在日ウイグル人が明かすウイグル・ジェノサイド の商品レビュー
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東トルキスタンの一少数民族であるウイグル族に対する人権弾圧というのは、問題の本質ではない。問題の本質は、東トルキスタンの土地が不法に侵略され、主権と国土が失われているところにある。東トルキスタンは資源が豊富で、一帯一路の出入り口に位置するということもあり、中国はここを失いたくない。ウイグル人は過去に3度、中国の支配から脱している。したがって、中国はウイグル人が再びその支配から脱することを諦めていないことを恐れている。ゆえに強制収容所を作って知識人や女性を捕らえ、独立国の建設や人口の再生産をできないようにしているのだ。
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この本は千葉大で教鞭をとるウィグル人女性の手による。ご本人はウイグルの詩を日本語に訳したり、あるいは日本の万葉集などの古典をウイグル語に翻訳したりと、文学畑の人のようである。 この本では個人的なウイグルの思い出、そしてウイグルの歴史、そして強制収容所の様子とそこから逃げてきた人々の話、ウイグル現代文学の紹介ともりだくさんの内容である。 私たち日本人はほとんどウイグルの歴史について無知である。ジンギスカンやチムール帝国は習っても中央アジアのことはほとんど知らない。 ここで簡単にチュルク系の人の紹介をしておこう。チュルク系の人の最大の国家はトルコ。中国の歴史ででてくる突厥もチュルク系である。チュルク系のひとは昔はバイカル湖の周りや、日本海に面した中国東北部で暮らしていた。それが、2000年ほどかけて、西進し、いまのトルコ半島に落ち着いたわけである。ジンギスカンがモンゴルを中心として膨張して、またモンゴルに収縮したのに対し、チュルクは西へ西へ進んだ。その中で西へ進むのを途中でやめたひとの一部がウィグル族なのである。そのため、ウイグルとトルコ人は普通に会話ができる、他にもアゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなどもみなチュルク語圏である。このあたりの文化的民族的広がりは20世紀のなかでほんの数十年、大日本帝国として膨張して急速に萎んだ日本人には想像することすれむずかしい、数千年にわたる民族の移動と膨張と収縮の歴史が詰まっている。 この本で著者がいいたいのはウイグルの現状を知って欲しいということと、自然に抱かれていきる人間の本性を中心にすえる思考と、一時的なものに過ぎない政治体制をトップに据える思考のどちらが正しいかということなのである。それが故に最後に詩人たちの詩の紹介がのっているのである。
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学術書と違い個人目線なのでリアリティがすごくて、耐性のあると思っていた私が目を覆うというか読めない、、と思うほど辛い箇所も。でも、みんな読んで欲しい!
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さすが翻訳家だけあって、流れるような日本語、本当に読み易かった。そして歴史家ではない一個人の視点ではあるものの、強い主張を叫ぶようにしてくる文体は鬼気迫るものがあった。
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https://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-8024-0112-8.html
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うーん、ウイグル関係の書籍を読むと… 同じ現代のアジアでの話とはとても思えなくて、「辛い」という言葉を超越した思いに囚われる… 何かできることはないかな…って思うけど… 少なくとも、中国製品は買わないように努めたい!! 奴隷経済の上に成立している「安価」には踊らされないよう気をつ...
うーん、ウイグル関係の書籍を読むと… 同じ現代のアジアでの話とはとても思えなくて、「辛い」という言葉を超越した思いに囚われる… 何かできることはないかな…って思うけど… 少なくとも、中国製品は買わないように努めたい!! 奴隷経済の上に成立している「安価」には踊らされないよう気をつけたいと肝に銘じた。
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在日ウイグル人女性のムカイダイスさんによるこの本は大変な内容の本だと思います。 この本が公に出版されたということはとても世界的に見ても画期的な有意義で大切なことで、ムカイダイスさん、出版社のハート出版さん、解説を書かれている三浦小太郎さんはじめとした関係者の方々を尊敬し、感謝いたします。 とても重苦しい内容の本ですが、少しでも受け止めていきたいと思います。 日本だって人ごとではないのですから。 冒頭のPhoto Galleryのウイグルの山、街の木々、家、木々、きれいな女性たちの写真。 ウイグルのこの地で今までに現在進行系で、ウイグル人たちが人間が耐えられる限界を超える、同じ人間に対するとは思えない、暴虐、残虐、狡猾、冷酷、非道、過酷な仕打ちを中国人によって受け続けています。 