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100分de名著 資本論 カール・マルクス(2021年1月) の商品レビュー

4.3

59件のお客様レビュー

  1. 5つ

    26

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

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2021/02/18

資本論、マルクスの思想について、こんなに分かりやすい解説を読んだことがなかった。 マルクスは、「囲い込み」によって資本家に奪われた「コモン」を取り戻すことを通して、新たな社会のカタチ(=コミュニズム)を提示した、というのは、目が開かれたような気がした。 堅苦しい社会主義国家論...

資本論、マルクスの思想について、こんなに分かりやすい解説を読んだことがなかった。 マルクスは、「囲い込み」によって資本家に奪われた「コモン」を取り戻すことを通して、新たな社会のカタチ(=コミュニズム)を提示した、というのは、目が開かれたような気がした。 堅苦しい社会主義国家論ではない、グランドセオリーのベースになる読み方なのかもしれない。

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2021/02/17

今の社会構造への解像度が高くなって非常に面白かった。 お金起点になってしまっているからこんな歪んだ世界になってしまったのだし、そこからの資本家と労働者の関係は今でも続いている。 今の社会の分断された仕事とか、効率化を目指すところとか、そもそもは資本家の利益をあげるところから。イノ...

今の社会構造への解像度が高くなって非常に面白かった。 お金起点になってしまっているからこんな歪んだ世界になってしまったのだし、そこからの資本家と労働者の関係は今でも続いている。 今の社会の分断された仕事とか、効率化を目指すところとか、そもそもは資本家の利益をあげるところから。イノベーションは人を楽にすると思いきや、労働時間は減らず、むしろ仕事の意味を削がれたせいで、精神的にはキツくなっている。 こんな世の中で労働者が元々の意味を取り戻すにはどうすればいいのか?共産主義になろうってのは安直でむしろこの資本主義の上に成り立つ形を模索してくところがまた良い。 計画と実行を統合したり、自分が主体的な立場を目指すこと。 共有財を作ってこってのも最近のシェアリングと近い概念な気がしてきた。 資本主義に絡め取られないように、まずは労働者自身が思考できることから始めないといけないね。

Posted byブクログ

2021/02/15

会社員になる前に読んでいてよかった。 この本に出てくる取り組みを後追い取材したい。10年単位とかで。 ●うなずけた点、抜粋と落書き ・資本家すら資本の増殖を止められない ・ギルドでは労働の構想と実行が守られていたことで労働環境と仕事が守られていた ・労働者が労働から抜け出...

会社員になる前に読んでいてよかった。 この本に出てくる取り組みを後追い取材したい。10年単位とかで。 ●うなずけた点、抜粋と落書き ・資本家すら資本の増殖を止められない ・ギルドでは労働の構想と実行が守られていたことで労働環境と仕事が守られていた ・労働者が労働から抜け出せないのは自由さゆえ。「自分が選んだんだ」という責任感と、生きていくための手段を持たない(フリー)だから。 ・資本の専制と労働の疎外を乗り越え、労働の自立性と豊かさを取り戻す「労働の民主制」を広げていく必要がある 労働者が結束してストライキして会社側(資本側)に労働条件の改善を求めて成功した例もある。それも大事だが、もっと根本的な労働のあり方を変えなきゃいけないとも思った。 ・ミュニシパリズムや市民電力など市民営化の動きが現代のコモン再生の黎明か?

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2021/02/14

壁が崩れた後、社会主義のバイブル(だと思っていた)の「資本論」は急速に色あせて見えた。なにしろ資本主義のあとは共産形態に移行する、と言っていると聞きかじっていたのだ、もちろん読んでもいないのに。が、気鋭の経済思想家、斉藤氏によればマルクスは共産主義という言葉は記していないという。...

