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鍵穴 の商品レビュー

3.8

22件のお客様レビュー

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2022/04/14

 『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リ...

 『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ!   また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シリーズをWOWWOWオンラインで視聴することができたので、同時に楽しませてもらっている。原作とはイメージが異なるものの、日本の低予算TVドラマに比べると相当に秀逸の映像で、鑑賞に値する。本も動画も人気が出て、他の邦訳も進むと有難い。  ちなみに『猟犬』では警察官としての職務停止中という境遇だったが、本作では何と、検事総長から直々の特命責任者を命じられ、好きなスタッフを集結させて極秘捜査の任務に当たるという、またまた例外的な境遇で物語をスタートする。このアレンジの幅は、本シリーズの特徴かもしれない。  本作では、大物政治家が急死した後に遺された大金の謎を極秘裏に究明する任務をヴィスティングが与えられる。情報収集役としてフリーの記者である娘リーネの他、鑑識のモンテルセンを加えて捜査をスタートするが、徐々に事件の裏闇が広がる中、過去の事件の捜査責任者や、未解決事件を専門に扱う機関クリポスの捜査官スティレルも加わってゆく。  過去を洗い出すと、空港での大金強奪事件、失踪事件、それに纏わりそうな未解決事件が繋がりを見せてゆく。一方で大金を回収した直後、政治家の別荘は放火される。という具合にヴィスティングが関わると、張り巡らされた導火線に一気に火が着くのは、本シリーズの特徴らしい。  例によってページターナーぶりを発揮させながら、絡み合った複雑な糸のもつれを即席のチームワークで解いてゆくプロットの豊かさは並ではない。  著者のホルストは、現職警察官として二十年のキャリアを持つという。その経験から生まれるストーリーには、現場リアリズムのような特性がおそらく顕著なのだろう。派手な事件と緻密な捜査、事件を探る個性的メンバーたちの勘どころなど、読むべき点、楽しむべき箇所が随所に見られ、飽きることなく身を任せられるストーリー運びである。  人の個性をぶつけ合いながら、すべての謎と伏線をしっかりと回収してゆくエンターテインメントの完成度に拍手を送りたく思う。

Posted byブクログ

2022/03/28

閣僚を歴任してきた大物政治家バーナール・クラウセンが心臓発作で急逝した。 直後、ラルヴィク警察の主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは検事総長に呼び出される。 クラウセンの臨終に立ち会った労働党幹事長が、機密文書の有無を確認するため故人の別荘を訪ねた際、大金のつまった段ボール箱...

閣僚を歴任してきた大物政治家バーナール・クラウセンが心臓発作で急逝した。 直後、ラルヴィク警察の主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは検事総長に呼び出される。 クラウセンの臨終に立ち会った労働党幹事長が、機密文書の有無を確認するため故人の別荘を訪ねた際、大金のつまった段ボール箱を発見したのだという。 クラウセンは外務大臣を四年務め、議会の防衛委員会の重鎮でもあった。見つかったのは巨額の外国紙幣であり、汚職につながる可能性があった。 鑑識員のエスペン・モルテンセンに声をかけ、ヴィスティングは別荘に向かった。問題の段ボール箱は全部で9箱。紙幣は米ドル、英ポンド、ユーロの三種類で、総額はノルウェーの通貨で8000万クローネを超えていた。 翌日、クラウセンの別荘が放火に遭う。 ヴィスティングは全焼した火災現場で、検事総長から一通の手紙を渡される。 その手紙は、過去に起きたある若者の失踪事件に、当時保健大臣だったクラウセンが関与したことをほのめかしていた。 警部ヴィスティング・シリーズ、翻訳第3作。 最近、陰惨な描写が続く作品ばかり読んでいたので、刺激はさほどない。堅実な仕上がり。 たまたま、WOWOWで今日、ドラマ化作品を放映していたようである。原作は猟犬と、もう一作。

Posted byブクログ

2021/09/28
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※このレビューにはネタバレを含みます

何作か読んでいるが、なかなか味わい深い。 北欧のこじんまりとした国の警察機関は融通が利くんだなとか思いながらのんびりと楽しむ。 良い時間を過ごせた満足感に浸れた。 Amazonより------------- 英訳北欧ミステリ最高賞受賞作、第2弾! 2019年、英訳された北欧ミステリに与えられる最高賞「ペトローナ賞」を受賞した前作『警部ヴィスティング カタリーナ・コード』は、国内でも、2021年「このミステリーがすごい!」海外編第7位を獲得した。 本作は、その待望の続編である。 本作もまた、英国「ペトローナ賞」最終候補作に選ばれている。 閣僚を歴任してきた大物政治家バーナール・クラウセンが心臓発作で急逝した。 直後、ラルヴィク警察の主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは検事総長に呼び出される。 クラウセンの臨終に立ち会った労働党幹事長が、機密文書の有無を確認するため故人の別荘を訪ねた際、大金のつまった段ボール箱を発見したのだという。 クラウセンは外務大臣を四年務め、議会の防衛委員会の重鎮でもあった。見つかったのは巨額の外国紙幣であり、汚職につながる可能性があった。 鑑識員のエスペン・モルテンセンに声をかけ、ヴィスティングは別荘に向かった。問題の段ボール箱は全部で9箱。紙幣は米ドル、英ポンド、ユーロの三種類で、総額はノルウェーの通貨で8000万クローネを超えていた。 翌日、クラウセンの別荘が放火に遭う。 ヴィスティングは全焼した火災現場で、検事総長から一通の手紙を渡される。 その手紙は、過去に起きたある若者の失踪事件に、当時保健大臣だったクラウセンが関与したことをほのめかしていた。