せめて日本国民が「将来、このような悲劇が起こらないようにするにはどうすればいいのか」という問いを自らにかけ、国を容易く中国共産党に差し出してしまったウイグル人がおかれいる、想像を絶する現状と悲しみに向き合ってくれれば、私達のような過ちを起こさないように教訓を得てくれれば、と思う。 今でもウイグル人たちのことを考えれば、正義や人道などは何の意味もないのかと諦めている気持ちを隠せないのも事実。 日本の皆様に「国があり、そして主権国家の国民として生まれる幸せ」、あるいは「国がないことはどういうことか」などを考えさせてくれることを願う。そしてウイグルの歴史が、侵略を用意に許す側も侵略者同様に平和の破壊者であり、罪人であることを悟らせてくれること願う。 「民が立ち上がろうとしてもなかなか立ち上がれない体制ができてしまっていた。侵略されてしまった祖先を恨むが、国を容易く侵略者に渡してしまった我が民族の愚かさと責任を、私達は今後追求しなければならない。侵略される側の責任と罪は侵略する側よりも重い。」 自国の独立を守り切れずに、侵略下に置かれてしまうと、その国民の運命はどうなるかということである。侵略者は悪者だが、それを許した側、先祖代々の命を育ててきた国土を敵に渡してしまい、子孫を敵の手で殺すことを許した私たちの責任と罪を、私は常に考えている。侵略者にたいし、話し合って解決することはできないこと、話が共産党には通じないことは、ウイグルで証明されたのである。 共産党対人間の尊厳の戦いは、ウイグルで終わらないということである。残念ながら、ウイグルの今後の明るい見通しは全くない。 ウイグルの民話に、地獄の炎で焼かれて苦しむ人々を目の辺りにした蛇と燕の物語がある。 燕は火を消し人々を助けるために口で日を運ぶ。 蛇は芝を拾って炎にくべる。そして燕を嘲笑いながら言う。 「愚かな燕よ!そんなことして火が消える訳がない。早く諦めなさい。」 燕は答える。 「蛇よ、お前の目に苦しむ人々が映っていないのか。彼らを助けたい。私はその信念で動いている。多くの人が私のように信念を持てば地獄の炎が消えるからだ。お前こそ愚かである。いずれその炎でお前が焼かれるのは明白なのに、その炎を大きくしているのだ」 最後に、世界の一人ひとりが、燕の信念に共感する世の中になってくれることを願う。 ムカイダイスさんの痛切な訴えです。 惜しくも若くしておなくなりなられた関岡英之さんとの交流も触れられています。 「なぜ私たちはこうなったの?」ムカイダイスさんをはじめとしたウイグル人の方々の無念を、私ごときですが真摯に受け止めていこうと思いました。
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新疆ウイグルの名を聞かない日はない位だが、どれほどのことを知っているのだろう。ウイグル出身で、現在日本で教鞭を取る著者は、支配側中国の「新疆ウイグル」ではなく、「東トルキスタン」という名称で祖国の紹介を始める。天然資源や気候に恵まれ、高度な文化を持つ美しい故郷の様子が手にとるよ...
新疆ウイグルの名を聞かない日はない位だが、どれほどのことを知っているのだろう。ウイグル出身で、現在日本で教鞭を取る著者は、支配側中国の「新疆ウイグル」ではなく、「東トルキスタン」という名称で祖国の紹介を始める。天然資源や気候に恵まれ、高度な文化を持つ美しい故郷の様子が手にとるように伝わる。 現在、連絡を取る手段は限られているにもかかわらず、中国建国以来の植民地化政策、近年の強制収容所やハイテクを使った監視システムまで告発している。 ここでの強制労働を元にして作られた衣料などの製品は、我々のすぐそばにあるかもしれない。そう、これはごく身近にある問題なのだ。
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世界で一番海から遠い東トルキスタン。…スタンって名前からして中国じゃないよ。やっていることは北朝鮮のスケールドデカばん。いやどっちも同じか。
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ウイグルジェノサイド ムカイダイス ハート出版 ムカイダイスさんの人格もさることながら 何よりも日本語が乱れている昨今 在日ウイグル人である著者があらわす 日本語の美しさに驚くばかりでした 文中73ページに出てくる関岡英之著 帝国陸軍知られざる地政学戦略・見果てぬ「防共回...
ウイグルジェノサイド ムカイダイス ハート出版 ムカイダイスさんの人格もさることながら 何よりも日本語が乱れている昨今 在日ウイグル人である著者があらわす 日本語の美しさに驚くばかりでした 文中73ページに出てくる関岡英之著 帝国陸軍知られざる地政学戦略・見果てぬ「防共回廊」を 知ることになったことが 私にとっても大きな意味を持つことになりそうだ 当時の一つの方向であったらしい 大東亜戦争のあり方が今に繋がるものとして理解できる それにしても チベットやウズベク族やカザフ族やモンゴル族などなど 資源や土地を狙いいまだにこれほどの理不尽が 大っぴらにまかり通る人間社会に吐き気がしてくると同時に 本気で意識の時代への脱皮を目指す必要性を感じる
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