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絶望死のアメリカ の商品レビュー

3.9

16件のお客様レビュー

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2021/06/12

ノンフィクションの作品。 世界恐慌で亡くなった人を描いた作品。 戦争や病気だけでない死について考えさせられた。

Posted byブクログ

2021/05/10

本書で書かれている事柄には、アメリカ特有だと感じさせることも多いが、資本主義の構造的な変化は日米に共通するものだ。 絶望死へ向かう人々が生み出したのがトランプだとすれば、彼は異端ではなく極めて正統な大統領だったのかも知れない。 金が上へ上へと流れていく、それは資本主義として当然の...

本書で書かれている事柄には、アメリカ特有だと感じさせることも多いが、資本主義の構造的な変化は日米に共通するものだ。 絶望死へ向かう人々が生み出したのがトランプだとすれば、彼は異端ではなく極めて正統な大統領だったのかも知れない。 金が上へ上へと流れていく、それは資本主義として当然のことなのかも知れないが、それが歪なまでにバランスを欠き始めている。弱者からの構造的な収奪、そんな傾向は日本にもすでに現れているだろう。日本で絶望死が増加しない可能性はない。それは少し違った形なのかも知れないが、絶望で死に至る、そんな人が増えていく。あるいはすでに増加しており誰も気づいていない、そんな気がした。

Posted byブクログ

2021/05/02

世界的に見ても死亡率が低下する中で、中年白人の死亡率が上がっている。 医療やその他の生活環境が改善されているはずなのに、何が起きているのか。 トランプ支持の基盤理解もできる。 アメリカの低学歴労働者を取り巻く問題の原因を検証しながら絞り込んでいく過程もとてもよい。 日本でも同じ...

世界的に見ても死亡率が低下する中で、中年白人の死亡率が上がっている。 医療やその他の生活環境が改善されているはずなのに、何が起きているのか。 トランプ支持の基盤理解もできる。 アメリカの低学歴労働者を取り巻く問題の原因を検証しながら絞り込んでいく過程もとてもよい。 日本でも同じことにならないようにと思うが、すでに始まっているはず。 企業内で最低賃金と最高の役員報酬の倍率制限など(20倍以内とか)法整備で対応してほしい。 労働分配率がおかしいこと、社会の富を奪っている社会コストは医療費であること(医療サービスが高額料金を設定して、莫大な利益をあげたり、不当な薬で製薬会社が利益をあげていること)、社会を支えていたコミュニティが崩壊していることなど、対岸の火事とは到底いえない。 読み終わると、危機感を感じる。

Posted byブクログ

2021/04/27

 "絶望死"、ショッキングなワードである。    一般的には、社会が裕福になると、平均寿命は伸び、死亡率は低下する。ところが、中年の白人アメリカ人の死亡率が増えていることを著者たちは知る。しかも増加率の高い死因は、自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患...

 "絶望死"、ショッキングなワードである。    一般的には、社会が裕福になると、平均寿命は伸び、死亡率は低下する。ところが、中年の白人アメリカ人の死亡率が増えていることを著者たちは知る。しかも増加率の高い死因は、自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患の3つであった。これを著者たちは「絶望死」と名付けた。そして、これら絶望死が増えているのは学位を持たない人々の間であることを、統計的に次々と明らかにしていく。    このような変化の原因は、グローバル化に伴う労働環境の変化、特に製造業労働者の低賃金化、コミュニティの破壊等がある。それでは、他の先進国ではそれほど目立った変化がないのに、なぜアメリカでは死亡率の顕著な増加という現象が起きているのか。  著者たちは、アメリカの医療制度の問題、中毒死を引き起こすおそれのあるオピオイド(鎮痛剤)の蔓延や高額な医療費と保険制度を批判の俎上に乗せる。  また、製薬会社や病院コンツェルン等が、豊富な資金力に任せて自らに有利な規制を設け、あるいは規制を緩和するよう政治家や省庁に働き掛ける、レントシーキングによる不公正に言及している。  著者たちは、資本主義や格差の存在自体は問題視しない。不公正な富の分配を是正する方策はあるということで、対策を提示する。  果たしてそれは解決策になるのだろうか。現在のアメリカの政治・経済構造の下で可能性はとても低いのではないだろうか。第16章「どうすればいいのか?」を読んで疑問を持ちながらも、いろいろと考えさせられた。  

Posted byブクログ

2021/04/07

「アメリカがグレイトであった」と感じる特定の層が確実に存在し、それが懐古幻想でも何でもなく統計的に「実際にグレイトであった」ことを証明し、かつ、そうではない層にとっては同じく統計的に「実際にグレイトでなかった」ことを同時に証明し、アメリカの中に異なる2つの別世界が在ることを論じる...

「アメリカがグレイトであった」と感じる特定の層が確実に存在し、それが懐古幻想でも何でもなく統計的に「実際にグレイトであった」ことを証明し、かつ、そうではない層にとっては同じく統計的に「実際にグレイトでなかった」ことを同時に証明し、アメリカの中に異なる2つの別世界が在ることを論じる一冊。本書と「ジョナサン・ハイト / 社会はなぜ左と右にわかれるのか」の二冊でアメリカの分断については概ね個人的に納得できたので、この問題について読むのはしばらくこれで終わりにしようと思う。大変な良書。

Posted byブクログ

2021/03/19

自分の浅はかな理解では、米国では、労働者階級の白人中高年の死亡率が高くなっている統計データを元に、白人の下流階級がいかに悲惨で、彼らが収入だけでなく自己評価も苛まれている状況を映し出す。 彼らは自殺率が高いだけでなく、薬物依存、アルコール中毒のような緩慢な死亡も多い。 つまり、自...

自分の浅はかな理解では、米国では、労働者階級の白人中高年の死亡率が高くなっている統計データを元に、白人の下流階級がいかに悲惨で、彼らが収入だけでなく自己評価も苛まれている状況を映し出す。 彼らは自殺率が高いだけでなく、薬物依存、アルコール中毒のような緩慢な死亡も多い。 つまり、自殺に至るまでの絶望感を麻薬やアルコールで紛らわしている状況らしい。 さらには、肉体労働に関係する人達が多いので、死亡に至らなくても、中高年になると心身的な痛みも感じているらしい。 トランプへの熱狂を生み出したのは彼らなわけだ。 今まで疑問に思っていたことは、日本人で米国留学したり、MBAを取得したり、TOEICの高得点を取った人達は皆、反トランプで、バイデン支持だったのに、実際の米国ではトランプの投票率が異常に高かったこと。 トランプを支持した米国人がどんな人達なのか、日本から見えないし、米国を知っている日本人の人達からもその説明はいくら聞いてもわからない。 たぶん、米国留学やMBAを取った日本人は、米国の新上流階級の人達と親しく、彼らと同じ価値観なので、それと相容れない白人の労働者階級の人達と交わることはなかったのだろう。 そんなことを思うと、まだまだ米国を知らないし、米国が色んな意味で世界の最先端を進んでいることを思うと、日本でもそういう未来が近いのかもしれないのかなと思う。

Posted byブクログ