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2021/08/15

ノルウェーの警察小説。ヴィスティング警部のもとに、大物政治家の死後、自宅で大金が発見されたとの連絡があり、極秘捜査を開始。 現金強盗事件と関係があるのか、同日発生した失踪事件とはどうか。 記者の娘も巻き込み、解決へ。 どんでん返しと、人間の性を考えさせられる佳作。

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2021/07/22

シリーズを通して警察が事件を追って行く様子が丁寧に描かれていて、いい意味で地味なのだが面白い。 父親は刑事で娘はジャーナリストという、一見微妙な立場の2人が協力しながら事件を解決する点もいい。 登場人物達のキャラクターもどこか淡々としていて派手さはないのだが、作者本人が警察出身と...

シリーズを通して警察が事件を追って行く様子が丁寧に描かれていて、いい意味で地味なのだが面白い。 父親は刑事で娘はジャーナリストという、一見微妙な立場の2人が協力しながら事件を解決する点もいい。 登場人物達のキャラクターもどこか淡々としていて派手さはないのだが、作者本人が警察出身ということもあり、解決していく様子や人間関係に現実味があるからこそ楽しめるのだろう。

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2021/06/13

ノルウェー、元大臣クラウセンが心臓発作で死んだ。別荘から多額のユーロやドルの現金が発見され、検事総長より極秘調査を依頼されたヴィスティング警部。現金を運び出したら翌日別荘は放火された。そして、検事総長の元には、昔湖の近くで若者が行方不明になった事件に関してクラウセンを調べろという...

ノルウェー、元大臣クラウセンが心臓発作で死んだ。別荘から多額のユーロやドルの現金が発見され、検事総長より極秘調査を依頼されたヴィスティング警部。現金を運び出したら翌日別荘は放火された。そして、検事総長の元には、昔湖の近くで若者が行方不明になった事件に関してクラウセンを調べろという手紙が来ていた。 登場人物がどんどん増えていってわけわからなくなりつつも、それを上回って面白かった。真相へ迫るプロセスに無理がなく、頁をめくる手が止まらなかった。

Posted byブクログ

2021/05/26

CL 2021.5.22-2021.5.26 地道な捜査で事件の真相が明らかになっていく過程はしっかりした作りで見事だと思う。 ただ、ジャーナリストで一般人の自分の娘をトップシークレットの捜査に加えるなんて、ちょっと現実離れしていないか?

Posted byブクログ

2021/06/23

前作「カタリーナ・コード」に続き、今作も地味ながら地に足の着いた堅実な筋運びで読ませてくれる。複数の事件が入り乱れる分、物語の構図もより複雑になっているが、丹念な地取り捜査により、徐々に全貌が明かされていく展開が毎度素晴らしい。ヴィスティング父娘の危機管理意識など、疑問符が付く場...

前作「カタリーナ・コード」に続き、今作も地味ながら地に足の着いた堅実な筋運びで読ませてくれる。複数の事件が入り乱れる分、物語の構図もより複雑になっているが、丹念な地取り捜査により、徐々に全貌が明かされていく展開が毎度素晴らしい。ヴィスティング父娘の危機管理意識など、疑問符が付く場面も多々あれど、このクオリティなら充分満足。帯の謳い文句通りに切ない犯行動機ではあるが、その余波で不幸に見舞われた人々のことを思うと決して擁護は出来ない。<未解決事件四部作>の残り二作品も邦訳されるらしいので、首を長くして待とう。

Posted byブクログ

2021/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今回も北欧ミステリーらしい正しい捜査を丹念に描く警察小説で楽しめた。450ページほどで短い方だが充実。 なぜそんな大金を現金で?という理由がとても腑に落ちるものだった。 唯一、ジャーナリストに警察の捜査を任せてよいのか?という疑問は毎度湧き上がるが、もうよいのだということにします。

Posted byブクログ

2021/04/18

派手なカーチェイスや発砲はないけど、地道な捜査の積み重ねが好感持てる。しかもシングルマザーの娘リーネの日常もきちんと描かれていて、主人公ヴィスティング共々決してスーパーヒーローではない点もリアル。前作より好きかも。

Posted byブクログ