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日々翻訳ざんげ の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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2023/05/06

この翻訳読みづらいな〜という程度の感想はもつものの、翻訳者という視点から捉えたことはなかった。 精霊の守り人を英訳するときに、あちらにない表現に苦労して‥というお話を聞いて、本当に最近興味が出た次第。 複数人に訳されている古典名作も、読み比べるようなことはなかったので、訳者さ...

この翻訳読みづらいな〜という程度の感想はもつものの、翻訳者という視点から捉えたことはなかった。 精霊の守り人を英訳するときに、あちらにない表現に苦労して‥というお話を聞いて、本当に最近興味が出た次第。 複数人に訳されている古典名作も、読み比べるようなことはなかったので、訳者さんによってこんなに違うのか!と驚き。 多少の誤訳はどうしてもあるという点にも驚き。そういうものなのか‥下訳についても初耳。知らないことだらけすぎて、面白かった。 あとがきにもある通り、一時期、検視官シリーズとシドニィ・シェルダンが平積みされていて、私はおこづかいをやり繰りして夢中になったんだっけ。まだDNA鑑定が最新技術で、ケイ・スカーペッタが猛烈に格好良かった。懐かしいなぁ。 久しぶりに検視官シリーズを読んだときに、?なんだか読みにくい‥と思い、よく見たら訳者さんが変わっていたんだった。その時は残念だった。

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2022/09/27

実は著者の翻訳した作品をほとんど読んだことがなかった。それでも本書は面白く、一気に読み終えた。たぶんその理由は、著者がやらかしたエピソードや失敗エピソードが惜しげもなく書かれており、こうしたエピソードが著者と読者の距離を一気に縮めてくれるからではないだろうか。もちろん翻訳にまつわ...

実は著者の翻訳した作品をほとんど読んだことがなかった。それでも本書は面白く、一気に読み終えた。たぶんその理由は、著者がやらかしたエピソードや失敗エピソードが惜しげもなく書かれており、こうしたエピソードが著者と読者の距離を一気に縮めてくれるからではないだろうか。もちろん翻訳にまつわるエピソードも興味深く、なんだか翻訳本に対して肩の力を抜いて接することができるようになった気がする。 特に印象深いのは、原作者であるジョン・ル・カレにコンタクトをした際に怒らせてしまい、ダメージコントロール会議をエージェントや編集者と行ったという話。翻訳者でもこんなことあるんだなとか「ダメージコントロール」という言葉を使っているところに、なんだか翻訳者の存在がぐっと身近になった気がした。

Posted byブクログ

2022/06/10

業界裏話として興味深かったです。 SFは特殊な訳語があったりするから 翻訳が大変だ…というところに同情したりして。

Posted byブクログ

2022/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

チャンドラーは悪文(ペーパーバック買わなくてよかった) 翻訳書、結構絶版になっている。 ネルソン・デミルのチャームスクールは近所の図書館にもない。 神は銃弾、パナマの仕立て屋、SFのオルタード・カーボン 三大難航翻訳だそう。 red dwarf を「赤い小人」※正しくは赤色矮星 と訳したことなど自らの誤訳も赤裸々に語る。 翻訳は難しい。特にニュアンス。 ネット社会になって調べ物は格段に楽になった。

Posted byブクログ

2021/11/18

 2021年2月刊。筆者の単著を読むのは初めて。筆者は英米ミステリを中心に訳し続けて40年余りのキャリアを持つ翻訳家。その筆者が、過去に自分が翻訳を手掛けた書籍を俎上に上げて、当時の苦労などを回顧したエッセイ。筆者の訳書を、私は『刑事の誇り』『卵をめぐる祖父の戦争』、(筆者が金銭...

