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少年は世界をのみこむ の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2023/12/24

人に流されず考えて考えて生きる。 あなたは善良な人か。どんな状況でも善良でいることの難しさ。 でもそれがもたらす周りへの影響。 勇敢に挑むイーライが素敵でした。

Posted byブクログ

2022/03/31

少年イーライとそれを取り囲む人達とのヒューマン物語。 事実に基づいた話だけに、キャラクターの個性とさり気無い言葉に人間性をとても感じる。 少年イーライは周りの噂や言葉に惑わされることなく、自分が接している人達を信じ突き進む。 たとえ過酷な経験だろうと、立ち止まらない性格は危なかし...

少年イーライとそれを取り囲む人達とのヒューマン物語。 事実に基づいた話だけに、キャラクターの個性とさり気無い言葉に人間性をとても感じる。 少年イーライは周りの噂や言葉に惑わされることなく、自分が接している人達を信じ突き進む。 たとえ過酷な経験だろうと、立ち止まらない性格は危なかしくもあり、破天荒であり、犯罪と薬物が蔓延る街に彼なりの色彩を作り出す。 師の言葉のディテールを追い求め、少年の新聞記者の夢を志す姿はたくましい。 希望を信じれば、悪い状況からでも立て直せると、少し勇気を貰える文学的作品。

Posted byブクログ

2022/03/29

「少年は世界をのみこむ Boy Swallows Universe」 日本語訳で600ページ近くあるにもかかわらず、三語で表された各章はスムーズでリズムがある。しかも描写は細かく比喩も豊かで、流して読むには少々もったいないほど。 物語は12歳の男の子イーライの目線で描かれる。 ...

「少年は世界をのみこむ Boy Swallows Universe」 日本語訳で600ページ近くあるにもかかわらず、三語で表された各章はスムーズでリズムがある。しかも描写は細かく比喩も豊かで、流して読むには少々もったいないほど。 物語は12歳の男の子イーライの目線で描かれる。 犯罪の匂いのする親を持つ主人公が次々と襲い掛かる境遇に対し、必死に抗いながら成長していく。 日本の小説にある普通の少年期の成長物語に比べ、とてつもないスケールの展開であるところにオーストラリアを感じる。 登場人物の中では、主人公イーライはもちろん、ある事故から言葉を話さなくなったのち、空に指で文字を書く不思議な兄オーガストの存在が物語を神秘的に彩る。 そして、伝説の脱獄王スリム(二人のベビーシッター)、この人がとてもいい。 「ディテールだ、ディテールを頭の中に叩き込め」 「時間は操ることができる」 「時間を殺れ、殺られる前に」 ミステリー形式ではあるが、すべてを明らかにしようとするのではなく、少年期から青年期への成長とともに“いつのまにか失くしていくもの”など、柔らかく包み込むようにして描写している。 スティーヴン・キングの少年物とはまた一味違った面白さがここにある。

Posted byブクログ

2022/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

海外作品を訳されたものを読み慣れてない(私みたいな人)だと、海外ならでは?の風景描写や言い回しとかが上手く飲み込めなくて読むのすっごい時間かかると思う。 でも訳された文章は本当に至高!わかんないけど、多分原文の良さがまんまか、それ以上に加わって高められたものになってると思った!原文の良さをひとつも損なってないよ、多分、勝手な推測と体感だけど。でもそれくらい、素敵な言い回しが多くてもうあげきれないほど。 内容は、日本では非現実的な綱渡りみたいな生活が終始描かれてる感じかなぁ。でもその実、人との出会いも別れも、ままならない現実も、全部自分の身近にもあるようなものにも思えたけど。 ご都合展開と呼ばれるものだけど、そこまで行き着くのに長かったぶんくさくはなかった。

Posted byブクログ

2022/01/22

CL 2022.1.18-2022.1.22 色彩とディテール 善良な人間 作者の実体験に基づいた作品だというのが驚き。 あと、本のタイトルも「少年、世界をのみこむ」でよかったんじゃない?

