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アーカイブの思想 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2023/12/05

 西欧において「知」と併走してきた図書館やアーカイブにまつわる思想を分析したのち、それと比較するかたちで日本における「知」の在り方について検討した書物。  前半部は西欧の知性史として、古代から現代にいたるまでの知の伝統について「ロゴス」と「パイデイア」をキーとしながらその基盤およ...

 西欧において「知」と併走してきた図書館やアーカイブにまつわる思想を分析したのち、それと比較するかたちで日本における「知」の在り方について検討した書物。  前半部は西欧の知性史として、古代から現代にいたるまでの知の伝統について「ロゴス」と「パイデイア」をキーとしながらその基盤および変遷を駆け足ながらも幅広く辿る。そこに見いだされたアーカイブをめぐる思想をもとに、後半部では日本に場を移し、西欧と対照的に知的インフラを重視しなかった近代以降のこの列島における「知」の歪みについて厳しく言及していく。  

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2022/10/30

図書館情報学のお話 レガシーとしての記録 読書メモもこの考え方で蓄積するといいのかもしれない。 “ここでアーカイブというのは、後から振り返るために知を蓄積して利用できるようにする仕組みないしそうしてできた利用可能な知の蓄積のこと 9

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2021/05/16

4月から休日を使って読み始め、GWで一気に読んだ。 抜群に面白かった。 この著作によれば、図書館の初発はやはり学術図書館、ということになるだろう。 それが「知」というものが、社会構成員に共有されるため(あるいは「されることになって」)公共図書館というものが生まれるという系譜をたど...

4月から休日を使って読み始め、GWで一気に読んだ。 抜群に面白かった。 この著作によれば、図書館の初発はやはり学術図書館、ということになるだろう。 それが「知」というものが、社会構成員に共有されるため(あるいは「されることになって」)公共図書館というものが生まれるという系譜をたどるのだろうと思う。第6講「知の公共性と協同性」はそこへ向かうパートだったと思うのだが、本著作ではそこまでの展開はなかったと思う。もともと本著作ではそこまでは意識されていなかったのかもしれない。 にしても、この内容が大学生を相手にした授業向けに書かれたということだが、20歳前後の若者は、これを咀嚼することができたのだろうか? 読む(享受する)側にも、相当の教養が求められると思う。 が、この著者でなければ書けない著作だと思うし、構成としても索引がしっかりしていること、参考文献が豊富に示されていることがありがたかった。 西洋の知的系譜に疎い私は、最初の「パイデイア」とは何なのか?というレベルであったが、読み進めるうちに、わからないところは索引からそれが書かれている場所へ誘導され、大変救われた。

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2021/10/14
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アーカイブ 知を蓄積して活かす  図書館の役割 arch- 権力の源泉 アメリカ国立公文書館 独立宣言、合衆国憲法、権利章典 大統領図書館 歴代大統領の執務記録や公文書  日本で外国から入る知を流通させるには出版市場の活性化、図書館ではない  日本古来=ひらがな +中国文化=漢字 +欧米文化=カタカナ、アルファベット ロゴス=秩序や法則  プラトン:著書無き 師ソクラテスとの問答を記録 パイディア=よき人生を全うするための知≒教養  アリストテレスが展開  11世紀の十字軍遠征   より優れたイスラムアラビア文化に対比 アラビア数字 10進法  古代ギリシアの哲学科学が復興 ルネサンスもアラブへ移入されたものの再翻訳 17世紀 デカルト 新しい知の方法 19世紀 資本主義経済  書くという行為 平らなものに印をつける 人為的歴史的につくられたもの  音声と文字が対応しやすい西洋語  変換とういう間接的なひと手間ある中国語や日本語に違い 活版印刷 統治言語ラテン語から俗語で読む聖書が配布 ルターの宗教改革へ  17世紀中ごろ 各国語へ カトリックの国は19世紀後半に識字率が急上昇  カトリックの修道院で学術活動としての図書室  18世紀後半から図書館は国家の研究機関として教会と別に発足 12世紀 黙読への転換 声を出して読むことは はなしことばの再現  ユーグ「学習論」 記憶の道具へ 段落、ページの概念導入  16世紀16世紀 書誌 書物の目録 アルファベット順、体系的   12世紀 大学や図書館設立 公衆へ 1751年「百科全書」 ダランベール 体系知とディドロ 編集知 クロスレファレンス  18世紀 産業革命 知が産業資本へ 19世紀後半 アメリカの大学 教育と研究の組み合わせ  講義の拡張としての文献購読 そのための図書館  言論表現の自由 広場での演説、劇、音楽 欧米    構成主義 探求的教育 知は外部にあり リテラシーを駆使する力=能力 中国~日本 系統主義 官僚採用試験の影響 FRBR 国際図書館連盟IFLA 書誌レコードの機能要件 1997年 書誌の過程を記述 IFLA LRM あらゆる知的コンテンツのメタデータ化 西洋近代主義の伝統 NDC 日本十進分類法 1928年  明治維新 制度化された科学技術の導入 実利主義  天皇制による祭政一致の体制  徳より出世  西洋は近代国家の前に大学存在し 学問の自由    知の在り方を欧米に求め、国内に配布  知の基盤の人文主義的なロゴスとパイディアは移転せず  欧米の倫理と宗教を天皇制で方法化  書物に書かれていることを著者の意図通りに読みとる受動的な読者  カノン(正典)としての万葉集 明治中期に近代教育の手段として使用   アーカイブを参照しながら自らの考え方を形成するタイプの知は形成されない 日本独自のロゴス   相互主義、マルチメディア性、書き言葉と話しことばのギャップ 未解決なデータ利用  個人や組織のデータを機関や研究者が個別管理集計し外部公開、論文化  →いつの間にか収集、蓄積され活用されるビッグデータになる時代へ   知の連動 ネット社会では柔軟なものを要求される

