉄を使い半蔵門まで、通っていました。たまたま、出張で大分県日田市に来ており、テレビで事件を知りました。その後、新聞や週刊誌でオウムの記事を読んでいましたが、真摯にまとめられたこの本以上の物はないと思います。

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2021/06/02

久々に「読んだぁー!」という量。 オウム真理教がのおこした数々の犯罪をほぼ時系列的に、神経内科教授が記録していくフィクション。 といってもほぼノンフィクションと私は捉える。 精神科医でもある筆者は後書によると「全貌を明らかにしなければならない」という筆者ならでは、の義務感に囚わ...

久々に「読んだぁー!」という量。 オウム真理教がのおこした数々の犯罪をほぼ時系列的に、神経内科教授が記録していくフィクション。 といってもほぼノンフィクションと私は捉える。 精神科医でもある筆者は後書によると「全貌を明らかにしなければならない」という筆者ならでは、の義務感に囚われたのではないか。 たくさんの参考文献をもとに、よくぞここまでまとめてくれたものだ。 警察の体たらくの反面、医療従事者の奮闘ぶりは、もっとメディアに出てもよかろうに。 完全に原因を追及することなく、死刑執行されたのは、違和感があったが、東京五輪や天皇即位が絡んでいたとは思いもよらなかった。 被害者たちも歯がゆかったことだろう。 いやー、帚木蓬生先生!ご苦労様でした!と心から賛辞を送りたい。 ありがとうございました!

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