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最後の人声天語 の商品レビュー

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2024/04/13

こんなに選民意識をこじらせた人だったっけ。『某大書店で信じられない言葉を耳にした』(pp158-161)に出て来る書店員さん、まったく悪いことをしていないし、むしろ丁寧に接客してくれているのに、著者の偏見で、ウソをついただの劣化だの、多くの人の目に触れる週刊誌連載で罵倒されてとて...

こんなに選民意識をこじらせた人だったっけ。『某大書店で信じられない言葉を耳にした』(pp158-161)に出て来る書店員さん、まったく悪いことをしていないし、むしろ丁寧に接客してくれているのに、著者の偏見で、ウソをついただの劣化だの、多くの人の目に触れる週刊誌連載で罵倒されてとても気の毒。タイトルでは「某大書店」としておきながら本文では店名も最寄り駅もしっかり書いているのがまた陰湿。ほかのページでも、著者の怒りよりも、その理不尽な怒りをぶつけられている人たちに共感してしまう。

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2021/09/26

月刊連載エッセイの最後の数年分が掲載年月順に読めるので、ついつい亡くなるまでのカウントダウンのように読んでしまう。このときこんなことを思っていた人が急にいなくなるのはどういうことなのかと。亡くなる直前の最後の一篇もそうだが故人を偲ぶ文章も多いのでなおさら。大相撲や東京の風景、世相...

月刊連載エッセイの最後の数年分が掲載年月順に読めるので、ついつい亡くなるまでのカウントダウンのように読んでしまう。このときこんなことを思っていた人が急にいなくなるのはどういうことなのかと。亡くなる直前の最後の一篇もそうだが故人を偲ぶ文章も多いのでなおさら。大相撲や東京の風景、世相などについて回想を交えながらの素直でかつ洒脱な文章は心地よい。

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2021/06/13

本当に突然亡くなられたことが ギリギリまで掲載されていた 原稿でわかる。 きっとご本人もまだ夢の中。 論調は決して好きなほうではないけれど 取り上げられている題材が興味をひく。 そんな評論家さんでした。

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2021/05/25

うかつなことに 坪内祐三さんが早逝されていたことを 知らなかった 「人声天語」が新書化されるたびに 楽しませてもらっていました その軽妙な語り口と その背景にある知識の豊富さと 日々の出来事への鮮やかな切り口が 楽しみでした それにしても 坪内祐三さん… 早すぎる… 最後の...

うかつなことに 坪内祐三さんが早逝されていたことを 知らなかった 「人声天語」が新書化されるたびに 楽しませてもらっていました その軽妙な語り口と その背景にある知識の豊富さと 日々の出来事への鮮やかな切り口が 楽しみでした それにしても 坪内祐三さん… 早すぎる… 最後の章(2020年三月号)に カットを描いておられた 文・中野翠さんの 「ツボちゃん、  ほんとうに逝っちゃたんだね」 が切ない

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2021/08/30

2020年ショックだったことのひとつに本書の著者坪内祐三氏とCMプランナー岡康道氏のふたりの死がある。61歳と63の早逝。あまりにも若い。若すぎる。その坪内祐三氏が亡くなってはや1年。なんと言っても死のショックを受けているのは、ご本人のはず。 本書のあとがきで、 中野翠さんが明...

2020年ショックだったことのひとつに本書の著者坪内祐三氏とCMプランナー岡康道氏のふたりの死がある。61歳と63の早逝。あまりにも若い。若すぎる。その坪内祐三氏が亡くなってはや1年。なんと言っても死のショックを受けているのは、ご本人のはず。 本書のあとがきで、 中野翠さんが明かされているのがそれを物語る。告別式当日は著者自らチケットを手配、中野翠さんと泉麻人さんらと連れ立って両国に大相撲初場所の観戦日だったと。 著者は大相撲の開催を告げる触れ太鼓を聞きたさに、初日前日にはわざわざ湯島の馴染みの居酒屋へ足を運ぶほどの好角家だっただけに、気の置けない仲間との相撲見物で、酒を飲りつつウンチクを垂れている姿が浮かんでくる。 その相撲好きは本書は随所に出てくる。贔屓の稀勢の里への惜しみない激励、気難し屋を通り越し胡散臭さを漂わす貴乃花親方に対する辛辣な見解、日馬富士による貴ノ岩への暴行事件に潜む温床の指摘…等、好きが高じて語るレベルを遥かに超え、僕の中では北の富士さんの相撲評に並ぶ実に興味深い評論を連発されていた。 本書は月刊『文藝春秋』に2003年から続く長期連載の随筆より、2015〜2020年までを収録。テーマは大相撲の他、古書・洋楽・名画座・昭和の映画スター・街歩き・東京の消えゆく街並み…など興味の裾野は広く、一編一編が実に滋味深い世相評論で通好みの渋いところに視線が注がれている。 その知識の供給源は、文学を背景にした広範な知識もあるが、何と言っても圧倒的かつ正確な記憶力。そこに雑誌「東京人」の編集者経験者も手伝い、街ネタにも通暁。ゆえに他人の記憶違いや思い込みには容赦なく筆誅を食らわす。 2019年と2020年の平成から令和の間際には、『死』についてのふたつの随筆を綴る。とりわけ絶筆となった2020年2月号に寄せた〈和田誠さんとお話したかったこと〉には、2019年が『死者の当たり年』だったという書き出しで始まる。 要は先の戦争から復員した人は90歳以上まで生き、それ以下の生まれの人は85歳の壁があり、平均寿命は伸びているが、『死亡年齢』は下がってきていると、各界の数多くの物故者の逝去時の年齢を列挙し考察。面白い見立てだけど、それを指摘したご本人が亡くなってしまい、あんぐり。 それにしても、著者の様に東京を、移り行く街の表情を題材に洒脱に書く書き手は今や稀有。昭和の頃には数多くいた。常盤新平・川本三郎・田中小実昌・殿山泰司・池波正太郎・向田邦子・なぎらけんいち・泉麻人…。そのほぼ最後尾にいた著者が天国にいる先輩のところに駆け寄ってしまった。 高度成長の象徴であった1964年の東京五輪を知る著者に2020五輪が開催されるにせよ、中止になるにせよ、東京には五輪の残滓が濃厚に残るのは必至。それを抱く超成熟国家日本の首都 東京がこれからいかに凌いでいくのか…その実況を坪内節で聞きたかったな。残念無念。

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