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中国・アメリカ 謎SF の商品レビュー

3.5

17件のお客様レビュー

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2024/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

テーマが親しみやすい。難しい単語や概念はあっても結局の問はシンプルな話ばかりでスイスイと読めた。売れっ子や著名な作家を選んでいないからか、話それぞれが評価の目を気にせず思いの丈をぶつけてくる。でも作者独特のユーモアも混じっている、そんな荒削りな作品が多く世界観に浸るだけでも楽しめた。 自我、エゴはどう生まれ帰結していくのか。登場人物の思考やもがきを通して表現されていた。 中国とアメリカの文化的・歴史的な違いに造詣が深くは無い自分だが、そこを捕捉してくれるような巻末の編者対談が面白くて小説を評価する視点が5つくらい学べた気がする。 ・中国系の作家は、大問題をシンプルに考えることを恐れない ・中国文学で受け継がれてきた小人物たちも宇宙へ旅立つ時代になった ・アメリカの最先端を行く作家がSFで希望の不在を描いている ・中国作品は未来への希望が前提

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2024/05/28

理系的な発想力と文系的な桁違いの想像力に圧倒された感じ。「マーおばさん」「曖昧機械」「改良人類」が特に面白かった。中国SFとかアメリカSFとかよく分かんないけど、確かに日本人じゃあまり見ないテーマ、雰囲気かもしれないと思った。

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2023/07/24

中国のパリッとした構成と、アメリカのぼんやりとした構成、どちらも魅力的。アメリカの作家たちの遠い記憶を描くような作風、読んでて落ち着く。

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2023/04/03

まだ国内で知られていない中国とアメリカのSF作家の短編七篇が収められているが、タイトル通り“謎”というか、世界観が難解というか、すんなり入ってこない作品がほとんどで、かろうじて「マーおばさん」が読みやすかったなと。

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2022/09/28

中国系作家によるSFアンソロジー。劉慈欣の大作「三体」が世間を騒がせているけれど、SF=西洋世界の作家たちの独壇場という観念は当然ながらもはや古くて、今やアジアでも隆盛を誇り、独自の筆致と世界観を持つ作家がいくらでもいるのだ、ということを気持ちいいぐらい実感させてくれる一冊。秋の...

中国系作家によるSFアンソロジー。劉慈欣の大作「三体」が世間を騒がせているけれど、SF=西洋世界の作家たちの独壇場という観念は当然ながらもはや古くて、今やアジアでも隆盛を誇り、独自の筆致と世界観を持つ作家がいくらでもいるのだ、ということを気持ちいいぐらい実感させてくれる一冊。秋の夜長に想像力を膨らませるのにオススメです。

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2022/04/26

日本ではまだ知られていない米中二国の作品を収録。 中国の作品はシンプルでわかりやすい。 ShakeSpace(遥控)「マーおばさん(马姨)」 梁清散「焼肉プラネット(烤肉自助星)」 が面白い。

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2021/12/31

文学ラジオ空飛び猫たち第34回紹介本。 翻訳家の柴田元幸さんと小島敬太さんによる、日本ではあまり知られていない中国とアメリカのSFアンソロジー。謎マシン、謎世界、謎眠り…謎多き7編を紹介しています。 作家が未来を捉えるのは、「結局は、今をどう捉えているのかに繋がりますよね」と巻末...

文学ラジオ空飛び猫たち第34回紹介本。 翻訳家の柴田元幸さんと小島敬太さんによる、日本ではあまり知られていない中国とアメリカのSFアンソロジー。謎マシン、謎世界、謎眠り…謎多き7編を紹介しています。 作家が未来を捉えるのは、「結局は、今をどう捉えているのかに繋がりますよね」と巻末の対談で小島敬太さんが話していたのが印象的でした。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/34-SF-SF-et35mu

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2021/11/22

おもしろかった!中国、アメリカの短編が交互に配置されているけど、それぞれのストーリーにどこかつながりがあって読みやすかった。 『改良人類』の未来も『降下物』の未来もどっちも嫌だな…。向かいたくない未来。予言になりませんように…。

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2021/09/11

へぇ、柴田さんがSF訳したんだ、と手に取った一冊。 全く同じことをケリーリンクの本で思ったのだが、この本はアンソロジーだという。しかも、中国SFとのごっちゃ。というわけで軽く感想でも。 ・マーおばさん 群知性ネタで特にオチと展開に意外性はない。ずいぶん昔に見出されてもう定石とな...

