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家は生態系 の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2023/06/11

面白かった 生物多様性が菌類の多様性を生み、それによって人間が恩恵を受けているというのは驚き。 除菌や抗生物質を突っ込んでも絶滅させることはできず、進化を促してしまう。 生態系はあまりにも複雑すぎて一部だけを消し去ることはできないことがわかる。 文章が興味を引くように書かれており...

面白かった 生物多様性が菌類の多様性を生み、それによって人間が恩恵を受けているというのは驚き。 除菌や抗生物質を突っ込んでも絶滅させることはできず、進化を促してしまう。 生態系はあまりにも複雑すぎて一部だけを消し去ることはできないことがわかる。 文章が興味を引くように書かれており、訳もこなれていて非常に読みやすい。

Posted byブクログ

2022/08/16

タイトルから人が暮らす家の中にも生物が多く住んでおり そこに生態系が存在している、という内容かと思ったが、 それにとどまらず、抗生物質などで生物を駆逐するのでは なく、生物の多様性を維持しながらそれに触れるのが大切だ というところまで論が及ぶ。宇宙ステーション内の生態系の 話が興...

タイトルから人が暮らす家の中にも生物が多く住んでおり そこに生態系が存在している、という内容かと思ったが、 それにとどまらず、抗生物質などで生物を駆逐するのでは なく、生物の多様性を維持しながらそれに触れるのが大切だ というところまで論が及ぶ。宇宙ステーション内の生態系の 話が興味深かった。子供は田舎で自然の仲で育てるに限る。

Posted byブクログ

2022/06/19

ぼくは緑が好きで自分の部屋中に鉢を置いたり天井からぶら下げたりしているんだけれど、ほとんど温室みたいになって知らない人が見たらだいぶ引きそうな状態になっている。水やりに毎週1時間くらいかかるのも好きでやっているんだし、部屋の中に落ち葉が積もるのも邪魔だったら掃除すればいいので気に...

ぼくは緑が好きで自分の部屋中に鉢を置いたり天井からぶら下げたりしているんだけれど、ほとんど温室みたいになって知らない人が見たらだいぶ引きそうな状態になっている。水やりに毎週1時間くらいかかるのも好きでやっているんだし、部屋の中に落ち葉が積もるのも邪魔だったら掃除すればいいので気にならない。 ただ、ポトスやヘデラといった観葉植物と一緒に、変な生態が好きな食虫植物の一群も暮らしているのだが、こいつらは水が好きで、腰水にしていたらそのせいかコバエが湧いてしまった。別段コバエが好きなわけでもなく、かといって殺虫剤をまくのもイヤだなとちょっと困っていたら、食虫植物のモウセンゴケやムシトリスミレがコバエを捕まえていた。おお、ぼくの部屋の中で大自然の生態系が回っている、とちょっと感動した次第。 前置きが長くなったが、著者は人間の家に住んでいる生き物を研究している人。生命科学の研究者はアマゾンやらコスタリカやらの秘境に行きたがる人が多いらしく、家の中の生き物については、せいぜいがゴキブリやっつける方法を殺虫剤メーカーが興味を持つくらいで、あまり研究者がいないらしい。で、ホコリなどを拭って調べてみたら、小さい動物や昆虫だけでなく、菌類や細菌なども含めると20万種におよぶ生き物がぼくらと一緒に家の中で暮らしているそうだ。20万種という数はDNA分析によるものだが、大部分は生態はもちろん、分類も名前すらはっきりしないやつが相当混じっているらしい。これに人間やペットが腹の中で飼っている腸内フローラなどを加えたら、さらに大変な数になりそうだ。 その中には人間を病気にするような、悪さをするやつも混じっているが、その割合はごく小さく、大部分は影響もはっきりしない。除菌薬やら消毒薬はよく除菌率99.7%などと謳っているが、あれ大丈夫なのかと前からちょっと気味が悪かった。悪さをする微生物だけを99.7%除去するわけではなく、いいも悪いも無差別に一掃してしまうのだろう。それはそれでなにか悪い影響を及ぼすことはないのだろうか? ペニシリンを嚆矢とした抗生剤が多くの命を救ったのは事実だし、消毒の概念が同様に多くの疫病阻止に役立ったのも確かだ。著者が慎重に結論を避けているように、こういうのは白黒どちらか一方の結論が正解とは限らない。とにかく自然が一番、というわけでもない。その一方で、もともと動物としての人間が生きていた環境を、極端に変えてしまうことに対する躊躇や怯えは忘れないようにしようと思う。 ちなみに、ぼくのPCの液晶ディスプレイの上をたまにアリンコが行ったり来たりして邪魔くさいんだが、こいつらはどうしたらいいんだろう?