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2021/04/25
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※このレビューにはネタバレを含みます

 教育論、言語論等を含む「知」に関するギリシアのアリストテレスから新型コロナウイルスによる社会変化までを外観するという斬新な本。過去に紡がれた「言葉」=「世界」なのだからアーカイブが重要ということだろう。  「なぜアーカイブが必要か」という問いについて広範囲に渡り思慮し、十分掘り下げたことがある筆者ならではの端的に語っていくというスタイルなのでとても読み易い。漫画雑誌の少年ジャンプの連載にも似たスピーディな展開は爽快。  グラフィックレコーディングを生業としているとどうしても、何かを他社に伝えるというコミュニケーション、学びという分野についてそれ学び続ける覚悟がいる訳だが、その点を示唆する人もおらずいろいろと文献を読み漁る間に、ピアジェ、ヴィゴツキー、果てはヴィトゲンシュタインにまで及んでいたのだが、結果としてこの本に大抵のことは言及されており、自分がこれまで学んでいたことがそれほど外れてはいない、ということが確認できたのは非常にありがたかった。  この本の制作過程には新型コロナウイルスに伴う学校環境の変化というものがあったようだがそれも相まってシャープな筆致になっているのであれば、このスタイルは取り入れるべきものと思う。ある意味で「対話」の重要性に改めて気づくものでもあった。

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2021/04/03

『#アーカイブの思想』 ほぼ日書評 Day377 純粋な教養書。おそらく日々の仕事に直接役に立つことは少なかろう。が、第一章(構)、のっけから、アーカイブとは何か、ドキュメントとは何かの議論は面白い。通常ドキュメントと言うと紙(最近はデジタル化されたものも含む)の文章をイメー...

『#アーカイブの思想』 ほぼ日書評 Day377 純粋な教養書。おそらく日々の仕事に直接役に立つことは少なかろう。が、第一章(構)、のっけから、アーカイブとは何か、ドキュメントとは何かの議論は面白い。通常ドキュメントと言うと紙(最近はデジタル化されたものも含む)の文章をイメージするが、博物館に収められた石ころや、動物園にいる動物もメタデータが2人記号化された時点でドキュメントとなると言うのである。 そして、日本文化の3層性、ひらがな、漢字、カタカナ及びアルファベット。言い換えれば、日本古来の言語、中国語、外来語。このレイヤーを持っていることが「和魂洋才」のようなことを何の衒いもなくできてしまう日本(人)のアドバンテージか?! 知をいかに記録し、その恩恵に与する範囲をいかに広めるかについての人類の試みの歴史。 冒頭、純粋な教養書と書いたが、翻訳書ではない本文300ページの書を、税込ほぼ4000円で刊行せざるを得ない、みすず書房さんも、大変な時代になっているなあ。 https://amzn.to/3fDJhkz

Posted byブクログ

2021/04/01

出版や教育費、IT、哲学などをアーカイブという視点で解説しており、ありそうでない内容。比較的読みやすいと思う。

Posted byブクログ