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「感想文」から「文学批評」へ の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/07/01

 批評理論(作家論、作品論。新批評、イデオロギー論、メディア論)の歴史の展開と、それに伴う批評理論の概説。  ですます調で進んでいく。難しい用語は基本的に使わず、キーワードとしての批評用語はしっかり噛み砕いて説明されている。それでも欄外には引用元の作品や作家の情報が載っているた...

 批評理論(作家論、作品論。新批評、イデオロギー論、メディア論)の歴史の展開と、それに伴う批評理論の概説。  ですます調で進んでいく。難しい用語は基本的に使わず、キーワードとしての批評用語はしっかり噛み砕いて説明されている。それでも欄外には引用元の作品や作家の情報が載っているため、自分で調べて深掘りできるようになっている。  まず批評の歴史の展開がドラマチック。作家の主張という歴史から、作家中心への反発としての作品論、作品=作家の主張とみなすことへの反発=新批評...などなど。自分の気に入った批評の形で小説を読み返すと面白いかも。  体系的にまとめられている割に薄めで、文字も大きい。平易な文章なのでサラサラと読み進められる。  読書好きの高校生〜大学1,2年生向けだろうが、それ以上の人が読んでも勿論良い。むしろ下手に格好つけずに、こういった分かりやすくまとまった入門書から入る方がその後の難しい文章に入る取っ掛かりにもなる。  めっちゃ面白かった。高校生〜大学1年生の時に読んでたら誰かに話したくて仕方なかったと思う。

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2024/04/14

文学批評の概論を平易な言葉で学べる良書。字も大きく、文章も論理的かつ明快でとことん読みやすい。文学批評というジャンルに疎かったのでかなり面白かった。 文学批評にも型があるというのがまず目から鱗だったし、それぞれのやり方も面白い。それに、読み進める過程で何度もどこかで見たようなサ...

文学批評の概論を平易な言葉で学べる良書。字も大きく、文章も論理的かつ明快でとことん読みやすい。文学批評というジャンルに疎かったのでかなり面白かった。 文学批評にも型があるというのがまず目から鱗だったし、それぞれのやり方も面白い。それに、読み進める過程で何度もどこかで見たようなサンプル文章に出くわすのにも驚いた。例えば構造主義やら各種イデオロギー批判、読者論など。フェミニズムおよびポストコロニアル批判的な視点は当たり前のように自分の感想文にも出てくる。つまり読んでいると実際にそう「感じる」。まるで批評の型が自分の中にプリインストールされているかのように。サイードを一度も読んでいない自分のような人間にとってもオリエンタリズム批判がすでに普通のことになっていると思うと批評のパワーはすごい。直で読んでいない人間にまで影響を及ぼすとはまさに政治だ。 批評家というのは御意見番であり、民意と政治を動かすアジテーターみたいなものだったのだ。 もちろん作家に政治力があるのは分かる。人は世界を物語形式で認識して生きる動物だからこそ、深く人を感動させ、動揺させるような物語を作り出す作家には剣よりも強い力がある。一方で評論家は物語の「読み方」を読者に指南する。権威があればなおさらパワフルに働くのだろう。マスメディアとジャーナリズムとプロパガンダだけが政治の道具ではないのだなと認識が改まる本だった。

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2022/04/24

入門書としても、文学批評史としても良くできているのではないか。個々のつまらない点に突っ込むのではなく、概論として、気になる点は原書に当たればよいわけだし。六つに体系付けて話をまとめて、その相互の関連も明示しているし、読みやすい

Posted byブクログ

2021/10/26

文芸批評というものが一体何を目指しているものなのか知りたいと思い、本書を手に取りました。 「感想文から〜」というタイトルで一見how to本に見えてしまいますが、中身は引用・注釈もしっかりついた大学教養レベルでも使えそうな文芸批評入門です。 作者・作品・読者という視点から文芸批...

文芸批評というものが一体何を目指しているものなのか知りたいと思い、本書を手に取りました。 「感想文から〜」というタイトルで一見how to本に見えてしまいますが、中身は引用・注釈もしっかりついた大学教養レベルでも使えそうな文芸批評入門です。 作者・作品・読者という視点から文芸批評の手法の広がりが見渡せる上に、各手法による批評実践の例が親しみ深い作品(ごんぎつね等)を例に示されており、自分で批評文を書いてみたくなるような本でした。 文体もソフトで読みやすく、「批評ってなに?」と思っている人は手に取って損のない著作だと思います。

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2021/04/24

ツヴェタン・トドロフの理論、ちゃんと読んでみたくなった。作家主義についても詳しく書いてあるのが良い。

Posted byブクログ

2021/04/14

P193『読むという行為は、自分たちが意識するよりも多くの感覚を働かせた営みであり、複数の経路で伝達される感覚情報を組み合わせて受け止める、マルチモーダルな営為。』 読んだ本について述べるとき、さまざまな切り口がある。 作家についてなのか、作家を取り除いた作品のみなのか、...

P193『読むという行為は、自分たちが意識するよりも多くの感覚を働かせた営みであり、複数の経路で伝達される感覚情報を組み合わせて受け止める、マルチモーダルな営為。』 読んだ本について述べるとき、さまざまな切り口がある。 作家についてなのか、作家を取り除いた作品のみなのか、時代背景なのか、それを読む私たちがどう感じたのかなど。 私たちがどう感じたのかを文章にするとき、それは「感想文」と言われることが多いが、どうも「文学批評」との違いがわからない。 そんな「批評テイストで書いたつもりの感想文」を書く自分にはぴったりの本であり、とりあえず2度読み終えたので、ここに感想を残そうと思う。 冒頭でも書いた通り、作品に関する批評とは、古くから存在しており、多くの学派が、多角的な解釈を通じて研究を重ねている。 文学を取り巻く環境は、ここ数十年で急激に変化しており、今では家から1歩も出ることなく、電子書籍という形で本を買える時代になった。 そうでなかった時代、本を買うと言う行為は、特権階級のみが許されたことであり、「美的センスがある人間」が批評することが多かった。 しかし、批評する以上、それは客観的な尺度がなければならず、そうして、作家論、ニュークリティシズム、読者論、構造主義、イデオロギー批判、メディア論へと、分派して行くこととなる。 それぞれの切り口は当然、メリット・デメリットが存在していて、どの手法を使っても、1つの作品全てを語り尽くすことはできない。 だが、これらの手法を使うことで、文学批評の難易度は下がり、また、独自の理論ではないため、感想文になりにくい特性がある。 この本を通じて、さまざまな方法があることを知り、今後の感想を書く際には多く役立つと感じたが、最終章にある通り、「文学批評は、不可逆的な影響を及ぼす」という言葉は、決して忘れてはいけないと感じた。

Posted byブクログ

2021/03/21

文学批評という難解な概念について、さまざまな視点から分かりやすく分析している。専門用語をほとんど使わずに解説しているのがありがたい。私にも文学批評が書けるような気がしてくる。

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2021/03/10

2〜3年に1冊くらいは批評入門を読む。そうしないとどこか、書き方をわすれてしまう気がするからだ。当書はタイトルにもあるように、高校・大学生向けに書かれていて、分量もコンパクトにまとまっている。より詳しめのもの、「文学」以外のジャンルについての批評を読むために定期的に見返すことにな...

2〜3年に1冊くらいは批評入門を読む。そうしないとどこか、書き方をわすれてしまう気がするからだ。当書はタイトルにもあるように、高校・大学生向けに書かれていて、分量もコンパクトにまとまっている。より詳しめのもの、「文学」以外のジャンルについての批評を読むために定期的に見返すことになるだろう。

Posted byブクログ