手話の学校と難聴のディレクター の商品レビュー
明晴学園の短い紹介動画を見たことがあり、そこに映っていた子供たちの、とにかく明るく楽しそうな様子が印象に残っていて本書を手に取った。 手話で話す人は表情豊かだと思っていたが、補助的なものではなく、顎や眉の動かし方で意味が変わるというのは初めて知った。 第一言語(母語)を獲得するこ...
明晴学園の短い紹介動画を見たことがあり、そこに映っていた子供たちの、とにかく明るく楽しそうな様子が印象に残っていて本書を手に取った。 手話で話す人は表情豊かだと思っていたが、補助的なものではなく、顎や眉の動かし方で意味が変わるというのは初めて知った。 第一言語(母語)を獲得することは思考能力を育む上で大変重要だと思っているので、明晴学園の教育方針には賛同している。卒業後、聴の世界に出たらどうするのかという批判はやはりあるようだが、それについていくつかの答えは本書に登場する子供たちが出している。学校生活の体験はその後の人生に大きく関わるので、未来を見据えすぎるよりのびのびと母語で過ごした方が単純に良いのではと思った。 生徒たちが日本語で書いた作文は拙いというか自然じゃない部分があり、日本手話と日本語が別言語であるということがよくわかった。 (疑問:今度調べたい) 聴者の家庭に生まれたろうの子はどうやって日本手話を身につけるのか。日本語対応手話なら聴者の親もなんとか身につけられる気がするのだが、文法が異なる日本手話は難しいのではないか。母語の獲得=日常的に聞く(見る)ことが必要だと思うので、一体どのようにしているのだろう。それともろう者は全員日本手話が話せるわけではないのだろうか。 ニュースの手話通訳は日本手話と日本語対応手話どちらなのか。
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NHKの難聴のディレクターが著者。 第一言語である日本手話で学べる、日本唯一の学校、明晴学園。 静かでにぎやかな世界 日本手話がわかる人にとっては、本当ににぎやかで子供たちの笑顔が絶えない。でも日本手話がわからない人にとっては音声を発しないとても静かだと感じる。 北海道のろう学校で色々と問題が起こっているが、第一言語で学べる学校が増えることを願う。 それが子供にとってどれだけ大切な場所なのか…
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去年刊行されてわりとすぐ買ったのに、読み始めるまでに丸1年かかってしまった。でも読み始めたらすぐにひきこまれ、あっというまに最後まで読んでしまった。主題となっているETVの番組を見逃しているのがくやまれてならないが、いずれ再々放送などで見る機会がめぐってくると信じたい。 制作日誌...
去年刊行されてわりとすぐ買ったのに、読み始めるまでに丸1年かかってしまった。でも読み始めたらすぐにひきこまれ、あっというまに最後まで読んでしまった。主題となっているETVの番組を見逃しているのがくやまれてならないが、いずれ再々放送などで見る機会がめぐってくると信じたい。 制作日誌の形で、カメラ、編集、プロデュースにかかわったスタッフや取材対象となった生徒のインタビューもはさみながら、ひとつの番組を完成するまでにディレクター(筆者)がどう考え、取材をしたりチームのスタッフと意見を交換したりしてきたかと同時に、試行錯誤や葛藤を経た著者の精神的な成長も描かれている。 明晴学園の理念と取り組みは、一語学教師としても、共感すること、学ぶことの多い内容だった。「言葉」を学ぶということ、教育による「成長」のひとつの理想を見せてもらい、これからは手話で生きる人をはじめさまざまな母語で生きる人が萎縮しないで堂々としていられる社会にしていかなければ、と改めて思った。
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日本で唯一日本手話で学べる学校を取材したのは難聴のディレクターだった。 【瞬読72冊目毎分7000文字】 瞬読会員、アサカツメンバーの河上さんお薦めの本。 ETV特集「静かでにぎやかな世界」制作日記。 子供たちは手でしゃべる。 「世界は一つなのに学校を出ると分かれてる。ふしぎ」 音がなくて番組として成り立つか?ナレーションは入れるか?→感情は表情に現れる。手話はわからなくても感情は読める。通訳のタイムラグなく表情を取ることができた(カメラマン) 「聞こえるようになる薬があったら飲みますか?」 ☆色々な意見が出たが、驚く答えが多かった。 ここはサンクチュアリ。外に出たら障害がたくさんある。 ☆一つ一つを共に解消していく努力をしていく必要があると感じた。
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この本を読むまで、障がいの社会モデルという考え方が定義的な理解で留まっており、それがつまりどんな意味なのか掴みきれていなかった。しかし、この本の一節の「障害は自分のなかにあるのではなく、目の前にある壁そのものが障害だった。どけてほしくて、悲しくて、涙がこみあげてきた。」という著者...
