ひきこもり図書館 の商品レビュー
私が想像していた「ひきこもり」とはだいぶ違い、「ひきこもり」の範囲内が広い。 宇宙船の中や、実験室の中など、引きこもらずにはいられない状況も含まれている。 「私の女の実」は読んでいて意味がよく分からず、解説を読んでやっと納得出来た。その上でやっと、こういう意味でのひきこもりなのか...
私が想像していた「ひきこもり」とはだいぶ違い、「ひきこもり」の範囲内が広い。 宇宙船の中や、実験室の中など、引きこもらずにはいられない状況も含まれている。 「私の女の実」は読んでいて意味がよく分からず、解説を読んでやっと納得出来た。その上でやっと、こういう意味でのひきこもりなのかと。 ぶっ飛んだSFもあり、まぁ楽しめたけど、このタイトルは何となく違う気がした。
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【収録作品】ひきこもっている間に忘れられる-散文詩 「死なない蛸」 萩原 朔太郎/ひきこもり願望-ドイツ文学「ひきこもり名言集」 フランツ・カフカ(Kafka,Franz) 選訳/頭木 弘樹 /鬼退治に行かない桃太郎- 昔話「桃太郎 岡山県新見市」 編著/立石 憲利/差別...
【収録作品】ひきこもっている間に忘れられる-散文詩 「死なない蛸」 萩原 朔太郎/ひきこもり願望-ドイツ文学「ひきこもり名言集」 フランツ・カフカ(Kafka,Franz) 選訳/頭木 弘樹 /鬼退治に行かない桃太郎- 昔話「桃太郎 岡山県新見市」 編著/立石 憲利/差別によるひきこもり-ショートショート「凍った時間」 星 新一/感染を避けるためのひきこもり-アメリカ文学「赤い死の仮面 The Masque of the Red Death」 エドガー・アラン・ポー(Poe,Edgar Allan) 新訳/品川 亮/ひきこもりによる物の見え方・感じ方の変化-エッセイ 「病床生活からの一発見」 萩原 朔太郎/部屋から出られない苦しみ-日本SF小説「フランケンシュタインの方程式」 梶尾 真治/ニートのつぶやき-大正文学「屋根裏の法学士」 宇野 浩二/ひきこもりと植物-韓国文学「私の女の実 내 여자의 열매 」 ハン ガン (韓 江) 初訳/斎藤 真理子/究極の孤独-アメリカSF小説「静かな水のほとりで Beside Still Waters」 ロバート・シェクリイ (Sheckley,Robert) 新訳/品川 亮/ひきこもり実験の結果-漫画「スロー・ダウン」 萩尾 望都/番外編「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」 頭木 弘樹
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ロバート・シェクリイの名があったので手に取ったが、「人間の手のまだ触れない」で読んでいた作品だった。 編集者の頭木弘樹氏の解説で、このコロナ禍、「絶望図書館」の次はこの「閉じこもり図書館」です、とあり、閉じ込められた状態、の作品を氏の観点で集めたのだった。氏自身、大学生の時に難病...
