問題解決の数理 3訂版 の商品レビュー

大西仁(著者)

2024/05/25

　最適化の理論を勉強するために本書をざっと読みました。正直なところ諸般の事情で通読を急いだので消化不良気味ですが、それはさておき感想を書きます。
　本教科書は実社会の様々な課題を解決するための数理的な手法を広く紹介するものです。よくある数理最適化の教科書かなと思いましたが、読んでみるとさらに広範な分野の数理モデルの概説書でした。本書の内容は（典型的な）最適化、ネットワーク、ゲーム理論、待ち行列、統計モデル、意思決定など莫大であり、いずれの内容も代表的アルゴリズムの説明と練習問題が与えられています。一冊の書籍であるため個々の説明は浅めですが、各分野の参考文献が説明付きで紹介されていて親切です。
　ただし本書にも読みにくい点はあります。例えば、本書のアルゴリズムの説明は疑似言語的なステートメントになっていますが、自然言語での説明が多く実装するには若干あいまいに感じます。また、アルゴリズムに例題を当てはめる際に具体的な文字や数式をひたすら文章で説明している部分も読みやすいとは感じません。
※放送大学の授業のテキストとして使用しましたが、本感想は授業とは独立した書籍のみに対するものです。