壁が崩れた後、社会主義のバイブル(だと思っていた)の「資本論」は急速に色あせて見えた。なにしろ資本主義のあとは共産形態に移行する、と言っていると聞きかじっていたのだ、もちろん読んでもいないのに。が、気鋭の経済思想家、斉藤氏によればマルクスは共産主義という言葉は記していないという。さらに近年顕わになっている新資料の研究ノートには資本主義の進化のあとは持続共生社会だと言っているというのだ。新たなマルクス・エンゲルス全集(MEGA)プロジェクトに携わった筆者ならではの新しい知見。学問は進化するんだなあ、というのを感じた。 この本で読めばいいやと思って放送は見なかったのだが、読み終わっているとやはり見ればよかった。伊集院さんはどんな質問をしたのかな。 メモ 1.「商品」に振り回される私たち   かつては身近なところで主体性を持って農作物や手工業品を作っていた人々。そこには誰もがアクセスできる「コモン」(みんなの共有財産)だった社会の「富」(自然や文化など1人1人が豊かに生きるために必要なものがリッチな状態)があった。が資本主議が発達すると、「富」は資本家によって独占され貨幣を介した交換の対象の「商品」となる。「商品」を生むため働く労働者には主体性は無い。 2.なぜ過労死はなくならないのか  終わりのない価値増殖のゲーム、それが資本主義だ。その犠牲となるのは労働者と自然破壊だ。商品~作物、鉱物等~を生むためには自然破壊を生む。労働者の主体性を取り戻すには、自分たちの労働力を「商品」にしない、そのためには賃上げではなく「労働時間の制限」だ。 3.イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む  「疎外」・・労働はもっと魅力的で、人生はもっと豊かであるべきだ。「分業」が労働者を無力化する。生産が効率化されると安く商品を作れ、賃金は生活できるための金であるので、賃金は下がる、という図式になる。そこにデイヴィッド・グレーバーは「ブルシット・ワーク(クソどうでもいい仕事)」が生まれるとした。被雇用者本人でさえその存在を正当化しがたいほど、完全に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態。 4.<コモン>の再生 晩期マルクスのエコロジーとコミュニズム  資本主義は価値の増殖を「無限」に求めるが、地球は「有限」~ソ連崩壊以後、「物質代謝の亀裂」は取り返しのつかないところ「人新世」まできてしまっている。  『経済学批判」では、社会が一定の発展段階に達すると既存の生産関係、所有関係と矛盾するようになる。これらの関係は生産力の発展形態からその桎梏(しっこく・足かせ)と転化する。この時、社会革命の時代が始まる。~別の社会システムに移行せねばならない  別のシステムとは「アソシエーション」~共通の目的のために自発的に結びつき、共同する。  ・・「社会革命」という言葉が独り歩きしたのか・・  アソシエーションは自発的。ソ連や中国のような独裁共産主義ではない。・・・  マルクスが描いていたのは、コモン(みんなの共有財産)の再生。コモン(common)に基づいた社会、つまりコミュニズム(kommunisum)。社会の「富」が「商品」として現われないよう、みんなでシェアして自治管理していく、平等で持続可能な定常型経済社会である。   放送2021.1月、月曜日4回。 2021.1.1発行 購入

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2021/02/13

人新世の資本論を読了後に本書テキストとテレビを視聴。 マルクスの資本論をわかりやすく、斎藤幸平さんの視点で解説されていてとても良かった。テキストだけでも読みごたえあり。 人新世の資本論を読む前にこのテキストを読んでおけば、もう少しすんなり読めたかも…。

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2021/02/13

2021年1月のNHK100分de 名著のテキスト、現在の資本主義の問題点を鋭く指摘し、地球環境問題にまで挑もうと言うマルクスの資本論をわかりやすく解説している。

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2021/02/13

「カール・マルクス『資本論』」斎藤幸平著、NHK出版、2021.01.01 129p ¥576 C9433 (2021.02.13読了)(2020.12.26購入) 【目次】 【はじめに】人新世の危機に甦るマルクス 第1回 「商品」に振り回される私たち 第2回 なぜ過労死はな...