Posted byブクログ

2021/11/22

たくさんの賞を受賞し、 たくさんの国で翻訳され読まれている本。 とても波乱にとんだ内容だった。 イーライは、おしゃべりで、 お話を作るのが得意で、ちょっと泣き虫。 オーガストは、ひと言も話さない。空中に指で書く文字は、予言めいたものもあれば、意味不明な文字列のこともあるが、賢い兄...

たくさんの賞を受賞し、 たくさんの国で翻訳され読まれている本。 とても波乱にとんだ内容だった。 イーライは、おしゃべりで、 お話を作るのが得意で、ちょっと泣き虫。 オーガストは、ひと言も話さない。空中に指で書く文字は、予言めいたものもあれば、意味不明な文字列のこともあるが、賢い兄で頼れるアドバイザー。 母の恋人ライルは、父親も同然。 麻薬密売組織に連れ去られ、なぜ消えてしまったのか?真実を探しに行く。 ベビーシッターで、年齢差60歳の親友スリムからたくさんのことを学ぶ。 みんなでハグ! 愛情や信頼を感じる家族。 けれど、世間から見たら悪人と呼ばれるのかもしれない。 本書の半分は著者が実際に体験したことだという。 そして、イーライの切り取られた人差し指のことは驚いたが、著者の右手の指はちゃんとそろっていると訳者あとがきにあり、ホッとする。 12~19才までの少年イーライの成長と家族の物語。

Posted byブクログ

2021/11/08

読み始め,圧倒的に高度な文章構成で,自分も付いていくことができるか心配であったが,家族の物語でありながら,冒険の物語であり,少年の成長の物語であり,要所要所にそれらの活劇感が挿入され,当初の心配は杞憂であった. 日常とは言っても,平和な日常では無く,びっくりするようなことも起こり...

読み始め,圧倒的に高度な文章構成で,自分も付いていくことができるか心配であったが,家族の物語でありながら,冒険の物語であり,少年の成長の物語であり,要所要所にそれらの活劇感が挿入され,当初の心配は杞憂であった. 日常とは言っても,平和な日常では無く,びっくりするようなことも起こり,少しづつ読み進める毎日が楽しみでした. もう1度読むかなあ.

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2021/09/08

圧倒的な量と質!細かなディテールにこだわるイーライ少年のように、たくさんのエピソード、感じた事、ちょっとした会話、言われなかった言葉などがこれでもかというくらい書かれていて、魔術のようにそれがどんどん繋がっていく。エンターテイメントとしても面白いし、家族愛や兄オーガストへの信頼、...

圧倒的な量と質!細かなディテールにこだわるイーライ少年のように、たくさんのエピソード、感じた事、ちょっとした会話、言われなかった言葉などがこれでもかというくらい書かれていて、魔術のようにそれがどんどん繋がっていく。エンターテイメントとしても面白いし、家族愛や兄オーガストへの信頼、ベビーシッターだった元脱獄犯のスリムとの絆など深い内容満載で少年の成長物語として素晴らしかったです。 あとがきの作者の右手の指がちゃんとあるとの情報、ほっとしました。

Posted byブクログ

2021/08/29

少年を取り巻く治安の悪い世界+少年の成長+ファンタジー+若干サスペンスな感じの物語。 「ディテールを残らずみる」、「人生は簡単なことよりも正しいことをできるかだ」、「時間を殺れ、時間に殺られる前に」など登場人物の一人である元脱獄犯のスリム・ハリデーの言葉には覚えておきたい人生訓...