 2021年2月刊。筆者の単著を読むのは初めて。筆者は英米ミステリを中心に訳し続けて40年余りのキャリアを持つ翻訳家。その筆者が、過去に自分が翻訳を手掛けた書籍を俎上に上げて、当時の苦労などを回顧したエッセイ。筆者の訳書を、私は『刑事の誇り』『卵をめぐる祖父の戦争』、(筆者が金銭的に困窮して訳した)とある自己啓発本の計3冊だけしか読んでいないし、筆者の名前を、訳者として特に意識したこともないのだが、書名に惹かれて、本書を手に取った。  一番印象的だったのは、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの『パナマの仕立屋』の翻訳を担当した際、ル・カレへの質問と共に、個人的なメッセージを拙い英文で送ったら(翻訳家だから、英文を書くのも得意というわけではないそうだ)、その稚拙な英文が気難しいル・カレの逆鱗に触れたらしく、訳者降板の危機にさらされた話。やはり人の失敗談は面白いよね(オイオイ)。  怒りを買った作家もいる一方で、著書の翻訳を通して、友好的な関係を結べた英米の作家もおり、他の著者の本の翻訳で分からないことがあったら、その作家に相談しているというエピソードは微笑ましかった。筆者が翻訳した本が、その後、映画化され、その映像を観て初めて、誤訳に気づいたという話も面白かった。  筆者も翻訳を手掛けた『郵便配達は二度ベルを鳴らす』には、現時点で、8種類の邦訳が存在しており、同じ英文をそれぞれがどう翻訳したかを比較した趣向にも、興をそそられた。筆者は自分が手掛けた訳書についての失敗談や誤訳を包み隠さず、明かしており、翻訳家という仕事の苦労の一端を垣間見られて、非常に興味深かった一冊。(終) 

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2021/10/12

かなり以前の話であるが、ハードボイルド小説を多く読んでいた時期があった。好きな作家は多かったが、ローレンス・ブロックのマット・スタガーシリーズ、マイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンシリーズと、リーロイ・パウダー警部補シリーズは特に好きなシリーズで、その多くの翻訳を担当し...

かなり以前の話であるが、ハードボイルド小説を多く読んでいた時期があった。好きな作家は多かったが、ローレンス・ブロックのマット・スタガーシリーズ、マイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンシリーズと、リーロイ・パウダー警部補シリーズは特に好きなシリーズで、その多くの翻訳を担当していたのが、本書の著者である、田口俊樹さんであった。 もちろん、誰が翻訳を担当していたかは、それらの作品を読んでいた当時は気にしていたわけではなく、ただ、田口俊樹さんという名前の翻訳家がいるということを、ローレンス・ブロックやマイクル・Z・リューインの本を多く読むことによって知っていたという程度の話であった。 そんな田口さんの処女翻訳は、「ミステリマガジン」1978年4月号の「賢い子供」という作品、それ以来、40年以上に渡ってミステリーを中心に翻訳を続けてこられた。本書は、その40年間の翻訳家体験を、ご自身の誤訳を含む多くの失敗談を交えながら振り返ったものである。ミステリー好き、翻訳小説好きには、あるいは、外国の小説を読まない読書好きの方は少ないだろうので、言えば、読書好きの方には、とても興味深いものだと思う。 私自身も、田口さんが、ご自身の作品以外の翻訳一般的なことについて、マイクル・Z・リューインに、しばしばメールで問い合わせをされている話や、ご自身の失敗談、あるいは、翻訳にまつわる色々な裏話を、とても楽しく読むことが出来た。

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2021/08/23

ミステリ・ハードボイルド小説のベテラン翻訳家が告白する舞台裏のあれこれが楽しく読めると同時に絶版になっている名作を発掘する(@図書館)二重の楽しみが得られた。

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2021/08/13

ミステリー小説好きなら、田口俊樹さんの翻訳にはお世話になったことがあるはず。本に綴られているのは、誤訳へのざんげと、過去の自分への激励です。 翻訳の舞台裏をのぞけます。 ブログはこちら ↓ https://okusama149.blogspot.com/2021/08/755....

