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絹と明察 新版 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2026/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全くどうかと思うが、私はこの本を、切羽詰まった試験の間際に、短い細切れの時間を作って読んでいた。 50分勉強して、10分本を読んで、という繰り返しでなんとか机にかじりついていた。 もう本を読めるその時間が待ち遠しくて堪らず、ついつい読書時間は5分ずつオーバーしてしまう。 この本の語彙は馴染みないものが多い。その上中古サイトで買ったがためか古い本で、フリガナも少なかった。 物語自体も少しとっつきづらいところがあり、最初の数十頁読むのに1週間くらいかけたのに、相変わらずの三島由紀夫作品、中盤に差し掛かろうというところから、もう読む手を止めるのが惜しくてしょうがなくなってしまい、突然受けなくてはいけなくなった重大な試験の前に、勉強の合間を縫って小説を読む事態になってしまった。 時代遅れの家父長制の上に築かれた栄華は、それを良しとしない者の策略と駒沢の一方的な良心が生んだ歪みで、壊れていく。その崩壊の後押しをしたのに、知らない風であり続ける主人公は、ある種道化のようで、しかし完全に達観した振る舞いであったのに、駒沢を見ていくうちに静かに揺れていくようである。 物語半ばからの激しい喧騒から急転し最後はあまりに静かに終わっていく。その対比がまた、おもしろい。

Posted byブクログ

2025/04/25

1964年第6回毎日芸樹賞 1964年雑誌「群像」連載作品 1954年大阪の絹糸紡績近江絹糸の労働争議が題材 会社とは、ビジネスとは、家族とは  滑稽で辛辣な企業小説と紹介されている 三島由紀夫は、書きたかったのは、日本及び日本人というものと父親の問題と語る 題材とはしている...

1964年第6回毎日芸樹賞 1964年雑誌「群像」連載作品 1954年大阪の絹糸紡績近江絹糸の労働争議が題材 会社とは、ビジネスとは、家族とは  滑稽で辛辣な企業小説と紹介されている 三島由紀夫は、書きたかったのは、日本及び日本人というものと父親の問題と語る 題材とはしているけれど 駒沢紡績社長の駒沢善次郎へひたすら焦点を当て 昭和中期くらいまでよく見られたと思われる パワフルでワンマン的な社長とその会社の 行方を追う 社員は家族として、寮を作り社食を用意して 若い従業員の生活を支え 従業員達は自分を親のように慕ってくれている と、信じ切っている 労働環境や私生活までの管理等で従業員には不満が溜まっていく 最近「蟹工船」読んだので、労働環境は随分改善されてるなと呑気なことを思ってしまうけど そこへ西洋的な経営を学んだスパイ的な人物が投入され、不満をストという形で表に出させる 社長の傲慢さがコミカルで悪意がない 無邪気とさえ思える 時代の流れ、従業員の気持ちを理解できなくなった経営者は衰退していく 最近もそんな経営陣が問題になっていたような この昭和的経営者と日本家庭の父親像が重なる部分があるということでしょうか

Posted byブクログ

2024/02/07

三島はまだまだ読み切れない。古本屋で見つけては買いためている。そして、ときどき読む。本書はタイトルになんとなく興味が湧き読み始めた。シルクのやわらかい感じがしていたのだが、中身は紡績工場のストがメインになっていて、ギスギスした話だった。当時の歴史的な背景を知らないといけない。まあ...

三島はまだまだ読み切れない。古本屋で見つけては買いためている。そして、ときどき読む。本書はタイトルになんとなく興味が湧き読み始めた。シルクのやわらかい感じがしていたのだが、中身は紡績工場のストがメインになっていて、ギスギスした話だった。当時の歴史的な背景を知らないといけない。まあ、僕が子どもの頃にもときどきストの話はあったように思う。電車が止まるとか、なんだか不思議な感じがしたものだ。そんなことよりも、彦根とか宇多野とか割と最近に訪れた場所で土地勘があるので、気持ちが入り込みやすかった。特に宇多野は昨年仁和寺にも訪れたし、広沢の池の横も通った。もう一つ興味がわいたのは、結核という病気についてだ。ちょうど朝ドラでも結核で主人公の恋人が死んでいる。まだまだそういう時代だったのだ。ところでこの駒沢社長は心底から従業員を皆家族だと思っていたのだろうか。どうも口で言っているだけでもなさそうな気がしたのだが。バカ正直なだけのような気もする。ちょっといっしょに仕事をするのは遠慮したいかなあという気もするが、岡野の方が何を考えているのか分からず、怖いように思う。最後には、次期社長にということばがあったが、最初からそれが狙いだったのだろうか。お金が目当てなのだろうかと思っていたのだが。菊乃は社長のことを本当に好きになってしまったのだろうか。社長はどう思って菊乃を遠ざけようとしたのか。なかなか真意は分からない。

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2024/01/26

今作品も溢れ出る三島イズムを感じられて満足。 物語としてはなんら特別なことはなかったけど、やっぱり三島は人を人たらしめて文を書くのに物凄く長けている人だということを再認識した。 登場人物それぞれに自分を重ねた時に、自分でも気づかなかった潜在的な何かに気付けることができる感覚。 ...

今作品も溢れ出る三島イズムを感じられて満足。 物語としてはなんら特別なことはなかったけど、やっぱり三島は人を人たらしめて文を書くのに物凄く長けている人だということを再認識した。 登場人物それぞれに自分を重ねた時に、自分でも気づかなかった潜在的な何かに気付けることができる感覚。 三島を読んだことない人は違う作品から入ることをお勧めする。

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2021/06/19

近江絹糸の労働争議を題材にして、三島が描く、様々な人間模様であります。最後の辺りに出てくる、鴨川の流れや、京大病院の病室に聞こえてくる、様々な音を通じての朝の街の描き方には、脱帽であります。風景が主役の小説ではないのですが、主人公(岡野)を取り巻く様々な風景の描き方から、三島由紀...

近江絹糸の労働争議を題材にして、三島が描く、様々な人間模様であります。最後の辺りに出てくる、鴨川の流れや、京大病院の病室に聞こえてくる、様々な音を通じての朝の街の描き方には、脱帽であります。風景が主役の小説ではないのですが、主人公(岡野)を取り巻く様々な風景の描き方から、三島由紀夫の美的感覚の凄みを実感できる小説であります。

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