少年は世界をのみこむ の商品レビュー
「2019年オーストラリアで最も売れた」と知り、オーストラリアに行く予定があったため気になって買った本。2023年の夏に買い、最初の方だけ読んでなかなか世界に入れず挫折し、1年後の今ようやく読了。(一気読み!タイミングってあるなぁと思う。) 犯罪がはびこる郊外に暮らす少年が数々...
「2019年オーストラリアで最も売れた」と知り、オーストラリアに行く予定があったため気になって買った本。2023年の夏に買い、最初の方だけ読んでなかなか世界に入れず挫折し、1年後の今ようやく読了。(一気読み!タイミングってあるなぁと思う。) 犯罪がはびこる郊外に暮らす少年が数々の悲劇に見舞われながらも、両親や兄、親友...との間にある単純ではない(でもささやかで幸福な)「愛」と向き合いながら新聞記者を目指して冒険し、成長する話。 長い話の中に伏線が散りばめられていて、後半で怒涛の回収ラッシュがきて、すっきり! 主人公の唯一の親友は60個上の元脱獄犯だし、麻薬の取引や暴力など私にとっては非日常的で衝撃的な場面が多いけど、登場するキャラクターの多くに親近感をもった。 脱獄犯は実在した人で、話の半分は著者の実体験ということにも驚き。 善良と邪悪、特別とへんてこの境界はどこにあるのか、誰がそれを決めるのか、、考えさせられる。 この話がとっても長くなっている訳は、少年の目を通して見える「世界」の詳細(「ディテール」)がこれでもかというぐらい事細かに描写されているから。 比喩表現、色彩表現が本当に巧みで、映像を見ているようだった。(訳者の池田真紀子さん、あっぱれ!いつか原文にも触れたい。) 「言葉が世界を切り取る」というような考え方があるけれど、この物語と文章表現を通して、想像や観察を言葉にすることで広がる世界、人生の可能性を教えてもらった気がする。 本文に「言葉は“なか"に似合わない。どんなときも外にあったほうがいい。(p.10)」とあるように。 他、「『そばにいなかろうと、誰かを支えることはできる。』(p.99)」、「時間を殺れ。時間に殺られる前に。(p.107)」など親友のスリムが持つ、主人公を突き動かし続ける哲学が好き。 あとは王立ブリスベン病院のブレナン先生、アレックス、ケイトリン・スパイズの人柄に魅了されたなぁ。 楽しい読書時間でした。 ネトフリで映像化されてるみたいだから、もう少し本の余韻に浸ってから、見てみようかな。
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人に流されず考えて考えて生きる。 あなたは善良な人か。どんな状況でも善良でいることの難しさ。 でもそれがもたらす周りへの影響。 勇敢に挑むイーライが素敵でした。
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少年イーライとそれを取り囲む人達とのヒューマン物語。 事実に基づいた話だけに、キャラクターの個性とさり気無い言葉に人間性をとても感じる。 少年イーライは周りの噂や言葉に惑わされることなく、自分が接している人達を信じ突き進む。 たとえ過酷な経験だろうと、立ち止まらない性格は危なかし...
少年イーライとそれを取り囲む人達とのヒューマン物語。 事実に基づいた話だけに、キャラクターの個性とさり気無い言葉に人間性をとても感じる。 少年イーライは周りの噂や言葉に惑わされることなく、自分が接している人達を信じ突き進む。 たとえ過酷な経験だろうと、立ち止まらない性格は危なかしくもあり、破天荒であり、犯罪と薬物が蔓延る街に彼なりの色彩を作り出す。 師の言葉のディテールを追い求め、少年の新聞記者の夢を志す姿はたくましい。 希望を信じれば、悪い状況からでも立て直せると、少し勇気を貰える文学的作品。
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「少年は世界をのみこむ Boy Swallows Universe」 日本語訳で600ページ近くあるにもかかわらず、三語で表された各章はスムーズでリズムがある。しかも描写は細かく比喩も豊かで、流して読むには少々もったいないほど。 物語は12歳の男の子イーライの目線で描かれる。 ...