ロバート・シェクリイの名があったので手に取ったが、「人間の手のまだ触れない」で読んでいた作品だった。 編集者の頭木弘樹氏の解説で、このコロナ禍、「絶望図書館」の次はこの「閉じこもり図書館」です、とあり、閉じ込められた状態、の作品を氏の観点で集めたのだった。氏自身、大学生の時に難病になり寝たきりになったとある。氏の小説観は、まずは自分にひきよせて読むこと、自分にとってどういう風に読めるか、そこが肝心なのだという。 「凍った時間」星新一 (「ちぐはぐな部品」所収) 工場で事故にあい、脳以外は機械になったムント。ロボットは全部が機械だが、ムントのようなのはサイボーグなのだという。顔はプラスチック、声も合成、人々の好奇の目に耐えられず地下で暮らしている。ある日電話も不通、TVも映らなくなり地上に出ると、革命軍が反乱を起こし、人々は一定時間気を失っている。目にさらされなくなったムントは久しぶりに外の空気を吸うが・・ 最初から最後まで悲しい空気、っていうのは星新一にはめずらしい。 「フランケンシュタインの方程式」梶尾真治 (「地球はプレイン・ヨーグルト」所収) 二人乗り宇宙船で火星へ荷物を運んでいるが、酸素ボンベが故障し、1人分の空気しかなくなった。そこでとった方法とは・・ 二人の会話で、自分達の状態を古典SFの「冷たい方程式」のケースだとあり、ほかに「解けない方程式」、「たぬきの方程式」、「破砕の方程式」もあるんですよ、というのが出てくる。「破砕の方程式」は読んでいた。ここがちょっとおもしろかった。 「スロー・ダウン」萩尾望都 (「半神」所収) 何十年振りかで読む萩尾望都。ひとりで密閉空間にいる、という実験をしている青年。 「静かな水のほとりで」ロバート・シェクリイ(アメージング1953.11月号 「人間の手のまだ触れない」に収録されていた。) 閉じこもりというと、すぐ回りに人がいるのに自分ひとりだけ狭い空間に、というのを想像するが、これは、ある星に男とロボットだけ、男はロボットに会話を教え、長い年月を暮らす。宇宙空間の、この星に1人なのだ。 ほかにポー「赤い死の仮面」、宇野浩二「屋根裏の法学士」(「中学世界」大正7年10月)など 2021.2.5発行 図書館 「冷たい方程式」トム・ゴドウィン(アスタウンディング1954 ) 「解けない方程式」石原藤夫(SFM1968年4月号掲載、『画像文明』(ハヤカワ文庫)に収録) 「たぬきの方程式」(筒井康隆 SFM1970年2月号掲載、『国境線は遠かった』(ハヤカワ文庫/集英社文庫)に収録) 「破砕の方程式」アーサー・C・クラーク (1949年Thrilling Wonder Stories誌に掲載、SFM1977年3月号『前哨』(ハヤカワ文庫)、『太陽系オデッセイ』(新潮文庫)に収録。前者の訳題は『破断の限界』、後者の訳題は『ひずみの限界』、1994年映画版『スペース・トラップ』公開) 頭木さんのブログ https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/
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12編のアンソロジー。しかも、内容は、ひきこもり。 館長(編者)のいうことには、自身の引きこもり生活、コロナによる生活の変化など、そういった好む好まざるに関わらず、狭い世界に閉じこもる生活を否定も肯定もせず、その中で起きる心の変化を自分に引き寄せて読んで欲しい、とのこと。 私...
12編のアンソロジー。しかも、内容は、ひきこもり。 館長(編者)のいうことには、自身の引きこもり生活、コロナによる生活の変化など、そういった好む好まざるに関わらず、狭い世界に閉じこもる生活を否定も肯定もせず、その中で起きる心の変化を自分に引き寄せて読んで欲しい、とのこと。 私自身はスポットライトの当たる場に出たこともあるし、良くも悪くも目立つらしい(友人、同期曰く)。 しかし、内向的な性格で、趣味といえば、読書(漫画や雑誌含む)、美術鑑賞で、1人でいる時間が至福。 だからコロナで外に出られないことの何がそんなに苦痛なのかよくわからなかった。 なんだったら今まで、「友達多くてスポーツ大好き」みたいなのがいいみたいな風潮に違和感を覚え、なんでそいつらばっか持て囃されるんだ畜生めざまみろと、隠キャまっしぐらだった。 さて、本書では萩尾望都「スロー・ダウン」、エドガー・アラン・ポーの「赤い死の仮面」、星新一の「凍った時間」シュクリィの「静かな水のほとりで」ハン・ガン「私の女の実」が印象に残る。 最初の三つは言わずもがなの面白さ。 ポーの物語は、迫り来る死の恐怖を描いており、これぞ、といった感じ。 感染症の恐怖というのは、人類が恐れる数少ない恐怖、しかし逃れる術がない恐怖。 まさに、今にふさわしい。 ハン・ガンは、韓国の作家。 韓国文学はこれまで児童書数冊しか読んでこなかったので、新しい世界だ。 「静かな水のほとりで」は、藤子・F・不二雄の短編を思い起こさせる、物悲しい物語だ。
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ひきこもるとは、いったいどういうことなのか? 究極のステイホーム・ストーリーズが‼️部屋の中で、何が起きるのか? ひきこもっている間に、人はどう変わってしまうのか? 「ひきこもり」をテーマにした斬新なアンソロジーが誕生しました。編者は、『絶望名人カフカの人生論』『絶望名言』『食べ...
