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慶応三年生まれ七人の旋毛曲り の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2023/06/25

作者の知識量の多さと、文章力の高さゆえか、延々読んでいても苦にならなかった。面白かった。 丁度良い所で切れたので、続編があるのかな……と思ったら、これで終わりとのこと。もうちょっと読んでいたかった。残念。

Posted byブクログ

2020/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

登録情報としては「文庫」になっているのだが、自分が読んだのはマガジンハウスから出ているハードカバー。なぜかブクログではハードカバー版の検索が出ないので、ここに書評を書いておく。 著者によると、多くの有名作家たちが誕生する「当たり年」というのがあるらしく、アメリカではそれが1850年から55年と1900年前後にあたるらしい。 そして日本では、本著のテーマである慶應3年(1867年)に、サブタイトルにある7名の文壇人が生まれているとのこと。最序盤の章で、各自の没年が列挙されており、最も早逝の正岡子規が34歳、最も長寿の宮武外骨が88歳まで生きたことが分かり、同じ時代に生まれた人でもこうも生き方が違うのか、と驚く。また、ほぼ同じ場所において、誰が最も神経衰弱の気質であったか、誰が最も適当であったかというあたりもまとめられており、そういった視点で見ていくと、著名な文化人たちが少し身近に感じられて面白い。 7人の幼少期から話は進み、東京に全員が揃うタイミングがあったこと(非常に短かったようだが)、各自が学校や社会で多少なりとも関係し合っていたことなどが綴られていく。彼らが生きた時代は日本が明治、大正と大きく変容していった時代でもあるため、大日本帝国憲法の発布の時期にそれぞれが何をしていたか、といったあたりもかなり詳しく書き込まれている。 そして、500ページ超を費やし、明治20年代に突入したあたりでこの本は唐突に終わる。著者によると、「時代が落ち着いてしまい、面白さの可能性が停滞していく」時期であるため、らしい。ただ実際のところ、この本が終わった時点ではまだ子規すら生存しており、他の6人に至っても一般的に知られているような著作を著し、名声を得ている者はほぼおらず、その点で読み手としては消化不良の感が拭えない(むしろ、この時点でそれらを得ている紅葉や露伴が早熟だったということか)。 ただよくよく考えれば、明治、大正を代表する文化人たちの足跡や生き様について、7人分をまとめて本にしようということ自体、無茶と言えば無茶でもある。それは分かったうえで、それでももう少し後の時代まで、彼ら7人の生き方や懊悩を教えてほしかった、という残念な気持ちが残るのも事実なのである。

Posted byブクログ