民主主義のための社会保障 の商品レビュー
1782 261P 香取照幸(カトリ テルユキ) 元厚労省年金局長。1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚...
1782 261P 香取照幸(カトリ テルユキ) 元厚労省年金局長。1956(昭和31)年、東京都出身。東京大学法学部卒業。1980年厚生省(現厚生労働省)入省。1982年在フランスOECD(経済協力開発機構)事務局研究員、1990年埼玉県生活福祉部老人福祉課長、1996年厚生省高齢者介護対策本部事務局次長。2001年内閣官房内閣参事官(総理大臣官邸)、2002年厚生労働省老健局振興課長、2005年厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長。2008年内閣官房社会保障国民会議事務局参事官、同安心社会実現会議事務局参事官、2010年厚生労働省政策統括官(社会保障担当)、内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)、2012年厚生労働省年金局長、2015年厚生労働省雇用均等・児童家庭局長等を経て2016年6月退官。2017年3月より在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(現職)。 民主主義のための社会保障 by 香取 照幸 ネット社会は人々のつながりを大きく広げました。今や誰でもが世界に向かって自分の考えを発信し、世界とつながることができます。他方でネット空間は一種の無法地帯、匿名性に隠れて、フェイクニュースやヘイトスピーチ、誹謗中傷が氾濫している世界でもあります。 働くか働かないか、結婚するかしないか、子どもを産むか産まないかは究極の個人の選択の問題です。私が私の人生をどう生きていくのかという問題です。いくら政府がマクロの視点で女性の就労率を上げようとしても、女性一人ひとり、つまりミクロの世界で働くことが選択されない限り、マクロの就労率も上がりません。さらに言えば、女性一人ひとりが、自らの選択で働き、同時に結婚し子育てもする、という選択をしなければ、出生率が上がることもありません。 いまや、金持ちは私立学校に行き、もっと金持ちは海外の学校に行かせます。私立学校・金持ち学校は(小学校から)ロシア語や英語で教育します。 優秀な教員は高給で私立学校に引き抜かれていきます。 他方で、公立学校に残った教員は、午後から学校で「補習」と称する私塾を開いて生徒から補習代を取って自分の生活費の足しにする。政府も教員の給与を十分引き上げることができないので事実上それを黙認せざるを得ない。そして、補習を受けないと事実上上の学校には進学できない。 自分の知らない性(自分自身の性ということもありますし、相手方の性ということもあります)を知ることが、相手の性に対する尊敬とか理解とか、そういうもののベースになるのですし、それがひいては人間理解や家族に対する愛につながっていくのではないでしょうか。 そうすれば、LGBTへの理解だって、それが「人間の個性、人権に関わる問題」だ、ということが自然と理解できるようになるのではないでしょうか。 私の尊敬する弁護士さんが、「女性を性欲の対象=メスとしか見ない思考の延長に性犯罪がある、ということを忘れてはなりません」と仰っていたことが印象に残っています。 女性を「産む性」と考える思考は、女性を性欲の対象と考える思考と、本質的に同根の思考のように思います。そんな愚かで貧しい発想をさせないために、「性教育」、特に男性たちへの性教育が必要なんじゃないでしょうか。
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前著『教養としての社会保障』から、そこまで大きく内容がアップデートされている感じではない。同様のテーマを同じ人が少し違う視点で書いている、という意味では、続けて読むと勉強にはなる(繰り返しという意味で)が。
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前著「教養のための社会保障」と被るところもあるけれど、社会保障の大切さ、その課題が分かりやすく書かれていて、もっと社会保障に関心を持たなくては(個人的なミクロ視点だけでなくマクロから)と思わされます。 日本か、こういう本がたくさん出て、たくさん買われる国であってほしいなと思います...
前著「教養のための社会保障」と被るところもあるけれど、社会保障の大切さ、その課題が分かりやすく書かれていて、もっと社会保障に関心を持たなくては(個人的なミクロ視点だけでなくマクロから)と思わされます。 日本か、こういう本がたくさん出て、たくさん買われる国であってほしいなと思います。
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日本というブランドを信じていたのですが、海外から見れば既に後進的な国である、というがハッキリ分かりました。 もらえる年金がいくらか、も大事ですが広い視野で制度や問題全体を見ないといけないと思いました。
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前作が印象的だったので読んでみた。社会保障の目的が富裕層から貧困層への所得移転である救貧でなく、社会を安定させる中間層の貧困化を防ぐことというのは目からウロコだった。 最近、良く話題になる再配分などを深く考えるヒントになると思う。
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前半は前著の焼き直し?のような印象もあったが、後半の経済の関係の分析、世界からみた日本の至らなさのくだりは、まさにその通りと感じたし、自らも大いに反省するところがあった。もはや取り組むべき方向は決まっているようにも思わされるが、実現にはたくさんの合意、調整をしていかなければならな...
前半は前著の焼き直し?のような印象もあったが、後半の経済の関係の分析、世界からみた日本の至らなさのくだりは、まさにその通りと感じたし、自らも大いに反省するところがあった。もはや取り組むべき方向は決まっているようにも思わされるが、実現にはたくさんの合意、調整をしていかなければならない。
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前著に増して憂国の感じが強い。最初から世界の市場が一つになっていることに対応した人材かぁ。耳が痛い。
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社会保障の問題は経済や社会とも関わってくることを分かりやすく解説されています。民主主義を維持するためには中間層を支えて分断を防ぐ必要があるし、国民が作り出した付加価値を分配する手段としての社会保障が重要…と理解しました。
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前著『教養としての社会保障』は、厚労省官僚として「社会保障・税の一体改革」をリードした著者が、「社会保障は経済成長のために不可欠」であるということを、 ・経済成長のためにはイノベーションが必要 ・しかし、イノベーションはむしろ失敗の方が多いのが現実 ・そこで、社会保障はセーフティ...
前著『教養としての社会保障』は、厚労省官僚として「社会保障・税の一体改革」をリードした著者が、「社会保障は経済成長のために不可欠」であるということを、 ・経済成長のためにはイノベーションが必要 ・しかし、イノベーションはむしろ失敗の方が多いのが現実 ・そこで、社会保障はセーフティネットとして、失敗しても再チャレンジできる環境を整備することで、イノベーションのようなチャレンジを促進し、経済成長に貢献する という論旨で主張した名著であり、個人的にも社会保障の意味合いを再考するきっかけとなった一冊であった。 厚労省を2017年に退官した著者による本作は、その主張をさらに推し進めている。具体的には、社会保障による低所得層への所得移転は消費需要の活性化をもたらし、経済成長の起爆剤となるというのが、本書での主張である。 また、本書では具体的な所得移転を考えたときに、企業、特に赤字によって所得税の支払いを猶予されている多くの中小企業の存在を問題視しており(このあたりは当然、デイヴィッド・アトキンソンの強い影響下にある)、全てに賛同するわけではないが、大企業・中小企業問わず、企業の社会的責任として投資や分配を今以上に義務付けべきである点には強く同意する。
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社会保障の役割は安定的な中間層の形成のための防貧にある。安定的な中間層が民主主義を支える。競走は良い。格差は課題。 さすがという感じ。勉強せねばと、思った。日々の業務に時間とエネルギーを取られすぎて、何も勉強できてない。経済と英語。社会保障。今年の目標、学ぶ。
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