Posted byブクログ

2022/04/07

米国の生態学者による家の中の生き物。多種多様な生物、その生き残り方、場面を想像しながら読むと背中がゾワゾワしてくる。期待以上の読み応えだった。 地味なゴキブリの研究を、長く続けている日本人女性に感心!

Posted byブクログ

2022/02/16

生態学者の著者は、これまで、生態学は外の世界を見てきたという。人類は含まれるものの、人類を取り巻く「自然」における多様な生物からなる生態系及び生態系サービスを見てきたという。だから、家の中にどれぐらい新生物がいるかをしらなかったという。それに対して、本書が取り上げるのは一軒の家に...

生態学者の著者は、これまで、生態学は外の世界を見てきたという。人類は含まれるものの、人類を取り巻く「自然」における多様な生物からなる生態系及び生態系サービスを見てきたという。だから、家の中にどれぐらい新生物がいるかをしらなかったという。それに対して、本書が取り上げるのは一軒の家にいる生き物すべてを総ざらえしようというのである。そして、その生き物たちが生態系をなしていて、微妙なバランスで成り立っているというのである。なお、本書ではウィルスは登場せず、細菌や原生動物といった微生物、昆虫、ペット、そして、人間が登場する。 たとえば、花粉症などのアレルギーは、多様な環境に暴露されなかったから、身体の免疫システムが反乱を起こして、自己を攻撃するようになったという。これは、子供が育つ家の内外の生態系が、人間の干渉、たとえば、農薬や殺虫剤、さらには、抗生物質などによる干渉受けた結果、多様性を失いそのことが引き金となって、免疫システムの異常を引き起こしてしまうからだ。我々は人類の一員としての遺伝子を引き継いでいて、この遺伝子のセットは、長い進化の歴史の中で環境の中に暴露されてきた結果、構築されてきたものだ。ところが、人類は生態系に多大な干渉を加えて現代文明を構築してきた。たとえば、火を使うことによって、口に入れる微生物の種類は減ったことだろう。せっかく、多様な生き物からなる精緻な生態系が作り上げられていたのに、生態学的ニッチェに空きができてしまい、体内の微生物の間の競合関係を乱してしまう。さらには、衛生環境をととのえ、抗生物質を手に入れる。また、農薬をつくり、殺虫剤をつくる。おかげで平均余命はのびたには違いないが、さらに、人間を取り巻く生き物の種類をへらす。ところが、生き物の側でも進化戦略によって、薬物耐性を身に着け、おかげで、抗生物質が効かなくなり、生き物との間の際限のない軍拡競争に落ち込む。 そうした状況にあっても、家の中をくまなく探ると20万種もの生き物がいることを(ウィルスを入れれば、おそらくその数はもっと膨大になるはずだ)、本書は教えてくれる。しかし、読者は、それなら、もっと清潔にして、これらの生き物を撲滅しなければ、と考えてはならない。そうではなく、こうした多様な世界をせめて維持すること、なんなら、もっと増やしていくことが望ましいと考えること、これが重要なのではないだろうか。

Posted byブクログ

2021/06/21

なかなかインパクトのあるタイトル。原題は”Never Home Alone”。映画「ホーム・アローン」をもじったようなフレーズだが、直訳すれば「家で一人ぼっちなんてことは絶対ない」くらいの意味だろうか。 ひとり暮らしの人も、家族と暮らす人も、自分の家は自分のものと思っているだろう...

