あと十五秒で死ぬ の商品レビュー

榊林銘(著者)

2022/01/14

１５秒後に死ぬ、という状況設定でまとめた短編集。
残された１５秒で時を止めつつ、自分を撃った犯人に反撃できるかという「十五秒」、首がとれても１５秒間は生きていられる人々が住む島で起こった「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」など、荒唐無稽でご都合主義ではあるが、よくこんなことを考えつくなと感心した。特に「首が取れても〜」は光景を想像するとシュールで爆笑。面白かった。

2021/12/20

今年のこのミスで知って気になったので。十五秒にまつわる短編集。これがデビュー作らしいが『十五秒』と『首が取れても死なない僕らの首無殺人事件』は強烈におもしろくて、新人とは思えないレベルの怪作だと思う。特に『首が取れても死なない』の終盤は爆笑ものなので必読。
ただ、残りの二短編はインパクトがやや弱かったのが残念か。次回作を期待して待ちたい。

2021/12/16

死に直面した15秒間のラストアクション。
テレビドラマの見逃した15秒間に起こっていたこと。
15秒間のお別れで選ぶ言葉。
死なない為の15秒ルール。
ぜんぜん毛色の違う四篇で15秒の可能性を表現したその発想の自由さ！奇想の愉しさ！次作が楽しみ。何が出てくることやら。

あまりにもシチュエーションがトリッキー過ぎて今まで読んだことない感じもあり、ときどき「これは今なにを読まされているんだろう？」と素面になっちゃうみたいな場面もあったけど、最後まで読み通すと「残された15秒間で何ができるか、何を成し遂げるか」という意志が立ち現れて感動した。
ただ過ぎ去るだけじゃない15秒間。
テレビドラマの話が一番好きかなー。
首切り特殊設定モノのナンセンス感もすごい。

2021/11/13

平成後期のライトノベル全盛期を思い出すテンポと表現が多く、久し振りに読書をはじめようとしている方はもちろん、普段からライトノベルを読んでいる学生さんにとっても読み易いのではないでしょうか。

内容に関してはそれぞれ好みが分かれると思いますが、「あと十五秒で死ぬ」というタイトルに相応しいのは「十五秒」と「首が取れても死なない僕らの殺人事件」で、前者はややご都合主義ながらも展開のテンポ自体は良く、後者は設定が複雑になる部分がありながらもコミカルな内容でさくさく読み進める事が出来るかと思います。
個人的には最も「死」の不条理さをそのままに、「十五秒」を活かした内容であった「不眠症」が大変好みです。
「このあと衝撃の結末が」は、「死」という単語からイメージする内容とは少し違うように感じるかもしれず、人を選ぶ印象でした。

1980円を払って新書で購入する内容か、と問われれば私はＮＯと答えます。とりあえず読んでみたいのであれば先ずは図書館で借りてみて、もし気に入ったのであれば中古で安く購入する事をおすすめします。

2021/11/06

なんだか独特な空気感のサスペンス。世にも奇妙な物語のノベライズを読んでいるような。
デビュー作なのにとても完成度の高い一作。この人の次作にも期待が高まる！！

2021/11/04

設定とか最後のどんでん返し？も結構良いのに、なんか全体が読みにくかったな。文体が私には合わないのかも。

「首が取れても死なない～」は結構面白かった。

2021/10/30

タイトル通り「あと十五秒で死ぬ」ことをテーマにしたミステリ短編集。たった十五秒で何ができるのか、いやいや案外と十五秒って長いのかも？　スリリングでユーモラスな一冊です。
死ぬ直前の十五秒を使って自分を殺した犯人を告発かつ反撃しようとする「十五秒」、目を離した十五秒の間にドラマの登場人物が死んでしまった謎を突き止める「このあと衝撃の結末が」、繰り返し見る夢の意味を探る「不眠症」、どれも面白かったのですが。圧倒的なのが「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」です。
なんというタイトル……しかし実にそのまんまなんですよ！　首が取れても死なない特殊体質の人々が住む島で、襲撃された少年。首が取れても死なないのは十五秒の間だけ、というタイムリミットの中、友人の助けを借りて事件の真相に迫るミステリ。「なんだそりゃ」な特殊設定も細かくルールが指定されているので、しっかり本格。読み心地ははらはらどきどきでサスペンス感抜群なのですが。あまりにシュールでユーモラスな読み口に抱腹絶倒です。ラストの巡査の活躍にはもう大笑いでした。素敵すぎる。

2021/10/17

どの話も面白かった！たしかにどの話も「あと十五秒で死ぬ」ミステリなんだけど、そのバリエーションには驚く。短編映画のアンソロジーを見ているようだった。

一番最後の「首が取れても死なない僕らの首無し殺人事件」では、読みながら思わず吹き出してしまった。文章や話の流れの小気味良さが気に入った。

一方、「不眠症」には、全体を通してなんとも言えない切なさがあった。特にあのラストは…。それでも、母子の愛情の温かさは確かにあって、そこに少し救われる。

2021/10/16

こういうのに出会えるから面白い。今風の題材で古典も盛り込まれた試み。過去を変える。連続テレビドラマを配信で見直すと言う状況をベースに小出しにしてくる情報からの結末は、まさに似たようなものはあったが、ここまではたどり着けなかったというような仕掛けであったように感じた。種々の無理が感じられない、形としては最良なこの種の仕掛けかと感嘆。

2021/09/18

「十五秒」「このあと衝撃の結末が」「不眠症」「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」の４編の短編集。