この本を読むまで、障がいの社会モデルという考え方が定義的な理解で留まっており、それがつまりどんな意味なのか掴みきれていなかった。しかし、この本の一節の「障害は自分のなかにあるのではなく、目の前にある壁そのものが障害だった。どけてほしくて、悲しくて、涙がこみあげてきた。」という著者の経験に根ざした言葉がとても刺さって、障がいの社会モデルの意味するところが腑に落ちた気がする。 引用した一節は本の序盤に登場するが、ここから、著者と周りの人の協働により作品を作り上げるまでのプロセス1つ1つはとてもダイナミックで、一気読みしてしまった。番組は見ていないけれど、元気はつらつとした子どもたちの様子が思い浮かんで、まるで本に登場する人々に出会ったかのように錯覚してしまうところもこの本の大きな魅力だと思う。 今は感動する話として受け止められる内容だけれども、時を経て、将来この本を読む人が「障がいを持っているだけで、働くのが大変だった時代があったのか…」と逆に驚いてしまう未来が早く来たらいいな、とも願ってしまう。この本はきっと、そんな未来に繋がっていると思う。
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ろう者に憐れみの感情を向けさせたいのではなく、人の個性として、その生き方に誇りを持ってる人として描く。 一人一人には”違い”があり、各々がそれを楽しみ、互いに尊敬し、一緒に生きようとする気持ちを作るために作った番組。 本文では簡単に書いているけれど、これを映像で伝えるってもの...
ろう者に憐れみの感情を向けさせたいのではなく、人の個性として、その生き方に誇りを持ってる人として描く。 一人一人には”違い”があり、各々がそれを楽しみ、互いに尊敬し、一緒に生きようとする気持ちを作るために作った番組。 本文では簡単に書いているけれど、これを映像で伝えるってものすっごく難しいことだと思う。作り手として尊敬します。すごくフラットでした。長嶋さんをはじめ、多くのひとの気持ちが載った番組だったからできたのだなあと思いました。 制作の際に、自分の思い込みをどうやって取り払ったのか。もう少し詳細に長嶋さんに聞いてみたいと思いました。
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相当よかった。要点をまとめるなら、「著者は、誰かの可能性について、その人だからわかることがあるをことを理解した」という話であると思う。 ろう者の著者が、ろう学校のドキュメンタリーを撮るなかで、ろうの学生がろうであるなかに可能性を見出していることを知り、また聴者の視聴者や他のディ...
相当よかった。要点をまとめるなら、「著者は、誰かの可能性について、その人だからわかることがあるをことを理解した」という話であると思う。 ろう者の著者が、ろう学校のドキュメンタリーを撮るなかで、ろうの学生がろうであるなかに可能性を見出していることを知り、また聴者の視聴者や他のディレクターなどが、ドキュメンタリーを受けて何ができるのか問われ、それに対して応えていくことができることを知った。 気を遣って、聞かない方がいいことや、ここまで踏み込まない方がいいこと、という壁を自分で作りがちだが、大方の予想に外れて本人はもっと可能性を持っていたりする。そのとき、当然信頼関係がある上で、だが、一歩踏み込んでいい、と勇気づける。著者がろう者と聴者と両方いたからこのドキュメンタリーができたと語るのは、まさに両方の視点で両方の可能性を広げるドキュメンタリーとなったからだと思う。 多様性は、違いのある人間がお互いの可能性を問いかけ、お互いにこれを広げ合うことができるという意味で面白いと思った。 あとめっちゃ単純に、日本語対応手話と日本手話が別物で、かつ日本手話は日本語と別文法の別言語で、日本語に訳すのが結構難しいということも知り面白く、また勉強になった。さらに、この本のクライマックスの一つであると思うが、「耳が聞こえるようになる魔法の薬があるとしたら、飲みたいか」という問いかけに対するろう学生たちのこたえは当然のことでありながらも、自分の常識を反省した。 読みやすさ、見聞を広げてくれる、視野を広げてくれる、重要なテーマを扱っている、などの点でとても良い本である。
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「静かでにぎやかな世界」 手話の世界をとてもよくあらわしている言葉だと思います。 私も昔、手話に関わったことがありますが当時も今も日本手話と日本語対応手話の違いですら多くの人がわかっていない。 この本で紹介されている明晴学園は日本手話を第一言語とした学校であり、国内唯一とも...
「静かでにぎやかな世界」 手話の世界をとてもよくあらわしている言葉だと思います。 私も昔、手話に関わったことがありますが当時も今も日本手話と日本語対応手話の違いですら多くの人がわかっていない。 この本で紹介されている明晴学園は日本手話を第一言語とした学校であり、国内唯一とも言える存在です。 難聴であるディレクターの視点からみた手話の世界というのは興味深かったです。
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後半の番組の制作の部分は、実際に放送された番組の内容に近かったから、見たことない人はより楽しめるかも。 手話の世界に触れたことがない人でも、日本手話と日本語対応手話の違いについて、難聴であるものの手話は詳しくない作者の経験を元に解説されているから簡単に理解できると思う。 明晴学園...
後半の番組の制作の部分は、実際に放送された番組の内容に近かったから、見たことない人はより楽しめるかも。 手話の世界に触れたことがない人でも、日本手話と日本語対応手話の違いについて、難聴であるものの手話は詳しくない作者の経験を元に解説されているから簡単に理解できると思う。 明晴学園で手話を第一言語に自分の意志をもつ子どもたちを感じて、改めて言葉の持つ力について考えさせられた。
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