ミステリー小説好きなら、田口俊樹さんの翻訳にはお世話になったことがあるはず。本に綴られているのは、誤訳へのざんげと、過去の自分への激励です。 翻訳の舞台裏をのぞけます。 ブログはこちら ↓ https://okusama149.blogspot.com/2021/08/755.html

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2021/09/18

おもしろくてイッキ読み。 過去のご自身が訳されたものを再読して、それについて徒然なるままに語る、という趣旨の本なのだけれど、いろんな「やらかした」エピソードが告白されていて、その正直さ、飾らなさに驚くと同時に、すごく好感を持ってしまった。 私はミステリはあまり好んでは読まない...

おもしろくてイッキ読み。 過去のご自身が訳されたものを再読して、それについて徒然なるままに語る、という趣旨の本なのだけれど、いろんな「やらかした」エピソードが告白されていて、その正直さ、飾らなさに驚くと同時に、すごく好感を持ってしまった。 私はミステリはあまり好んでは読まないので、著者の訳された本はほとんど読んでいないのだけど、この本はちょっと変わった読書案内にもなっていて、いくつかは読んでみたいと思った。 やっぱり本の解説はその本の翻訳者が書いたものが他を圧倒して秀逸だなと思う。翻訳って、精読中の精読だものね。 トピックは翻訳技術よりも、その本を翻訳していた時の裏エピソードが多い。編集者はじめ、他の翻訳者や作家たちとのやりとりなど、読んでいてとても楽しかった。この著者の率直なお人柄が反映された明るくちょっとユルい感じの語りがとても良いです。 そして、けっこう驚かされました。 たとえば、依頼されて、原書を初めて読むとき、「犯人が分からなかったらどうしよう」と心配されるというところ。 私は、プロの翻訳者ともなると日本語の本と同じように原書をスラスラ読むんだろうと思ってたから、えええ? さすがにそれは分かるんじゃないの?! とビックリ。 もうイッキに親近感です。 英語に興味ない人や、ビジネスで英語を使っているけど小説は読まない、なんて人にはピンと来ないかもしれないけど、小説読むのって、ものによってはビジネス文書や新聞とか評論なんかよりはるかに難しいのよね。結末分からなかったらどうしよう、だなんて、プロの方もそんな心配するんだーと、とてもとても興味深かった。(そこは嬉しがるところじゃないのかもしれないけど) あと、日→英は全く自信がないです、とはっきり書いているのも驚きだった。その正直さに超好感度アップ。(いや、そこも喜ぶとこじゃないんだけど) 質問などを書いた手紙がル・カレを怒らせたエピソードとか、もうおもしろすぎて、傑作だった。その後の「ダメージ対策会議」とやらに出ているところを想像するともう、笑っ・・・いや、気の毒で涙が出そうに・・・・ そうか、プロの翻訳者も英作文は苦手なんだなぁ、いや、分かるなぁ、としみじみした。相手は自分の著作を翻訳する人、という目で見るのだから、それはそれはハードルが高くなっていると思う。 依頼文での微妙な気の使い方って、私には調べれば調べるほど分からなくなってきているので、(T.D.ミントン先生の著書を読んで震え上がった)ことさらこのエピソードは染みた。

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2021/06/18

「翻訳ミステリ-大賞」の創設者であり、エンタメ小説翻訳歴40余年の田口俊樹氏が、翻訳家の苦労と名作との出会いに纏わる悲喜こもごもの思惑を披露した自称懺悔緑。「同じ作品を10人が訳せば、10通りの訳が出来上がるように、同じ人間が同じものを10回訳しても10通りの訳になる。翻訳とはつ...

「翻訳ミステリ-大賞」の創設者であり、エンタメ小説翻訳歴40余年の田口俊樹氏が、翻訳家の苦労と名作との出会いに纏わる悲喜こもごもの思惑を披露した自称懺悔緑。「同じ作品を10人が訳せば、10通りの訳が出来上がるように、同じ人間が同じものを10回訳しても10通りの訳になる。翻訳とはつくづく一過性であり、〝生木のようにくすぶり続ける〟ことを宿命づけられている・・」この例として8人の邦訳『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のセリフひとつで雰囲気の異なりを解説。筆者お薦めの『黒い薔薇』にも食指が蠢いて収まらない。

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