へぇ、柴田さんがSF訳したんだ、と手に取った一冊。 全く同じことをケリーリンクの本で思ったのだが、この本はアンソロジーだという。しかも、中国SFとのごっちゃ。というわけで軽く感想でも。 ・マーおばさん 群知性ネタで特にオチと展開に意外性はない。ずいぶん昔に見出されてもう定石となった手順を、あまりにも直球に、僕が見つけました、と言わんばかりの顔で発表されてびっくりしたのだけれど、もともと2006年発表だから仕方ないのかもしれない。が、例えばオーデュボンの祈りは2000年発表な訳で、思えば日本のSF会は伊坂さんになんかの賞をあげるべきだったのではないか ・曖昧機械 - 試験問題 ルーディ・ラッカーや「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと」とかそのあたりに似た雰囲気を感じた。不完全性定理を敷衍した「機械」が存在してそれをどうにかする、という話なんだが、タイトルの通り試験問題の体をとっているためそこから何か物語が発生することはない。謎というよりは不思議なお話。 ・焼肉プラネット 超光速エンジンが発明されました、故障しました、焼肉型生物が自生する惑星に不時着しました。以上。トリコの別に面白くないエピソードくらい。何が謎かが謎な短編その1 ・深海巨大症 海修道士(シーマンク)に出逢いに深海へ行く、なんて導入が来ると、マジックリアリズムでも始まるのかと身構えてしまうものだが、どうも様子が違う。 淡々と深く降りる潜水艦と、そこで過ごす研究員たちと、宇宙よりも謎に満ちた深海の情緒。そんな中でさまざまな謎に答えを一切みせず、とにかく海修道士に出逢うところでこの短編は終わる。 しかし海に沈んだ話というと第四間氷期、絶深海のソラリス、あとEver17くらいしか思い浮かばないのだけれど、本当に深海ってのは不思議な場所だ。 ・改良人間 遺伝子改良されて画一性がなくなった人間が云々。同じ感想になるが、特にオチと展開に意外性はない。 あと一点、本文に「そのナノロボットが一旦、受精卵の中の染色体に接触すると、DNAシーケンスが開始され、病気を引き起こす原因となる遺伝子を健康な対立遺伝子に、いわゆる優性遺伝子と呼ばれるものに組み替えます。」という表現があるのだが、日本遺伝学会の2017年の発表曰く 「日本遺伝学会は、長年使ってきた「優性」や「劣性」との用語を使わず言い換えることを決めた。遺伝子に優劣があるとの誤解を避けるため。(中略) 遺伝学では100年以上にわたり、遺伝子の2つの型のうち特徴が現れやすい遺伝子を優性、現れにくい遺伝子を劣性と呼んでいた。今後は優性を「顕性」、劣性を「潜性(せんせい)」とする。」とある。 これ、まさに上記の通りの誤用だと思われるのだが、この顕性/潜性という修正案のネタ元は中国語のはずなので一体どういう訳し間違いが発生したのか、私にはようわからない。何が謎かが謎な短編その2 ・降下物 ポストアポカリプスもの。最終戦争が起こって、放射線で人は異形になって、それでも暮らしている中、時間の流れを遅くする一方通行のタイムマシンから半分自殺に近い形で志願した文化人類学者が一人やってくる。そうして未来世界の考古学者へ、現代からあまりにも無体で突拍子もない答え合わせを行う。 そういう話なんだけれど、語り口とその構成が良くも悪くも文学的なもんだから、その終末の風景はなんだか写実ではなく抽象絵画の色味を帯びている。 ・猫が夜中に集まる理由 2021年にこのような短編集を読む人間に、わざわざ「シュレディンガーの猫」という概念を親切に教えてくれる掌編。書き飽きたが、特にオチと展開に意外性はない。また、何が謎かが謎な短編その3 結論として、柴田さんは文学の方面から色々と面白いものを持ってきているなぁ、と素直に感心した。 対して中国側については、端的にいうと見どころが皆無といった評になるのだが、これは例えばケンリュウ編の「折りたたみ北京」が文句なく傑作であったことからも分かる通り、中国SF側の問題ではではもちろんなく、小島なにがしのアンソロジーを編む才能と訳す才能がともに皆無なのが原因である。 という訳で、そんな人がゴチャゴチャいっている対談については読んでいないけれども、全体として中国SF部分は三体ブームに一口便乗しようとした水増し品以上でも以下でもないため、この本を手に取る人は素直に柴田さん訳だけ読めば良いと思われる。

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2021/09/03

ケン・リュウや「三体」など世界的な話題作を次々と生んでいる中国SF界。そこはまだまだ傑作、奇作の宝庫。中国に拠点を移したシンガー・ソング・ライター 小島ケイタニーラブ氏が翻訳家 小島敬太として、まだ日本においては無名の作家による中国短編SFをチョイス。 一方で、英米文学翻訳家の重...

ケン・リュウや「三体」など世界的な話題作を次々と生んでいる中国SF界。そこはまだまだ傑作、奇作の宝庫。中国に拠点を移したシンガー・ソング・ライター 小島ケイタニーラブ氏が翻訳家 小島敬太として、まだ日本においては無名の作家による中国短編SFをチョイス。 一方で、英米文学翻訳家の重鎮・柴田元幸氏もアメリカで活動している作家の短編SFを紹介する、と言う一冊。 中国作品4編と米国作品3編。 奇妙な模様で人間と会話できるAIコンピュータ。一体その中はどうなっているのか? 冷凍催眠から目覚めたら、世界は人類の幸せのために病を起こす遺伝子を消して理想の社会を築いていたが、その理想の社会が抱える危機とは? 夜中、猫は一体どこに行き、集まって何をしているのか? どの作品も個性が強い。それだけに面白さも大きいが、好き嫌いも大きく分かれるのでは? 個人的には中国作品の方に軍配を上げたい。

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