なかなかインパクトのあるタイトル。原題は”Never Home Alone”。映画「ホーム・アローン」をもじったようなフレーズだが、直訳すれば「家で一人ぼっちなんてことは絶対ない」くらいの意味だろうか。 ひとり暮らしの人も、家族と暮らす人も、自分の家は自分のものと思っているだろうが、実はそんなことはない。「家」に住んでいるのはヒトだけではなく、多種多様な生物もまた、自分たちの「家」として住んでいるのだ、というのがこの本の主眼。多種多様というのは文字通りの意味で、10や20、100ですらない、本書の著者らによれば、何と、20万種もの生き物がヒトとともに暮らしているのだという。 まさに「生態系」としかいいようのない大集団である。 多くの生態学者にとって、研究すべき「フィールド」とは森や山、川や海、ジャングル、サバンナなど、「ここ」ではないどこかを指す。いわゆる「自然」の中だ。 だが本書の著者らは、実は「家」の中にもさまざまな生物が潜むことに気付く。 シャワーヘッドに潜む微生物。地下室にいつの間にか住み着いたカマドウマ。窓枠にいるハエやクモ。そしてさらにそれらに寄生する細菌やファージなども。 今までは、生物そのものを見つけ出し、培養して増やすなどしなければ検出できなかったものが、近年の分析技術の発展により、微量のDNAから生物種が特定可能になった。 そのため、生物叢の研究は飛躍的に進んだ。 「家にいるのはあなたやあなたの家族だけでなく、小さな生き物がごまんと、いや20万ほどいる」と聞いたら、仰天して、駆除したり除菌したくなったりする人もいるだろう。 だが、ことはそう簡単ではない。なぜならこれらは「生態系」だから。 自分にとって好ましくないものを省こうとしても、それだけが死ぬわけではなく、すべてのものが死んでしまう。あるいは、弱った生態系の中で、病原性の高いもののみが生き残る。 結果、自分が意図したのとは逆の、もっと好ましくない状態になってしまうことが往々にしてある。 子供のころから多様な生物に触れていることは、想像する以上に重要なことのようである。著者らは自宅の裏庭の生物多様性と子供のアレルギーの度合いの関係を調査した。その結果、裏庭が自然豊かであればあるほど、子供の皮膚から検出される細菌は多様になり、こうした子供ではアレルギーの度合いが低い傾向が明らかに認められた。 著者は研究ネットワークを作るのに非常に長けた研究者である。昆虫分類のエキスパートやチャバネゴキブリの味覚ニューロンを調べ続ける研究者など、研究者仲間の尖がったエピソードもなかなか楽しい。 一方で、著者はまた、一般の人々を研究に取り込むのもうまい。世界各地から集められたシャワーヘッドのぬめりサンプルなくして、大規模な調査はありえなかった。これらの分析から、地理的な相違も重要だが、水道水を使用しているか井戸水を使用しているかでも大きな違いがあることが見えてきた。 終章がなかなか示唆に富む。 発酵食品は世界各地に多様なものが存在するが、その味は作り手に左右されることが実に多い。同じようにキムチを仕込んでも、同じように糠漬けを漬けても、同じようにチーズを作ってでも、同じ味になることはない。著者は、それは作り手の「手」やその「家」に住み着いた微生物によるのではないかと推測する。そこで実験として、多くのパン職人の協力を得て、パンを作ってもらい、作り手の微生物とパンの風味の関係を調べてみる。結果は読んでのお楽しみということにしておこう。同じく発酵の産物であるビールと合わせて、パンをテイスティングするシーンがこの章のクライマックスで、何だか不思議な多幸感を誘う楽しい一節である。 地下室に住み着いたカマドウマを調べる一環で、著者らはカマドウマの体内に住む細菌が、製紙工場の廃液中のリグニンを分解して、利用しやすい小分子炭素化合物にする能力を持つことを見出す。リグニンの分解はかなり困難で、分解能を持つ上に実用に向く細菌は知られていない。カマドウマ由来の細菌は実用に耐える可能性があるようだ。 それはそれで結構なことだが、実のところ、こうした実利的な部分はおまけのようなものであり、生態系が豊かであることの利点は、生態系が豊かであるということ自体なのではないかという気もしてくる。 カマドウマが何かの役に立たなくたっていいじゃないか。カマドウマのいる世界は多分、いない世界よりちょっと「よい」世界なのではないだろうか。