ひきこもるとは、いったいどういうことなのか? 究極のステイホーム・ストーリーズが‼️部屋の中で、何が起きるのか? ひきこもっている間に、人はどう変わってしまうのか? 「ひきこもり」をテーマにした斬新なアンソロジーが誕生しました。編者は、『絶望名人カフカの人生論』『絶望名言』『食べることと出すこと』などで知られる頭木弘樹。病のため、十三年間のひきこもり生活を送った編者ならではの視点で選ばれた必読の名作群【目次】 ◎萩原朔太郎「死なない蛸」/◎フランツ・カフカ「ひきこもり名言集」/◎立石憲利「桃太郎――岡山県新見市」/◎星新一「凍った時間」/◎エドガー・アラン・ポー「赤い死の仮面」/◎萩原朔太郎「病床生活からの一発見」/◎梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」/◎宇野浩二「屋根裏の法学士」/◎ハン・ガン「私の女の実」/◎ロバート・シェクリイ「静かな水のほとりで」/◎萩尾望都「スロー・ダウン」/◎頭木弘樹「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」(上田秋成「吉備津の釜」)/あとがきと作品解説
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひきこもり図書館館長さんの言葉が穏やかで心地良い。 先月読んだハン・ガンの『菜食主義者』の種子となる短編、『私の女の実』が収録されていた。このアンソロジーのために初めて和訳されたのだそうだ。 (以下、ハン・ガンの『私の女の実』と『菜食主義者』のネタバレ感想である。) 『菜食主義者』では、植物になれない苦しさや痛さが最後まで貫かれていたから、『私の女の実』では生き生きとした植物になれてよかったと思った。 でも、先に書かれたのは『私の女の実』なんだよな。 夫とどこかで通じ合うことができ、植物になりたいという願望が叶った作品を書き終えた後に、夫と完膚なきまでに断絶し、植物になれるはずもなく終わっていく作品を書くというのは、作家の情動や表現欲のエネルギーがいかほどか、切実さがいかほどかということを感じさせる。何かを削るようにして書いていることが分かる。
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引きこもり経験者の編者が引きこもりをテーマに編んだアンソロ。12編。 普段はなかなか読まないタイプの話が読めるのが楽しいよね。 おもしろかったのは「凍った時間」と「フランケンシュタインの方程式」かな。 星新一先生の「凍った時間」は星新一らしさ全開で好き。ラストの報われない感じもい...
引きこもり経験者の編者が引きこもりをテーマに編んだアンソロ。12編。 普段はなかなか読まないタイプの話が読めるのが楽しいよね。 おもしろかったのは「凍った時間」と「フランケンシュタインの方程式」かな。 星新一先生の「凍った時間」は星新一らしさ全開で好き。ラストの報われない感じもいい。 「フランケンシュタインの方程式」はバカミスならぬバカSF(そんなのないかな)でものすっごく軽くて読みやすい。もうね、酸素ボンベが味噌になっていた時点で笑っちゃった。笑いごとじゃないけど。 でも、印象に残ったのは「私の女の実」この話、すっごい印象に残る。読んでいるときもイライラするし、読後感もよくないんだけど、なんかいつまでも棘が刺さっている感じ。 再読していいなぁっと思ったのは「静かな水のほとりで」かな。自分の生活スペースに名前つけて、ロボットにも名前つけて、三人(?)でのんびり過ごす毎日。うん。なんか、主人公はきっと最後まで幸せだったんじゃないかなぁと思う。
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タイトルだけで買った本 装幀もキリッとしてて好み アンソロジーって読んだことなかったかも どのお話もよかった ハンガンの話とシェクリィの話が特によい 実はどっちも読んだことなかったので 読めてよかった ドタバタしてるのもあれば シーンとしてるのもあるし バラエティーに富んでて...
