覚醒するシスターフッド の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
男社会や身勝手な男に対しての女子の連帯、あるいは社会的弱者たちの連帯、を描いた作品群。コロナ禍でテレワーク中に近所の子どもの声がうるさいとキレてくるおじさんにお母さんたちが連携プレーでスカッとジャパンを決める話(柚木麻子「パティオ8」)、子どもを気にかけず家に愛人とその子どもを連れ込むような父親を絞殺する娘の話(桐野夏生「断崖式」)、などなど具体性の高いものから、男社会で男として生きる苦悩を吐露する抽象的なもの(大前粟生「なあ、ブラザー」)まで幅広い。老人ホームのような施設を兵糧攻めにして焼き討ちしようとするアトウッドの「老いぼれを燃やせ」などは、現代の姥捨というか、フィクションとばかりも言えないようなアトウッド的ディストピアだと思う。 「断崖式」で、父親亡き後、その妻と娘と父の愛人とその娘の4人で結構仲良く暮らしてる、という件があって、それはまさしく平家物語の祇王と仏御前だと思った。そんなシスターフッドに楽園が見出されがち。というか、祇王たち女3人と仏御前が、清盛の愛を巡って敵対関係にあったのに、その価値から離れたらむしろその失われた愛ゆえに(痛みがわかる女同士として)連帯するのってまさにシスターフッドじゃないか、って初めて気づいた。本作からは逸れるけど。
Posted by
装丁がすごくかわいいし、私の好きな作家が何人もいるし、2021年の発売当初フェミニズム界隈で結構話題になっていた気がしたので、期待して買いました。でも、うーん。残念ながら、私にはピンときませんでした。 私はやはり翻訳ものは苦手なのかなと思ったり。 それでも最近話題のアトウッドが...
装丁がすごくかわいいし、私の好きな作家が何人もいるし、2021年の発売当初フェミニズム界隈で結構話題になっていた気がしたので、期待して買いました。でも、うーん。残念ながら、私にはピンときませんでした。 私はやはり翻訳ものは苦手なのかなと思ったり。 それでも最近話題のアトウッドが初めて読めたのは、よかったです。しかもちゃんと鴻巣友季子さんの翻訳で。これはやはりとてもおもしろかったです。 話題の「侍女の物語」にもチャレンジしてみようかしら・・・
Posted by
意味のある物語のアンソロジー。 少しずつ読んでるので、少しずつ感想をメモしていく。 こだまさん「桃子さんのいる夏」笹島と美沙の独特の距離感が淡々として静かに続いていく気がしていたけれど桃子さんが出てきて急にぱっと明るくなって夏が来た。とても好き。もっと読みたい。 藤野可織さん...
意味のある物語のアンソロジー。 少しずつ読んでるので、少しずつ感想をメモしていく。 こだまさん「桃子さんのいる夏」笹島と美沙の独特の距離感が淡々として静かに続いていく気がしていたけれど桃子さんが出てきて急にぱっと明るくなって夏が来た。とても好き。もっと読みたい。 藤野可織さん「先輩狩り」 不思議な異世界と2021年前後の現実が交差して引き寄せられた。ラストの描写がとても好きで夢を見ているようだった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
9人の作家さんによるシスターフッドがテーマの作品集、らしい。柚木さん以外初読み。 リッキーたち/サラ・カリー 爽快で面白い。いろんなシスターがいる(笑)という見本のような作品。 パティオ8/柚木麻子 うーん、そんなに男性を追い込まなくても…というのが正直な感想。 ケンブリッジ大学地味子団/ヘレン・オイェイェミ 少し読みづらいその難しさを超えて読みたいと思えるほどの面白さはないかも。 先輩狩り/藤野可織 感染症の流行により変わった世界の夜を彷徨う女子高生たち。本書の中では断トツシスターフッド的NO.1でした。可愛い。文章も素晴らしかった…。この作家さんを知ることができただけでもこの本を読んだかいがありました。生命力に溢れてる植物の描写がね!すごくいい! 星空と海を隔てて/文珍 ちょっとラノベっぽい。爽やか。マカオに行った気分になれました。日本だとどうしても桂文珍が浮かんでしまうけど、百度で確認すると可愛い作家さん。 なあ、ブラザー/大前粟生 すごく感想が書きづらい。男だからこう、女だからこう、に傷ついている若者のお話。 桃子さんのいる夏/こだま 30代向け。恋愛に興味ない女子と短期滞在のお隣さんのお話。パッと読めて面白かった。この本には必要なお話。 未来は長く続く/キム・ソンジュン SF。シスターは人間じゃなくてもいい。目から鱗が落ちました。シスター関係なくSFとして十分面白かった。初韓国作家さん。韓国の作家さんってキムさん多いですね(;'∀') 断崖式/桐野夏生 なんと桐野さん初読み。さすがでした。愛人とその子供との同居。現実にきっとあるシスターフッド。 老いぼれを燃やせ/マーガレット・アトウッド 初アトウッド。やっぱり話としては頭一つ抜けてますね。でもこの作品のテーマはシスターフッドじゃなく、高齢者問題では?全然違う。 シスターフッドのお話?とは言えないものもあるけれど、読みごたえはありました。面白かった。たぶん可愛くて強い女子のシスターフッドを読みたい!という人には合わないですが…。 この本、装丁合ってない!と思ってカバーを取り外したら、めっちゃおしゃれでした。こっちを装丁にしたらよかったのに…。
Posted by
10人の作家によるアンソロジー てんでんばらばら、面白いと思う作品もそうじゃない作品もあるけど、それはそれでいいのだと勝手に解釈 だってそういうことじゃないのかな
Posted by
「シスターフッド」とまとまっているが多様な、本当に多様な人(いきもの)たちと物語と作品が詰まっている。 いっぺんに読んだので途中少ししんどくなったが、一旦読み終えて落ち着いて考えるとどれも忘れ難い。 シンパシーではなくエンパシー。
Posted by
柚木さん、こだまさん、文珍さんのお話が面白かった。文珍さんの本を読んでみたいと思ったけど日本語出てないようなので残念。
Posted by
【収録作品】「リッキーたち」Sarah Curry 訳・岸本佐知子/「パティオ8」柚木 麻子/「ケンブリッジ大学地味子団」 Helen Oyeyemi 訳・上田 麻由子/「先輩狩り」藤野 可織/「星空と海を隔てて」 文 珍 訳・濱田 麻矢/「なあ、ブラザー」大前 粟生/「桃子さん...
【収録作品】「リッキーたち」Sarah Curry 訳・岸本佐知子/「パティオ8」柚木 麻子/「ケンブリッジ大学地味子団」 Helen Oyeyemi 訳・上田 麻由子/「先輩狩り」藤野 可織/「星空と海を隔てて」 文 珍 訳・濱田 麻矢/「なあ、ブラザー」大前 粟生/「桃子さんのいる夏」こだま/「未来は長く続く」キム ソンジュン 訳・斎藤 真理子/「断崖式」桐野 夏生/「老いぼれを燃やせ」Margaret Atwood 訳・鴻巣 友季子 さまざまなディストピアが描かれているように思える。差別主義への抗議なのか、だとしても成功しているとは思えない。
Posted by
うーん。このコロナ禍の中で読んでても楽しいとあまり思える作風ではなかったかな。疲れた。桐野夏生さんの作品はその中でも面白かったです、個人的に。
Posted by
- 1