Posted byブクログ

2021/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

確かに殺虫しても耐性できるだけか。同定されてないものたくさんいそう。その辺の観察力は日本人はもともとは優れていたけど、今駄目そう。

Posted byブクログ

2021/05/27

新聞の書評で見てこれはおもしろそうと思った。ただし、単行本だし、買うのはちょっとと思って、コロナ禍の中、ネット予約をして、職員しかいない図書館から借りてきた。抜群におもしろい。どの話題も甲乙つけがたいが、前半のシャワーヘッドの話など強烈に印象が残っている。水道水の中には細菌がわん...

新聞の書評で見てこれはおもしろそうと思った。ただし、単行本だし、買うのはちょっとと思って、コロナ禍の中、ネット予約をして、職員しかいない図書館から借りてきた。抜群におもしろい。どの話題も甲乙つけがたいが、前半のシャワーヘッドの話など強烈に印象が残っている。水道水の中には細菌がわんさかといるわけだ。給湯器の中だろうと、少々の高温だろうと生きているのだ。シャワーヘッドの内側にあるヌメリは菌の温床なわけだ。そういえば、シンクの排水溝もひどいものだ。でもまあ、こちらは理解できる。生ゴミがたまっているわけだから栄養豊富なのだ。けれど、単にキレイなはずの水が流れているだけのところに菌がたまっているとは。水道水は塩素などで殺菌している。しかし、実のところ人体にさほど影響のない弱い微生物が死に絶え、そのかわりに捕食されなくなった抗酸菌など害のあるものが生き延びているという。何ということか。これは殺虫剤とか、抗生物質なども同じ。コロナウイルスだってあっという間に進化しているようだし。著者はいまの状況をどう考えているのだろう。それも聞いてみたい。家の中の微生物を探すという流れで、PCR法の原理について知ることができたのが本書を読んでの副産物であった。DNAの二本鎖を引き離し、ポリメラーゼを使って複製する。その際、高温にする必要があるが、そこで活用されるのが好熱性細菌のポリメラーゼ。これが発見されたのが大きかった。そして、給湯器の中にもいたわけだ。家の中には節足動物もたくさんいるし、それらについている細菌も多い。イヌやネコなどのペット類もしかり。ネコを最終宿主として、その体内でのみ有性生殖をするというトキソプラズマ原虫。他でも読んだ記憶はあったけれど、すごい話だ。ネズミに寄生すると、ネコを恐がらなくなってしまう。ヒトにも寄生して、ヒトの行動にも影響を及ぼすのだとか。恐ろしい。で、家の中にはおよそ20万種の生物が存在するのだそうだが、それはいいのか悪いのか。まあ、多様性があった方が病原性のある菌類・細菌類は抑え込まれるようだから、種類が多いのは悪いことではない。著者自身が意識して行っているのは、窓を開ける、エアコンはなるべく使わない、食洗機も使わない、湿ったものはすべて外に出す、などなど。おー、食洗機どうしよう。梅雨の時期だけでも乾燥機使おうか。でも、きっと洗濯機の中も菌の温床だろうなあ。悪さするのがいなければいいが。そして、結局シャワーヘッドはうまくはずせず、中を確認できていない。見ない方がかえっていいのかも知れない。それより風呂のふたの黒カビ。どうしたらいい? それと、余計なお世話だけど、ちょっと、誤植が多かったような・・・

Posted byブクログ