「カール・マルクス『資本論』」斎藤幸平著、NHK出版、2021.01.01 129p ¥576 C9433 (2021.02.13読了)(2020.12.26購入) 【目次】 【はじめに】人新世の危機に甦るマルクス 第1回 「商品」に振り回される私たち 第2回 なぜ過労死はなくならないのか 第3回 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む!? 第4回 〈コモン〉の再生 ―晩期マルクスのエコロジーとコミュニズム ☆関連図書(既読) 「超訳『資本論』」的場昭弘著、祥伝社新書、2008.05.01 「超訳『資本論』第2巻」的場昭弘著、祥伝社新書、2009.04.05 「超訳『資本論』第3巻」的場昭弘著、祥伝社新書、2009.04.05 「高校生からわかる「資本論」」池上彰著、ホーム社、2009.06.30 「マルクス・エンゲルス小伝」大内兵衛著、岩波新書、1964.12.21 「共産党宣言」マルクス・エンゲルス著、岩波文庫、1951.12.10 「賃労働と資本」マルクス著・長谷部文雄訳、岩波文庫、1949.. 「ドイツ・イデオロギー」マルクス・エンゲルス著、岩波文庫、1956.01.25 「ゴータ綱領批判」マルクス著・西雅雄訳、岩波文庫、1959.02.15 「婦人論」マルクス著・H.ポリット編、国民文庫、1954.09.30 「空想より科学へ」エンゲルス著・大内兵衛訳、岩波文庫、1946.09.20 「家族・私有財産および国家の起源」エンゲルス著・村井康男訳、国民文庫、1954.03. (アマゾンより) 気鋭の経済思想家が、エコロジー・脱成長の視点からマルクスを読み直す 長時間労働、格差、不安定雇用、低賃金――。資本主義の暴力性がむき出しになるなか、世界的にマルクス再評価の機運が高まっている。 生産力が上がるほど人が貧しくなるのはなぜなのか。なぜ過労死するまで働き続けなければならないのか。 『資本論』で構想された持続的で平等な未来社会像とは?ソ連型の社会主義とマルクスの目指した「コミュニズム」は何が違うのか。 150年前に書かれた『資本論』には、現代社会が抱える問題を考えるヒントが数多く記されている。 とくに、自然との関係のなかで人間の労働のありかたを分析する「物質代謝論」は、これまでエコロジーの視点でほとんど読まれてこなかった。 マルクス研究の権威ある国際学術賞を最年少で受賞した斎藤氏はこの点に注目。 難解かつ長大な『資本論』で展開される資本主義の構造的矛盾について平明に解説するいっぽう、マルクスが晩年に遺した自然科学研究、 共同体研究の草稿類も参照し、『資本論』の完成を見ずに世を去った希代の社会思想家の真意を読み解いてみせる。 パンデミックや気候変動といった地球規模の環境危機をふまえ、いまこそ必要な社会変革に向けた実践の書として『資本論』をとらえ直す、まったく新しいマルクス論。

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2021/02/10

「SDGsはアヘンである」と言ったとされ、『人新生の資本論』がベストセラーになって話題の斎藤氏だが、本書の内容は良い意味でオーソドックスで、僕は共感できることが多かった。資本主義に対する問題意識は完全に共有できる。おそらく、最後の最後の結論は僕と違うと思うけど、そのちょっと手前ま...

「SDGsはアヘンである」と言ったとされ、『人新生の資本論』がベストセラーになって話題の斎藤氏だが、本書の内容は良い意味でオーソドックスで、僕は共感できることが多かった。資本主義に対する問題意識は完全に共有できる。おそらく、最後の最後の結論は僕と違うと思うけど、そのちょっと手前まではほぼ同じ考えなのではないかと推察できた。 僕は、資本主義を生きながらえさせるために資本論が指摘した資本主義の問題点を直視して、どうやって折り合いをつけるか、考えるべきだと思っている。『資本論」には、そして本書にも、解決策は提示されないけれど、考えるためのヒントは多く得られるはずだ。 そして第4章の内容は、そのままSDGsの考えに結びつく。 「SDGsはアヘンである」というのはどういう文脈で言っているのか、今度確認してこようと思う。https://amzn.to/3rvZ2N4

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2021/06/19

マルクスは偉大な思想家、理論家で、「資本論」には不思議な魅力があると感じる一方で(内容が現代にそのまま当てはまらなくても)、本書の著書の主張には賛成しかねる点が多々。

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2021/02/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すんばらしい番組でした。 約30年前。就職氷河期で、とりあえず少しでも安定してて給料高いところ、って観点だけで就職してつまらなくて辞めて。幸い趣味みたいな仕事ができたけど非正規で、結婚して子ども産むのにまた仕事を辞めて、子育てのためにお金が必要で、また働き始めて、なんとなく「生きることを回す」みたいに過ごしてきて。子どもも中高生になるくらいになってきて、やっとこの世の中のおかしさに気づき始めたくらいでコロナがやってきて、通勤時間が浮いたぶん、サボれるところはサボれた(!)ぶん、読書の幅が広がって、情報集める時間ができて、こういう番組にたどりつけた。 ああ、あの不毛な就職活動も、耐性・無意味さだけを競ってたPTAも、聞けば聞くほどバカみたいな受験戦争も、大量生産によって失われた本当に大切なものも(街の本屋とか八百屋魚屋とか)、そして気付き始めた誰かが大切なものをまた作りだそうとしていることも( PTAを対話的なものにしたり、こだわりの本屋が増えてきたり、給食センターでなく自校料理になったり)、そういうことだったのか。私みたいな、どこにでもいる兼業主婦も、立ち止まって考える時間ができれば、たどりつける本や番組。知りたい、変えたい、学びたい、その気持ちをもとう。 そして私はこれからも、子どもと読書について取り組んでいきたい。広く、取り組んでいきたい。言葉はだいじ、と改めて思った番組でもあった。んで、また読みたい本が増えた。

Posted byブクログ