探究する精神 の商品レビュー
本の雑誌・研究者本特集から。名を成した先生の来し方を自ら振り返りつつ、都度出合った書を紹介していくという、ブックガイド的ニュアンスも大きい一冊。
Posted by
感銘深い内容であり、著者が類稀なる才能の持ち主であることが伝わってくる。理論物理学者でありながら、知的関心の分野の幅広さと、その深さに驚きを持ちながら読み進めた。才能ゆえに、学問を探究する上で恵まれたコースを歩み、日本に閉じこもることなく、文字通り世界を股にかけた活躍は爽快でもあ...
感銘深い内容であり、著者が類稀なる才能の持ち主であることが伝わってくる。理論物理学者でありながら、知的関心の分野の幅広さと、その深さに驚きを持ちながら読み進めた。才能ゆえに、学問を探究する上で恵まれたコースを歩み、日本に閉じこもることなく、文字通り世界を股にかけた活躍は爽快でもある。素粒子論の究極の理論と思われている超弦理論に早くから刮目し、取り組んでいた先見の明は素晴らしい。基礎科学は地図のない旅に例えられるが、正しい方向に進んでいるのか、果たしてゴールはあるのか、不透明ななかを手探りで進むが、10年先、20年先で成果が見えることがあり、比類なき精神力とともに粘り強さが求められる。短期的な成果を追い求めがちな昨今の日本が真摯に考えるべきヒントが本書にはある。研究費支給の判定に、目的や実現可能性だけで判断すると、将来の大樹の芽をつむことになる。欧米では、研究者自身の探究心が優れているか、遂行する能力にたけているか、人にお金をつける、という発想がある。集中力の例えとして、数学者の例があげられているが、含蓄ある内容なので以下に再掲する。数学を考えながらいつのまにか眠り、朝目が覚めた時にはすでに数学の世界に入っていなければいけない。常人の理解を超越した世界である。
Posted by
地図を持たない旅人である研究者にとって、探究心こそ現時点で持ち合わせる最上のコンパス。 にしてもものすんごい経歴。ジリ貧の研究者が読んだらたぶん病む(でも嫌味な感じは全く無く、ただただ尊敬。日本人でこれだけ活躍されている研究者がいると思うとやっぱり誇らしい)。
Posted by
物理学者の方がどのように物理に興味を持って、どのように研究を進めていったかについて自伝的に振り返ってます。 正直なところ読んだ感想は、自分には学者は無理でしたごめんなさいという感じで、好奇心は合ってもここまでは頑張れないなぁと思ってしまって(集中力が続かないことには自信があります...
物理学者の方がどのように物理に興味を持って、どのように研究を進めていったかについて自伝的に振り返ってます。 正直なところ読んだ感想は、自分には学者は無理でしたごめんなさいという感じで、好奇心は合ってもここまでは頑張れないなぁと思ってしまって(集中力が続かないことには自信があります、私)。 ただこういう突き詰めて考えることのできる人に突き詰めて考えることのできる環境を提供することは大事だと思います。
Posted by
1.基礎科学の研究者 2.その研究に社会的・経済的価値を見出すイノベーター 3.このような研究やイノベーションを支援するプロデューサー
Posted by
学問のプロである学者の人の半生が書かれた本。多くの気づきと納得があった。 僕は自己啓発本として読んだ。学ぶとはどういう事なのかについて、理解を深められたと思う。自分は今何をすべきなのか、考える材料になった。
Posted by
物理学者の思考法 岐阜の商店街で育った少年時代の話が面白い 両親が働く店の奥で勉強。商店街の中にある本屋に行ったり。 ●考える材料 自分の頭で考えるためには、その材料である知識も重要です。知識が乏しくては自分の考えを豊かに広げることができません。 57 ●先人の教え ...
物理学者の思考法 岐阜の商店街で育った少年時代の話が面白い 両親が働く店の奥で勉強。商店街の中にある本屋に行ったり。 ●考える材料 自分の頭で考えるためには、その材料である知識も重要です。知識が乏しくては自分の考えを豊かに広げることができません。 57 ●先人の教え 東島清 自らの知的好奇心に忠実であれ 佐々木閑との対談 「どんなものでも機能が発揮できるときが幸せなのだ」 アリストテレス『形而上学』 すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。 トマス・アクィナス『真理について』 人間の究極目標は、宇宙とその諸原因の全秩序が霊魂に書き記されること
Posted by
ブルーバックス「南部陽一郎物語」を読んで、積読本だった本書を手に取りました。がんの転移の可能性を指摘されたタイミングで、ずっと避けていま研究人生の回顧録を執筆したとのこと。結局、転移もなく、この本が生まれたのは若い世代にとっては幸運でした。物理を学ぶ学生だけではなく、まだ進むべき...
ブルーバックス「南部陽一郎物語」を読んで、積読本だった本書を手に取りました。がんの転移の可能性を指摘されたタイミングで、ずっと避けていま研究人生の回顧録を執筆したとのこと。結局、転移もなく、この本が生まれたのは若い世代にとっては幸運でした。物理を学ぶ学生だけではなく、まだ進むべき道を見つけていない若者にとっても良書だと思います。まさに、書名通りの「探究する精神」が小学生の時から発現し、その知的好奇心が研究人生をドライブして来たことが、丁寧に書かれています。知的好奇心の道標が、本であり大栗博司版「ぼくはこんな本を読んできた」になっています。最初に通った近所の本屋さんの名前が「自由書房」っていうのもいいよなぁ…もちろん物理学の名著、大著もありますが、最近出版された新書などでの気づきもいろいろ引用してあって、人生まるまる「自由書房」で自らを放牧している感じ。素敵です。著者は物理学が統一理論に向けてぐいぐい前進したいた時代の学者で、しかも数理連携の重要性の推進役の一人であることも含めて、物理学の「日の当たる道」が眩しく見えます。この新書を読んだのか4月の天気のいい朝、窓から日差しの溢れる電車の中で。はるか昔の新学期のワクワク感が蘇りました。
Posted by
300ページ程で読み応えがある。好みの小説のようにワクワク楽しみながら読めるものでも無いが、表題を構成する各単語の意味を納得出来る形で平易に書かれている。小学生が読むのは辛いだろうが、内容的には小・中学生から読んでみて欲しい書物。未だ小さな子を持つ親にも読んで欲しい。
Posted by
超弦理論の話は研究者時代の話であるが、小学生時代から大学生、大学院生、大学での職について書かれている。したがって科学に興味があってもなくても自分の生活と科学の関係を考えることに役立つ。 それよりも、本文で紹介される本が特殊な本ではなく、誰でもが一度は聞いたことがある有名な本で、...
超弦理論の話は研究者時代の話であるが、小学生時代から大学生、大学院生、大学での職について書かれている。したがって科学に興味があってもなくても自分の生活と科学の関係を考えることに役立つ。 それよりも、本文で紹介される本が特殊な本ではなく、誰でもが一度は聞いたことがある有名な本で、しかもそれが文庫として紹介されている。わずか83冊であるが、これだけを読むだけでもだいぶ考えることが増えるであろう。 京大の下宿に1000冊の本があり、大学院を卒業する前には5000冊になったと書かれている。 本もかなり吟味されてここで引用されているので、いんようされた本を読む価値は十分にある。 今、1000冊の本が下宿にある学部生はどのくらいいるであろうか。1つの本棚に100冊の本が入るとしたら、本棚10個分である。 20年間で2000冊いかない私の読書が恥ずかしいばかりである。
Posted by