少年を取り巻く治安の悪い世界+少年の成長+ファンタジー+若干サスペンスな感じの物語。 「ディテールを残らずみる」、「人生は簡単なことよりも正しいことをできるかだ」、「時間を殺れ、時間に殺られる前に」など登場人物の一人である元脱獄犯のスリム・ハリデーの言葉には覚えておきたい人生訓がいくつかあったが、主人公がどうしても好きになれなかったので星二つにした。色彩はたしかに目に浮かぶようだが、なぜかとても疲れた。 オーストラリアに治安が悪いイメージがなかったので、半分ぐらい作者の実体験と知りそこに一番衝撃を受けた。

Posted byブクログ

2021/08/14

ディテールと色彩が、破滅的な世界を照らす珠玉の小説。愚かで勇敢な少年の冒険譚。どこかファンタジックな雰囲気も醸し出しつつ、ドキュメンタリー的に細部にこだわった作品で、とてもワクワクさせられた。 子ども思いだけど麻薬の密売人をやっている母、その母の恋人で同じく密売人をやっている男...

ディテールと色彩が、破滅的な世界を照らす珠玉の小説。愚かで勇敢な少年の冒険譚。どこかファンタジックな雰囲気も醸し出しつつ、ドキュメンタリー的に細部にこだわった作品で、とてもワクワクさせられた。 子ども思いだけど麻薬の密売人をやっている母、その母の恋人で同じく密売人をやっている男性的な魅力ある男、話すのを拒み文字を空中に書いて意思表示する兄と、普通ではない環境に置かれたイーライ。 親友は、脱獄犯のベビーシッターであるスリムで、年齢的にはイーライと60の差がある。 こんな環境でも、擦れることのない少年イーライの視点から物語は語られる。 スリムの哲学を忠実に再現しようとする純粋さや、見たままだけを信じない疑う能力、自分に向かってくる不条理や暴力に、ときには怯えながらも、真っ直ぐに立ち向かう姿勢を持とうとするイーライに心惹かれる。 こうしたカラフルな登場人物たちが魅力的なのだが、彼らのセリフもとても印象深い。 なかでも、老年のスリムがイーライ少年に幾度となく伝える「時間を殺れ」という言葉が印象的だ。 目に見えない時間をどう殺すのか? スリムは、獄中で時間を操っていたと語り、物事の細部を見逃さない、つまりディテールを見逃さないという方法で、時間を永遠に近いものにしてきた。 その教えが一人語りの文にも生かされており、時には滑稽で時には真に迫った会話劇や、時々の状況を克明に、かつ詩的に描いたまさしくディテールを見逃さない文体が読み手を飽きさせない。 詩的な表現が、破滅的で絶望的な環境下に置かれても、イーライの目には色彩が失われない理由のひとつになっている。 この小説を読んでいると、なんとなく過ごしてきた日々の細部にもディテールがあり、それを見逃してきた自分に気づかされる。 イーライのように色彩を手に入れるためには、日々の細部に注目し、時間を手繰る必要があるのだろう。 この小説は、読み手にも色彩が如何なるものか、どうやって色彩を手に入れるかのヒントをくれる。 常識的に考えて、親がろくでもないことをしていれば、嘆き悲しみ打つ手なしで泣き寝入りするところだが、イーライやオーガストは、状況を受け止めて進んでいく。 少年らしい向こ見ずな言動も含めて、勇気を与えられた。 細部に拘っているからと言って、ストーリーに手を抜いているわけではない。 じつは序盤から伏線がいくつも存在し、ストーリーが進むごとに紡がれていく。 兄のオーガストの予言めいたメッセージ、意味深な言動がこの物語を想像力豊かなものにしている。 主人公イーライは、想像力と現実を見つめる目と、どちらも持って世界に飛び込んでいく。 どんな状況下であっても、イーライが自分の意思を持って飛び込んでいく姿が頼もしい。 展開が読めないのでドキドキしながら読むことができた。 また、訳者の後書きによると、この物語の状況は、作者自身の環境をモデルにしているらしい。作者は元クーリエメールのジャーナリストなので、ほとんどイーライと同じような人生を送ったようなものではないかと、驚かされた。 長い長い小説だが、売れただけあり、ラストに至るまでの盛り上がりも素晴らしく、哲学に満ち満ちている。 

Posted byブクログ