「少年は世界をのみこむ Boy Swallows Universe」 日本語訳で600ページ近くあるにもかかわらず、三語で表された各章はスムーズでリズムがある。しかも描写は細かく比喩も豊かで、流して読むには少々もったいないほど。 物語は12歳の男の子イーライの目線で描かれる。 犯罪の匂いのする親を持つ主人公が次々と襲い掛かる境遇に対し、必死に抗いながら成長していく。 日本の小説にある普通の少年期の成長物語に比べ、とてつもないスケールの展開であるところにオーストラリアを感じる。 登場人物の中では、主人公イーライはもちろん、ある事故から言葉を話さなくなったのち、空に指で文字を書く不思議な兄オーガストの存在が物語を神秘的に彩る。 そして、伝説の脱獄王スリム(二人のベビーシッター)、この人がとてもいい。 「ディテールだ、ディテールを頭の中に叩き込め」 「時間は操ることができる」 「時間を殺れ、殺られる前に」 ミステリー形式ではあるが、すべてを明らかにしようとするのではなく、少年期から青年期への成長とともに“いつのまにか失くしていくもの”など、柔らかく包み込むようにして描写している。 スティーヴン・キングの少年物とはまた一味違った面白さがここにある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海外作品を訳されたものを読み慣れてない(私みたいな人)だと、海外ならでは?の風景描写や言い回しとかが上手く飲み込めなくて読むのすっごい時間かかると思う。 でも訳された文章は本当に至高!わかんないけど、多分原文の良さがまんまか、それ以上に加わって高められたものになってると思った!原文の良さをひとつも損なってないよ、多分、勝手な推測と体感だけど。でもそれくらい、素敵な言い回しが多くてもうあげきれないほど。 内容は、日本では非現実的な綱渡りみたいな生活が終始描かれてる感じかなぁ。でもその実、人との出会いも別れも、ままならない現実も、全部自分の身近にもあるようなものにも思えたけど。 ご都合展開と呼ばれるものだけど、そこまで行き着くのに長かったぶんくさくはなかった。
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CL 2022.1.18-2022.1.22 色彩とディテール 善良な人間 作者の実体験に基づいた作品だというのが驚き。 あと、本のタイトルも「少年、世界をのみこむ」でよかったんじゃない?
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たくさんの賞を受賞し、 たくさんの国で翻訳され読まれている本。 とても波乱にとんだ内容だった。 イーライは、おしゃべりで、 お話を作るのが得意で、ちょっと泣き虫。 オーガストは、ひと言も話さない。空中に指で書く文字は、予言めいたものもあれば、意味不明な文字列のこともあるが、賢い兄...
たくさんの賞を受賞し、 たくさんの国で翻訳され読まれている本。 とても波乱にとんだ内容だった。 イーライは、おしゃべりで、 お話を作るのが得意で、ちょっと泣き虫。 オーガストは、ひと言も話さない。空中に指で書く文字は、予言めいたものもあれば、意味不明な文字列のこともあるが、賢い兄で頼れるアドバイザー。 母の恋人ライルは、父親も同然。 麻薬密売組織に連れ去られ、なぜ消えてしまったのか?真実を探しに行く。 ベビーシッターで、年齢差60歳の親友スリムからたくさんのことを学ぶ。 みんなでハグ! 愛情や信頼を感じる家族。 けれど、世間から見たら悪人と呼ばれるのかもしれない。 本書の半分は著者が実際に体験したことだという。 そして、イーライの切り取られた人差し指のことは驚いたが、著者の右手の指はちゃんとそろっていると訳者あとがきにあり、ホッとする。 12~19才までの少年イーライの成長と家族の物語。
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読み始め,圧倒的に高度な文章構成で,自分も付いていくことができるか心配であったが,家族の物語でありながら,冒険の物語であり,少年の成長の物語であり,要所要所にそれらの活劇感が挿入され,当初の心配は杞憂であった. 日常とは言っても,平和な日常では無く,びっくりするようなことも起こり...
読み始め,圧倒的に高度な文章構成で,自分も付いていくことができるか心配であったが,家族の物語でありながら,冒険の物語であり,少年の成長の物語であり,要所要所にそれらの活劇感が挿入され,当初の心配は杞憂であった. 日常とは言っても,平和な日常では無く,びっくりするようなことも起こり,少しづつ読み進める毎日が楽しみでした. もう1度読むかなあ.
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圧倒的な量と質!細かなディテールにこだわるイーライ少年のように、たくさんのエピソード、感じた事、ちょっとした会話、言われなかった言葉などがこれでもかというくらい書かれていて、魔術のようにそれがどんどん繋がっていく。エンターテイメントとしても面白いし、家族愛や兄オーガストへの信頼、...
圧倒的な量と質!細かなディテールにこだわるイーライ少年のように、たくさんのエピソード、感じた事、ちょっとした会話、言われなかった言葉などがこれでもかというくらい書かれていて、魔術のようにそれがどんどん繋がっていく。エンターテイメントとしても面白いし、家族愛や兄オーガストへの信頼、ベビーシッターだった元脱獄犯のスリムとの絆など深い内容満載で少年の成長物語として素晴らしかったです。 あとがきの作者の右手の指がちゃんとあるとの情報、ほっとしました。
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少年を取り巻く治安の悪い世界+少年の成長+ファンタジー+若干サスペンスな感じの物語。 「ディテールを残らずみる」、「人生は簡単なことよりも正しいことをできるかだ」、「時間を殺れ、時間に殺られる前に」など登場人物の一人である元脱獄犯のスリム・ハリデーの言葉には覚えておきたい人生訓...
少年を取り巻く治安の悪い世界+少年の成長+ファンタジー+若干サスペンスな感じの物語。 「ディテールを残らずみる」、「人生は簡単なことよりも正しいことをできるかだ」、「時間を殺れ、時間に殺られる前に」など登場人物の一人である元脱獄犯のスリム・ハリデーの言葉には覚えておきたい人生訓がいくつかあったが、主人公がどうしても好きになれなかったので星二つにした。色彩はたしかに目に浮かぶようだが、なぜかとても疲れた。 オーストラリアに治安が悪いイメージがなかったので、半分ぐらい作者の実体験と知りそこに一番衝撃を受けた。
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