タイトルだけで買った本 装幀もキリッとしてて好み アンソロジーって読んだことなかったかも どのお話もよかった ハンガンの話とシェクリィの話が特によい 実はどっちも読んだことなかったので 読めてよかった ドタバタしてるのもあれば シーンとしてるのもあるし バラエティーに富んでてうまく集めたなぁ 己の本の読み方に足りなさを感じて ちょっとしょんぼりしたりもした よかったよーって 人にオススメするほどではないので 星は4つにギリギリ届かない3つ そっと隠しときたい本みたいな… そんな感じ
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編者 頭木弘樹(かしらぎひろき) 大学三年の時に難病に罹り十三年間ひきこもり生活を送られた編者が、ひきこもることで気づくことを描いた文学を編纂 編訳書『絶望名人カフカの人生論』 アンソロジー本『絶望図書館』 を読了していた 収録作品 萩原朔太郎 死なない蛸 フランツ・カフカ ...
編者 頭木弘樹(かしらぎひろき) 大学三年の時に難病に罹り十三年間ひきこもり生活を送られた編者が、ひきこもることで気づくことを描いた文学を編纂 編訳書『絶望名人カフカの人生論』 アンソロジー本『絶望図書館』 を読了していた 収録作品 萩原朔太郎 死なない蛸 フランツ・カフカ ひきこもり名言集 立石憲利編著 桃太郎(鬼退治に行かない) 星新一 凍った時間 エドガー・アラン・ポー 赤い死の仮面(既読) 萩原朔太郎 病床生活からの一発見 梶尾真治 フランケンシュタインの方程式 宇野浩二(大正文学) 屋根裏の法学士 ハン・ガン 私の女の実 ロバート・シェクリイ(アメリカSF小説) 静かな水のほとりで 萩尾望都(漫画) スロー・ダウン 頭木弘樹 ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話(雨月物語 吉備津の釜)
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13年間のひきこもり経験のある著者の選ぶ「部屋から出られない人のための」アンソロジー。私はひきこもるタイプではないけど、今までにない視点で物語を読むことができて、とっても満足です。 引き篭もり止めたら、こんな楽しいことがあるよ、というような物語は12のうちひとつもありません。引...
13年間のひきこもり経験のある著者の選ぶ「部屋から出られない人のための」アンソロジー。私はひきこもるタイプではないけど、今までにない視点で物語を読むことができて、とっても満足です。 引き篭もり止めたら、こんな楽しいことがあるよ、というような物語は12のうちひとつもありません。引き篭もるとこんな新しい発見があるよ、という話がほとんどです。ひきこもり部外者には、ひきこもりたちの声にならない声の代弁を聴いた気になります。朔太郎やカフカや星新一やポーや萩尾望都が、代弁をやってくれている。 私としては、岡山在住の日本民話の会会長立石憲利さんが採取した「鬼退治に行かない桃太郎」がお気に入り。完全岡山弁で、みんな意味わからんところもあるじゃろうけど、とっても身近じゃった。 萩尾望都の「スローダウン」(1985.1発表)。一度読んだはずなのに、ひきこもり漫画として紹介されると、おゝそういう見方もあるのか!と発見。その見方から見ても物凄く秀逸な作品なんだとビックリしました。五感全ての感覚を遮断した部屋で暫く過ごさせる実験。それをやると、「現実感覚」が変化していく、と頭木さんは言います。そういう時にふっと現れた「人の手」が特別なものになるという。頭木さんは、「どうしてあの感覚がわかるのか」「天才恐るべし」と書いています。「一度きりの大泉の話」を読んだ今、なんとなくわかる気がするのです。 「小説を読んで、心に残るフレーズがひとつでもあれば、それはもう読む価値はあった」と頭木さんはいいます。大きく肯首します。アンソロジーというものは、それを手助けする格好の方法だろう、と思います。頭木さんが多くのアンソロジーを編んでいるのはそういうことなのでしょう。 本書は、ひきこもりの方も読めるように、本と電子版同時発行だそうです。
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